4話~悪魔の妹~
「…………」
「あははははは! 避けるだけじゃ、勝てないよ!!」
フランさんの、大量の弾幕をただ、避け続ける。
「そうは、言っても、私は、弾幕なんて、まともに撃てないんですよ……ッ!」
避ける、避ける、右腕で防ぐ、避ける。
「あれ? 私の弾幕を、腕で防ぐなんて、凄いじゃん、それに、まともにってことは、少しは撃てるんでしょ? 試してみたら? 当たるとは思えないけどね! あははははは!!」
くっ、思ったより、きつい……!
「仕方ありませんね……!」
私は、隠し持っていたナイフを構える。
「ナイフ? なんだか、咲夜みたいだね、うふふ、当てれるかなぁ!」
「……フッ!」
投げる!
「あははははは! そんな、単純なの、当たるわけないじゃん!!」
私の投げたナイフは、フランさんに、簡単に躱される。
でも……!
「ッ! なんでっ!」
躱されたはずのナイフは、フランさんの、背中から当たる。
「痛いなぁ、何したの? もしかして、それが、あなたの能力?」
「対魔加工のナイフですからね、銀製ではありませんが、それなりに効くようですね……! それと、能力は教えませんよ……!!」
「ふーん? まあ、いいや、これで、少しは楽しめそうだね! あははははは!!」
ああ、もう、なんなんだ、この子は……
「……それは、なによりですね」
私は、楽しくない!
「あははははは、ほらほらぁ!!」
―禁忌「クランベリートラップ」―
スペルカード……!
避ける、避ける、避け……ッ!
「ぐぅっ!」
当たってしまった……!
とんでもない威力だ……
これは、まずい!?
「……あれぇ? さっきは、右腕で防いでたよね? 動いてないみたいだけど、大丈夫? あははははは!!」
気付かれた!?
くっ、まだだ!!
「そらぁ!」
ナイフをまた投げる……!
「あははははは! もう、喰らわないよぉ! 避けてダメなら、壊しちゃえ! きゅっとしてドカーン!!」
そう言って、フランさんが、何かを握り締めるような動作を取ると同時に、ナイフが破壊される。
「なぁ!?」
弾幕で撃ち落とすでもなく、ただ、アレだけで破壊!?
「うふふ、驚いた? 私は、あなたと違って、親切だから、教えてあげる、これが、私の力! ありとあらゆるものを破壊する程度の能力よ! "目"を握り締めれば、このとおり! 全部破壊出来るのよ!」
……目?
いや、それよりも、そんな能力、使われたら……!
「ああ、安心して? あなたに直接は使わないからね、そんなことしたら、つまらないじゃない」
「……ご親切にどうも」
……これで、条件は満たした、直接は使ってこない?
なら、行ける!
「うふふ、さあ、続けましょう?」
―禁忌「レーヴァテイン」―
あれは、剣?
それにしたって、歪な……
「ほら、少しは撃てる弾幕も、防がれちゃったんだ、接近戦、付き合ってあげるよ!」
……吸血鬼に対して、接近戦なんて、自殺行為かもしれない、でも、好都合だ!
「……そうですか、では、行かせてもらいます!」
「あははははは! 耐えられるかなぁ!?」
フランさんが、近づいて来る。
そう思った瞬間には、目の前にいた。
「ッ!」
振り下ろされる剣を、なんとか避ける。
そのまま、私は、フランさんを、左手でつかもうとする。
「おっと、何かしようとしたのかな?」
しかし、私の手は、空をつかむだけ、届かない……!
「あははははは! この程度なの? らぁ!!」
フランさんが、突撃してくる。
「ぐぅっ!?」
まともに当たる、意識が飛びそうなほどの衝撃、でも……!
「……つかまえ……たぁ!!」
私は、左手で、フランさんをつかむ!
「え? なに!?」
「スペル……カード!」
―封符「限定封印」―
「ッ!」
私が、スペルカードを発動させると同時に、フランさんが、私から離れる。
でも、もう遅い!
「……何をしたの?」
「すぐに……わかりますよっ!」
最後のナイフを投げる。
「そんなもの! きゅっとし……え? きゃぁ!?」
ナイフは、破壊されることなく、そのまま当たる。
「なんで!? "目"が見えない!?」
「ふう、どうやら、成功したみたいですね……」
「……何をしたの!?」
「私はあなたほど、親切ではないので教えませんよ、でも……」
―偽符「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」―
なるほど、これが、"目"か……!
これを……!
「きゅっとしてドカーン……でしたっけ?」
握りつぶす!
「え? きゃぁぁぁぁ!?」
……やっぱり、大幅に制限かかるか、それでもこれで、ダメージを与えられた!
「なん……で……どうして……!?」
「さあ? どうしてでしょうね?」
「……うふふふふ、あははははは!!!」
―禁忌「フォーオブアカインド」―
「なっ!?」
分身!?
いや、そんな生易しいもんじゃない……!?
「面白いね!」
「楽しいね!」
「そんな、隠し玉があったなんて!」
「それが、全力じゃないでしょ? だから」
「「「「今から本気で遊んであげる!!」」」」