第2章~少女の事は気になるが
食堂の窓際に見える不思議な少女を、ボーイスカウトで僕と和成君以外でも見えるという子供が2人いました。
幸男君と伸也君という子でした。
かつて、彼らもその少女を見て食堂に入ったところ、怖いおばちゃんに見つかって、何度かお仕置きを食らったんだとか。
2人はそれ以来、少女の事は見えていないフリをしていました。
しかし、僕と和成君の存在が分かると、話し掛けてきたのです。
「な~、お前らあの少女をどう思う?」
「どうと言われても…」
「明らかにおかしいだろ!」
「食堂の入り口は施錠されていないのにあんな事を言って」
「俺もそうは思ったけど…」
「食堂の内側からだったら、窓を開けてそこから出られなくもないだろうに」
「窓の位置が高いからというのもあるんじゃない?」
「だったら、イスに乗れば届くじゃん」
「それもそうだな…」
「それに、あんなに激しく窓ガラスを叩いて、傷ひとつ付きやしない」
「あれだけ叩けば、ガラスが割れてもおかしくないのにな」
「ガラスが割れて怪我をするって事を考えないのかね」
「確かにおかしい事だらけだね」
「何かあるんだろう?って事は分かってはいるんだよ」
「だけど悪い事は言わない!お前らも見えていないフリをして関わらない方がいいよ」
会話の最後で和成君は、
「分かった、もう深入りはしない」
と言いました。
しかし、それは嘘だったのです。
「俺は絶対あの少女を連れ出してやる!」
と、言ってきました。
僕は、驚いたのと同時にガッカリもしました。
窓ガラスをしきりに叩いて、
「外に出たいよ~!」
「ここから出して!」
と、叫ぶ、不思議な少女の事は、
皆、気になってはいましたが…、
竹ぼうきを持った、怖いおばちゃんが見張っているのが分かっているので、誰1人食堂の中に行こうとする人はいませんでした。
ある日、和成君が僕に言いました。
「今度は、お前が食堂の中に行ってこいよ」
「え~嫌だよ、昔、あのおばちゃんに、竹ぼうきで激しくひっぱたかれた子供がいるらしいじゃん」
「大丈夫だよ!俺も1回目は注意だけだったから」
「だけど、次に見つかったら、竹ぼうきで叩かれるかもな…」
「もう、お前しかいないんだよ!」
「………」
「で、でもな、食堂の入り口は俺が見張っておいてやるからよ」
「え、え~」
「とりあえず、今日あの少女が見えたら行くからな!」
和成君の勢いに押されて、僕は仕方なく了承しました…。