1.二人の始まり
追伸:心配しないで、私はすっごく幸せよ。あなたもお仕事頑張ってくださいね!
なんなの?あの女。厚顔無恥にも程がある。あんたのせいで私は今、こんな生活をしているというのに‼
***
「え?私に縁談?私はまだ15才ですよ?」
「いやいや、世の中の紳士・淑女は早いうちから婚約者を持っているものだ。それがステータスみたいなものだ」
ふーん、そんなものなのかしら?
「で、どんな方です?」
私はワクワクしながら、お父様の話を聞いた。
「家柄は最高、プロポーションもばっちり、性格も温厚、陛下の信頼も篤い、ただ…声が……」
最後の方が聞こえなかったのですが、この際どうでもいいくらいの良い縁談のようで。私はお父様にこの話を進めて頂くようにお話をしました。
数日後、向こうの家からもOKという事で縁談話を進めることに…。
「あー、通常はお見合いをするもんだが、なにぶん彼は極度の人見知りの照れ屋でなぁ。とりあえず、文通でも……という話なのだが?」
私はそのような奥ゆかしい男性も好ましいと思ったのでこのまま話をすすめてもらった。
また数日後、彼から初☆の手紙が届いた。
~私、エルドレッド=ルイスとの縁談を考えて頂き本当に嬉しく思います。直接お会いする勇気も出せないような情けない男と思われたのではないでしょうか?それも仕方がありません。事実ですから。
手紙では、互いの趣味や好きなものをお伝えできたらと思います。
貴女の婚約者になりたい エルドレッド=ルイス
「お父様~~~‼‼手紙を読んだわよ!縁談の相手がルイス公爵家の方だなんて聞いてない‼」
「お前…言う前にどっかに行ったからな」
確か…眠り足りなかったから二度寝しに部屋に猛ダッシュした覚えが……。
「早速お返事を書かなきゃ!キャーっ!インク壺を倒しちゃったぁ」
「我が娘ながら落ち着きがない……。エルドレッド殿でも嫁に貰ってくれると非常に有難い。あれでも淑女としてのマナーはマスターしてるんだ……確か……多分」
~私の婚約者 エルドレッド=ルイス様
初めまして。は変かな?私、アンジェラ=ターナーと婚約をしていただけるということで、天にも昇る気持ちです。情けなくなんかないですよ!自信を持ってください。他の人と比べる必要なんかないんです。貴方は貴方です。
あ、私の趣味ですね。刺繍とかだと、レディっぽいのでしょうが私の趣味は乗馬です。馬で風を切って走っていると爽快なんですよね。
こんなんなので、いつもお父様に『淑女らしくしろ』と怒られていますよ?私は私です。
こんな私ですが、よろしくお願いします!
貴方の婚約者になりたいアンジェラ=ターナー
私は速達便(ちょっとお高い)で送ってもらった。
エルドレッド様からの手紙を胸にベッドの上をゴロゴロ転がった。
2人の恋の行方に注目です!