農夫
その日も、畑を耕していた。
朝から晩まで畑を耕し、作物を育てる。
それが生業だ。
ある日、馬が通りかかる。
騎手の服装は豪奢で、見るからに身分の高いものだろう。
「もし、ここらに宿はないだろうか」と、尋ねられたので、道の向こうを指さすと、礼を言う事も無く馬に拍車を入れた。
しばらくして仕事を切り上げると、野菜の入った籠を背負い、家路につく。
帰路の罠にかかっていた獲物も、鳥獣に多少は荒らされてはいるが、充分な収穫だ。
これなら、しばらくは食いつなげるだけの保存食も作れるだろう。
27/06/2022 Youtubeに朗読版も投稿しました。
https://youtu.be/FDaH_HH7i_0