2
3
修学旅行当日が訪れた。この日の為の支度は既に整っている。いつもより少し早い電車に乗り込み集合場所へとたどり着いた。
私は流架との修学旅行に胸が弾み前の晩はよく眠れず電車の中で大あくびをしてしいると流架にどうしたのか聞かれ話すと呆れられそのまま気まずい雰囲気となり私はメガネ娘の隣にいた。
メガネ娘の隣にいてもどうも落ち着かない。背中が流架の気配を追っている。僅かな気配も見逃すまいと神経を尖らせていた。
「ちょっとどうしたの」
「ごめんなさいですぅ」
私の雰囲気にメガネ娘も怪訝な顔をしている。メガネ娘は学園祭のラストダンスにて片思いをしていた流架に告白した。
しかし、その頃には既に私と流架は付き合っていた為流架は結果的にメガネ娘をふった事になる。
それでもメガネ娘は流架と友達として交流してくれる。私にはメガネ娘の大きな器で見直してしまった。
「ちょっといろいろあってですぅ……」
私は事のなり行きを全てメガネ娘に話した。こんなノロケ話メガネ娘んは失礼なのではないかと考えたりもいたがメガネ娘は真剣に私の話に耳を傾けてくれた。そして正確なアドバイスまでしてくれる。
「何でこんなに親切ですぅ?」
「バカにしないで‼︎ 本来なら貴方の事なんて取り持とうなんて思わない。でも流架君が選んだわけだし……。私達友達だし……」
メガネ娘の言葉の語尾はモニョモニョしていて聞き取り難い部分もあったがそこまではなんとか私の耳へと入ってきた。
メガネ娘も恥ずかしかったのか頬を赤く染め斜め下を向いている。
私は可笑しくなりクスリと笑っていた。
__
流架の住んでいる街から東京までは新幹線で約二時間程。普段とは違う街の風景に感動するものさえある。
新幹線の中で流架とは仲直りするとようやく修学旅行が始まったのだと実感した。
流架は人に飲まれ立ち止まってしまう。
「流架。こっちですぅ」
私は皆がいる方向に流架を促した。それにしても流架はどうしたというのだろう。
顔が青ざめている。息を吸う呼吸も荒い。
「流架? どうしたですう?」
「酔った……」
流架は見慣れぬ光景で酔っていた。通称人酔いというものだろうか。
そんな流架とは正反対に私は始めて来た東京に驚きと感動で胸が高鳴っていた。どこを見ても人、人、人。人と車でせめぎあう大都会にやって来たのだと実感するとますます興奮が鳴り止まない。
(楽しみですぅ)
(気持ち悪い……)
二人の気持ちが交錯していた。
4
修学旅行初日は流架と二人きりで東京スカイタワーへ搭乗する予定となっていた。しかし。流架の顔が青ざめ足取りも覚束なくなってきている。呼吸も荒く今にも倒れそうな状態だ。
「流架。今日は疲れたですぅ・ホテルで一緒に休むですぅ」
私は精一杯流架へ配慮する。本当ならば折角の修学旅行で思いっきり騒ぎたい所だが流架がこの様な状態では致し方ない。
一人で騒いでも流架の事を考えてしまい寂しくなるだけだ。
私達はホテルへと引き返すと自室へと入りベッドで一緒に眠った。




