3
1
修学旅行から月日は季節は大分過ぎいよいよ年末となった。空気は澄み切り冷たく頬を刺してくる。
マフラーか何かで首元を温めていないと体の芯まで凍えてしまいそうになる。
私は寒さなんて感じないものの流架が見ているだけで寒いというので少し暖かめの服へと衣替えをした。
ロリータファッションも中々に気に入っていたもの女性もののサンタ服へと衣替え。背中まである髪は下の方で軽く巻き髪型も変えてみる。
すると流架は驚いたよいうに私の事を見つめてきた。凝視され恥ずかしかったものの似合うか聞くとコクリと頷いてくれただけで何も言ってはくれなかった。
「流架……」
最近の流架は私と口を聞かない日が続いていた。理由を聞いても教えてくれずソワソワしていて私が付いていくと物凄い剣幕で怒るのだ。
私はどうしていいかわからずただただ不安が募るばかり。
「流架……。少しは私の事を考えてくださいですぅ‼︎」
「……。」
それでも流架は私を無視している。無視ならまだいいが相手にされていないような孤独感が私を苦しめていた。
何かようないことをしてしまただろうか。
この間の期末試験の結果が悪かったなろうか。流架の普段の成績であれば赤点ということはないだろう。
それにしても流架が私を避ける理由が全く思い当たらない。
もうすぐクリスマスになるというのに……。
クリスマスとは誰かの誕生を祝う日で江戸時代とある県へと伝えられた。その後隠れキリシタン達のみ大切行われ明治時代。どこかのデパートにより一気にクリスマスというものが広がっていった。
私が生きていたのその頃で街は普段と違う華やかさで賑わっていた。あの時と同じ人と巡り合い恋に落ちるとは何たる奇跡であろう。
それなのにも関わらず流架はどうなのだろう。ソワソワ周りに気を使い出会った頃に逆戻りしたかのようだ。
「流架どうしたんですぅ……」
クリスマスなのだからもっとウキウキしたらいいのにと思う反面もう時期流架の命を狩らなければならなくなる。
私の意思とは裏腹に流架の命を……。守るとは決めているがそれもどこまで通じるのか微妙なところがある。
街にはクリスマスソングが流れ聞いてるだけで気持ちがワクワクしてきて楽しくなる。これで雪が降れば完璧だというのに。
今年はまだ雪が降っておらず冷たい風が私達の肌を刺していた。
「苺。ちょっといいか?」
流架は私の手を繋ぐと早足で街の中心へと歩き出す。私はどうしていいか分からずなんとか流架の歩調について行く。
私の姿は他の人には見えない為変な格好で歩いている様に見え恥ずかしいだろうにそれでも気にせずに流架は手を離さないでいてくれる。
その手から流架の温もりを感じ幸せな気持ちになった。
「ここでいいかな」
流架は私を街の中心。大きなクリスマスツリーのある広場へと連れて来てくれた。辺りを見渡してもカップルが大半を占めていている。私の存在は見えないから一人できた変な奴に見えているかもしれない。
でもここには私がいる。私達はカップルだ。
「これ、苺にクリスマスプレゼント」
流架は手のひらサイズの箱をポケットから取り出すと私へと差し出した。箱の中身を開けるとピンク色の石がついた指輪が入っている。
「これはですぅ……」
私が驚いているとそっと指輪を取り出して私の左指の薬指へとつけてくれた。
「流架……」
「恋人の印。苺は俺の彼女だ。例え苺が死神でも普通の女の子でも俺は苺を好きになったと思うから。だから……俺の魂ちゃんと天国に……」
流架の言葉は途中から頭に入ってこなかった。こんな幸せな事が他にあるだろうか。自然と涙が頬を流れている。
他のカップルも目に入らない。ただただ幸せで胸が暖かくなる。
この幸せがいつまでも続くように心から祈りクリスマスの魔法を身をもって感じていた。




