表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ



 海辺の小さな田舎町。私は夕方のチャイムの音に気づいて今日も浜辺から引き上げる。休日にはこうやって時間いっぱいまで浜辺で“あるもの”を探しているのだ。


 その理由を語るには私自身のことについて語る必要がある。


 私は幼い頃から、感受性が強かった。


本を読めば前置きだけで涙が出たし、

地平線を見れば荒んだ心が落ち着いた。

ピタゴラスの定理の単純かつ独創的な数式にも感動した。


 他人よりも多くの”美しいもの”に出会ってきたのだ。しかし当然良い面ばかりではない。人の目を過剰に意識しすぎて行動に移せない、他人のことばかり気にしすぎて自分のことが疎かになる、などの悪い面もある。むしろその負の面に苦しんできた人生であったように思われる。

 だが、”美しいもの”を見るとそんなことどうでもよくなった。会社の上司に人前で怒鳴られた嫌な記憶を忘れられた。


 この世界には”醜いもの”が沢山あるが、”美しいもの”も沢山ある。自分が知らないだけで、知ろうとしないだけで、窓の向こうには常に陽が差している。

 会社からの帰路にいつもと違う道を通ると、すぐ近くにこんな景色があったのかと感嘆することもままあるし、目を閉じて耳をすませば、そこかしこで鳥や虫の存在を感じ取れる。気づかないだけで、近くには沢山の“美しいもの”があったのだ。


 だがここ最近本を読んでも地平線を見ても、帰り道を遠回りしても、心が動かなくなってきていた。


 このままではただ嫌な記憶だけが積み重なってしまい、身がもたなくなってしまう。まだ見ぬ”美しいもの”に出会う必要がある。


 だからこそ



何処かの世界の誰かの話(つまりは世界設定も視点もばらばら)

の書かれた紙切れの入った瓶(要するに基本一話完結)

が海の向こうから流れ着くという(当然浮き沈みあり)

その噂を信じ私は今日も浜辺を歩く(すなわち不定期更新)



 例え見つけられたとしても、それは“美しいもの”ではないかもしれない。“醜いもの”かもしれない。しかし今の私はこの噂にすがる他ないのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ