表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

6話~人鬼~

少女の姿は変わっていた。

ボロボロになったコートは崩れ落ち、また、中に着ていただろう、薄く色のついたシャツと、可愛らしいスカートも、ボロボロになっていた。

しかし、その体に傷はなく、目立ったことと言えば、右腕に巻かれている、包帯、そして、頭に生えた、ほんの小さな角。

少女は、いつも身につけている真っ黒な手袋を外し、右腕の包帯を解いていく。


「……なにそれ」

「いきなり凄い力を感じるよ」

「それに、頭の……まるで、鬼みたい」

「「「これなら、もっと、楽しめるよね!」」」


吸血鬼は狂喜する、今までよりも遥かに強い、少女の力を感じ。


「ふう、この力を使うのは、本当に初めてだから、どうなっても知らないぞ!!」


いつの間にか、包帯を解き終わっていた、少女が、先ほどの弾幕により、お互い離れていた吸血鬼の一人へと、肉薄する。

そのスピードは、先ほどまでの、少女との比ではなかった。


「ッ!」


「そらそらそらそらァ!!」


そこには、信じられない光景が広がっていた。

人間でしかなかったはずの、少女が吸血鬼を、押していく姿が……


「そんなもの……!」


しかし、吸血鬼も負けてはいない、少女が一人と戦っているうちに、他の二人が、少女へと肉薄する。


「甘いんだよ!」


少女は、目の前の吸血鬼を、左手で掴み、叫ぶ。


―封符「完全封印」―


「え?」


少女が掴んでいた、吸血鬼が消える。


「どうやら、偽物だったみたいね、でも……!」

―解放「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」―

―解放「禁忌「フォーオブアカインド」」―


「さあ」

「卑怯だなんて」

「言わないでよ?」

「全力を出させたのは、あなたなんだから」

「「「「この勝負、勝たせてもらう!!」」」」


そこには、先ほどの吸血鬼のように、四人になった少女がいた。


「「「「ほらァ!」」」」


少女が手をかざし、そのまま握り締める。


「きゃあ!?」


吸血鬼が文字通り、跡形もなく破壊された。


「そんな!? どうして!?」


吸血鬼は困惑する、それを無視したように、少女は話す。


「四つ重ねてようやくね」

「随分と、劣化しちゃってるわね」

「これじゃあ、私のは」

「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力、なんて、呼べないわね」


「おまえぇぇぇぇ!!」


吸血鬼は、咆哮する。

手をかざし、握り締める。


「ぐっ!?」

「でも」

「それじゃあ!」

「間に合わないわよ!!」


少女は、一人残った吸血鬼に突撃する。


「この! この!! このぉぉぉぉぉ!?」


吸血鬼は、手をかざし、握り締める。

その度に、少女が、"破壊"されていく、しかし……


「間に合わないって、言ったろうがァ!!」


最後に残った少女は、既に吸血鬼の目の前にいた。


「これでェ!!」


少女は、吸血鬼を右手で掴み、床に叩きつける。


「ぐぁァァ!?」


「私の勝ちだぁ!!」


地面に叩きつけた、吸血鬼を、そのまま、ただ、思いっきり殴り続ける。


「きゃぁぁぁぁ!?」


吸血鬼は叫ぶ。

少女は、殴り続ける。

永遠とも思える時間、しかし、それは終わりを告げる。

少女の手が止まる。


「はぁ……はぁ…………わた……し……の……勝ちよ…………文句ない……わね…………」


吸血鬼は、答えない、答える事が出来ない、吸血鬼の意識は、既に途切れていた。


「……ふふ……アハハハ…………なん……だよ……どうせここも……退屈な世界だと思ったら……随分と……面白い世界じゃない……!」


少女は、最後に、そう言い残し、倒れる。



こうして、木藤綾香の、私の、初めての弾幕ごっこが終わったんだ。

今回は短めですね

いや、いつもそんなには、長くないですが……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ