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かおちゃん

作者: ふうあん

思いつきで書いた30分クオリティ。

私が書くと登場人物の一人が絶対ヤンデレちっくになるのはどうしてだろう。






私は教師をやっている。

基本的に傍観を貫いていたいが、

そうも出来ないのが世の中だ。


「せんせぇー、このクズ美雪(みゆき)ちゃんの財布盗んだんですよぉー。

停学にしてくださぁーい。

あー、やっぱりぃー、退学が良いなっ。

やんなきゃどうなるか、分かるよねぇー?」


スクールカーストとは実に厄介で、

自分が上位に立つ為に他人を蹴落とすらしい。

うちのクラスでやらないで欲しい。


「生徒指導室で話聞いてからね、来なさい」


ただ、そんな全て諦めた顔をしないで欲しいとも思う。

きっとこの女子生徒はずっといじめられて、

不運にも担任が使えなかったのだろう。

教師不信を治すつもりはないが、例えるなら捨て猫を拾ってあげるような感覚。


「で、やったの?」


「どうせ退学でしょ?良いよ、退学届出すから今日は帰っていい?」


これ程まで楽な仕事はない。

問題はこれで解決してしまう。

だけど私、猫は好きなんだ。

あの簡単にはなつかない警戒心と、

気高い精神は犬には無いと思う。


「両親は共働きで家に居ない。

サボり癖の付いてるお仲間は隣の県で喧嘩中。彼氏もそこで指示を出してる。

どうせ暇でしょ?私も暇だから暇潰しに付き合ってあげる」


猫は口を開けて驚いている。

普段冷静な猫のレアな一面を見れてラッキーかもしれないな。


「何で知ってるの…」


「さぁね。彼氏に『私の担任は桜龍(おうりゅう)の二代目総長だった』とでも言っておけば?」


だが、話を聞く気になったらしい。

帰ろうとしていた足を戻し、再びパイプ椅子に腰を掛ける。


※桜龍とは無駄に強く歴史の長いレディースの事。


「あんたが二代目?証拠は?」


猫の顔にはハッキリ『こいつバカか?』と書いてある。

全く、失礼な猫だこと。


「これで信じる?」


滅多に見せない私の左腕。

そこに広がるのは桜色の龍と真っ黒な拳銃の刺青があった。

ついでに紅い文字で『血に染まりし二代目柊(ひいらぎ)薫子(かおるこ)』と刻まれている。


「舐めた態度ですいませんでしたっ!」


直ぐ様猫が土下座する。

それにしても血に染まりしって失礼だよね。

blood(血塗れ)って呼ばれて居たからだとは思うけど。


「顔を上げなって。今はただの教師なんだから」


「すみません…。でも何故、教師に?」


猫は顔を上げ、大人しく椅子に座る。

きっとこの様子じゃ私が辞める時に何があったか知っているのだろう。


「知ってた?高校教師って結構稼げるのよ」


猫は部屋の隅で頭を抱えていた。

全く、忙しい猫だな。


「秀は元気にしてる?」


「……知ってるでしょう?先程ご自身で仰られていた様に、隣の県で暴れてます」


そうそう、猫の彼氏は秀だ。

ちなみに秀とは私が腹を痛めて生んだ実の息子。

あぁ、そうか、ならば……


「義母さんと呼んでくれても良いのよ?」


「秀のお父様にも言われましたよ!」


ふぅ、あの人の情報だけは入手出来ない。

どうせあの腹黒眼鏡が隠してるんだろうけどね。


「そうでしょうとも。あの人は秀を見た時から『秀の嫁に義父さんと呼ばせるぞ!』って張り切っていたから……、懐かしいわね」


「……何故、その三日後に姿を消したのですか?」


猫は空気を読むのが上手ね。

ちょっと話そうかしらって心を動かされちゃう。


「私の家がね、ついに崩壊したのよ。

当時高校二年生だった私は家に帰らないし、

父は不倫に忙しくて家に帰らない。

双子の妹も援交で忙しい。

とうとう母はギャンブルに嵌まったの。

で、当然ヤミ金から借金の取り立てが来て母は回収された。

最後に離婚届を置いて連れて行かれたと聞かされたのが三日後だった。

あの人に迷惑も掛けられないから逃げたの」


猫は絶句していた。

でも、可哀想とか大丈夫?なんて同情はしなかった。

可愛らしいし、秀が彼氏でいいのかしら。


Prrrr Prrrr Prrrr


「はい、携帯没収」


猫の胸ポケットから携帯を取りだし電話に出る。


「こちら私立桜ノ(さくらのみや)高等学校、篠田(しのだ)真由(まゆ)さんの携帯。篠田の担任、柊です」


『なんでセンコーが出るんだよ』


あぁ、あの人にそっくりな声がする。

表示を見てみれば『秀』とたった一文字。

ちなみに猫の本名が篠田真由。


「生徒指導中に携帯が鳴ったので没収させていただきました」


『あ、おい!何すんだ!』


画面の向こうが騒がしい。一体何が…?


『かおちゃん?かおちゃんなの?ほんとにかおちゃん?何か返事してよぉぉぉぉ』


「……違います。切っていいですか?」


33のおじさんがかおちゃんとか呼ぶな気持ち悪い。

そして猫!感動した様に泣くな!


『家庭の事情があって辛かったのは分かるけどさぁ、僕に一言相談してよ!

なんで僕から逃げちゃうのー!』


一体いつからこの人はヘタレになったのだろう。

それに煩い……けど懐かしい。


「あなたを愛していたけれど、愛してるからこそあなたに迷惑を描けたくなかったの」


『かおちゃぁぁぁぁぁぁん』


「いい年のおじさんがわーわー泣くな煩い!

それにあの頃はゆうくんから好きともなんとも言われて無かったから信用出来なかった」


私の声にゆうくんこと悠太の声がピタリと止まる。


『愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してるゲホッゲホッ愛してる』


この人も呆れた根性だ。

でもやはり嬉しいと思ってしまうのは、まだ好きだからなのか普通の感情なのか。

うん、後者かな。


「ありがとうございます。でももう終わった事ですから忘れてください」


『ねぇねぇ、かおちゃん。

もう一人くらい子供欲しいね。

子作りしようか、立てない様に激しくさ。

そうすれば逃げれないもんね。

僕は今、金も権力も人脈もある。

さぁて、まずは何からしてほしい?』



――普通の暮らしがしたい。





そう願っても私の願いは届かず、

今は二人の息子と三人の娘と、

息子夫婦とゆうくんとで暮らしている。









薫子が秀を生んだのが17歳。

現在秀が16歳なので薫子は33歳。


矛盾とかご都合主義は、

「お金さえあれば何でも出来るのよ」

と言うのが答えです。

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