昇天のインターンシップ
1
この世の全て後悔を胸の奥底にしまい込んで私は流架の命を狩った。綺麗な方丈線を描いて倒れて、ピクリとも動かない唇に一度だけキスをした。
冷たい体はどっしりとしていて眠り私は寝かせるように横にする。
そして、元の世界へと帰ってくると皆が皆喜びの歓声を上げて出迎えてくれた。
「よくやった」
「すごい‼︎ おめでとう‼︎」
そんな言葉頭の中に入ってこない。何故この世で一番大切な人の魂を狩らなければならなくなったのだろう。
何故、の担当が私になったのだろう。
何故、私はの魂を狩ってしまったのだろう。
破ることだって出来た。でも、破れなかった。
それはを一番大切に思っているのも自分だから。
自分を責めて後悔しなければならないなんて切なすぎる。自分の仕事の都合で一番大切な人の命を絶たなければなかった。運命という言葉だけでは残酷過ぎる。
私は新たなる覚悟と共に女神の元へと懇願しに行った。
女神は生と死を司る神として私達を統括している。その死という終止符を私達が手伝うといえばおこがましいが仕事の一端をまかなっている。
だからもしかしたら……
私は淡い期待と共に女神の元へと向かっていた。
女神がいるところは私達のいる所よりも天高い場所で全ての魂を見守れる場所とされている。ところが、実際のところそのような場所はなく、女神は地獄に程近い場所で魂の裁きを受けなければならない魂達へ説教を繰り広げていた。
私はなんとか地獄にいる魂に混ざりこむと女神の元へと駆けて行った。
「お願いです。流架の魂を転生させてください。流架の為なら全てを引き換えにしても構いません。お願いですを生まれからせてください」
「わかりました。苺には転生していただきましよう。でも、忘れないで流架には再び災難が降りかかるということを」
「はい。決して忘れません」
「そして、七瀬苺。貴方も充分人間界にて大切な事を学びました。貴方も一緒に転生することを許しましょう」
「あっありがとうございます」
すると、女神の手から光が生まれた。光はポカポカと暖かくて心地が良い。光は徐々に大きくなり体が吸い込まれていく。
私は女神が作り出した光へと吸い込まれていった。
ーー
私は人間へ転生する事が許された。しかし、女神は私の魂から記憶を消去しておらず、前世の記憶から死神だった頃までの記憶ははっきりと残っている。
しかし、流架からは私の記憶や前世の流架としての記憶全てが綺麗にけされていた。
「遅刻するぞぅ」
「待ってよぅ……」
流架は転生前と後で全く同じ姿をしており最初は戸惑いを覚えたものの、少しずつ歩みよる事ができた。
そして付き合っているのである。
「流架。大好き」
「何だよ。変な奴」
私は流架の頬キスをした。




