水平線のカラス
掲載日:2018/10/08
たまに
生きる道に迷うと
ここへ来る。
何ヶ月か何年か
朝と夜を繰り返し
寒いも暑いも
雨の日も
風が吹こうとも
ここへ
繰り返しやって来る。
ここは
何も無いから
大好きなところ。
生きるところは
色々と
余計な事まで
あり過ぎるから
またここへ来る。
電線に
乗っかって
風に吹かれても
雨に降られても
嫌なところじゃあない。
気にするものも無く
邪魔にもされず
文句も言われず
何も困らないし
頭ん中を
空っぽに
してくれるから。
話し相手が欲しい時
ここへ来る…
自分自身へ話しに来る。
信じられるのは自分だけ。
信じるから
たまに迷う時がある。
迷った時は
大きく羽を広げる。
何もかも
受け入れられるし
受け入れてくれる
気がするから…
ただそれだけなんだ。
傷ついた
羽の隙間から
風が抜けていく。
何もなかったかのように
今日の風は
やけに優しい風だ。
この目の前の
水平線の果ては
もっと優しい
世界なんだろうな…
きっと。
夕陽が水平線で
半分の色に変わる頃
そろそろ
行かなきゃいけない…
水平線とは
反対の方向へ。
また
戻らなければならない…
羽が傷ついた
ところへ。
たまに
生きる道に迷うと
ここへ来る…
見えない地図を
探しに
また来るよ。
飛べなくなっても
ここは
迷わず
やって来られるから…
ここは
大好きなところなんだ。




