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死神には大切な決まり事が存在する。一つ最後に一つ決して人間と恋に落ちてはならないと……。
季節は春を過ぎ初夏に入りつつあった。しかし相変わらずクラスメイトに溶け込む気配が感じられない。
それどころか人と距離をとり始めていた。自分は来年には亡くなると悟らせているかのように……。
そして、私に絡んできた彼女とは相変わらず時々睨み合いになるも流架のおかげでいざこざが起こらずに済んでいた。
「あのですねぇ、この間の事はなんですぅ‼︎ 私にはもう一度会いたい人がいるですぅ」
数日前にも流架は私に抱くも、突き放した。これで何回目かとも思い腹を立てるも、体が言うことを聞かなくなる。
ドキドキする心臓に私は振り回されていた。何とも思っていないのに……。
「誰なんだよそいつ」
「それはですぅ……。忘れてしまったですぅ」
私は笑って誤魔化すとペロッと舌を出してみせた。すると、流架は呆れたように目を点にしている。
「でも、流架と出会ってから不思議と幻を見るですぅ。まだ何だかわからないけど大切な出来事だった気がするですぅ」
「はぁ……」
「まぁ、私の私情など気になさらず今日も楽しく生活してくださですぅ」
私はいつものよに流架を見守った。実際それしか私に出来ることなどない。私はメガネ娘以外の人間には見えないのだから……。
それにしても、ドキドキするこの気持ちはなんだろう。胸の奥が暖かい何かで満たされていく感覚に私は戸惑いを感じていた。
どうしても抑えきることが出来ない。
ついついの手を取ってしまいそうになる。
自分は死神で相手のは人間。決して結ばれることなどない。
いや、してはならないのだ。
それは誰が決めたとは言われていないが掟が物語っている。十分すぎるほどに……。
教室に入ると、いつもと同じように席に着き、何を考えるでもなくぼんやりと教室の窓を眺めている。
焦点すらあってない。
ぼんやりとしているだけなのだろう。
時間が勿体無い。
私ならどうしているだろう?
死期が近づいている。そんな時ぼんやりと生活することができるだろうか。私なら時間を惜しんで何かをするかもしれない。怖くなり毎日が不安になるかもいれない。生きたいと願うかもしれない。
ただ、ひとつ言えることは決して普通の生活は送れないだろう。
「おはよ」
メガネ娘が流架にあいさつする。彼女は私の見張り役となっていた。私が流架の命を奪わないように。
メガネ娘が話しかけて来ると胸の奥が締め付けられる気がしていた。苦しくて切ないこの気持ちは何だろう。
「苺。ちょっといいか」
流架に話しかけられ天にも昇るように嬉しくなる。
ところが、メガネ娘が私の邪魔をした。私が呼ばれるとお札片手について来る。
それを流架も上手く利用しているのではないかと最近思うようになっていた。呼ぶタイミングが悪い。
二人きりにはなれない所で私を呼ぶんだ。だからメガネ娘が来る環境を作っている。そんな気がした。
「流架は私をどう思っているですぅ?」
「……」
流架は何も応えてはくれない。私は小さく溜息をした。




