3話~紅魔館~
お知らせ
2話にて、設定に矛盾する表現があったため、修正しました。
そんなちっこい体で~という表現を
そんなほっそい体で~という表現に変更しました。
綾香、ちっこくないよ……
「お嬢様、お客様を、お連れ致しました」
「……ええ、入りなさい」
なんだか、ご大層な扉だ、今、扉の奥から聞こえた声が、この紅魔館の主なんだろう。
咲夜さんが、扉を開ける、私は促されるままに、部屋へと足を踏み入れる。
「……ッ!?」
いきなり何かが飛んくる、私は無意識に右手でそれを掴む。
確認すると、どうやら、チェスのポーンのようだ。
「……いきなりですね」
「あら、これはこれは、私の思った以上のようね」
そこに居たのは、幼い少女だった、私よりも確実に幼く見える少女、しかし、私よりも遥かに貫禄のある佇まい。
彼女が、この紅魔館の主……
「初めまして、レミリア・スカーレットよ、レミリアで構わないわ」
吸血鬼、レミリア・スカーレットか……
正直、ここに来たことを、もう既に後悔し始めている。
「……木藤綾香です、綾香と呼んでください」
「ふふ、そんなに恐がらなくてもいいのよ? よろしくお願いするわ、綾香」
恐がらなくてもって、そんな無茶な……
「はい、今日はどういったご要件で、私を呼んだのでしょうか」
「ふふ、面白そうな外来人と、お話でもと思ってね」
「お話ですか? それにしては、ずいぶんな歓迎の仕方ですね」
アレはまともに当たってたら、正直死んでたよ。
「少し、気が変わったのよ、ねぇ、貴女、本当に人間?」
「……人間ですよ」
「そう……、まあ、いいわ、お話しましょうか」
「……それが、依頼なら」
―――――――――――――――
それからは、たわいのない話だった。
外の世界のことや、私の人里での生活、レミリアさんの話も少しだけ聞くことができた。
吸血鬼の話を聞けるなんて、初めてこの世界に来て良かったと思えた。
最初のあれさえなければ……
「ふふ、楽しいお話をありがとう」
「……いえ、こんなのでよければ」
「ふふ、ねぇ、最後に、私の妹と遊んでくれない?」
「妹ですか?」
「ええ、もちろん正式に依頼としてお願いするわ、断ってくれても、構わないし、その場合でも、話してくれた分の報酬は渡すわ」
吸血鬼の妹か、ただ遊ぶって、わけじゃないんだろうな、でも……
「わかりました、その依頼、お受けします」
「ふふ、咲夜、案内してあげて」
「……かしこまりました、どうぞ、こちらへ」
「はい」
さて、退屈ではないといいんだけど。
―――――――――――――――
咲夜さんについてきて、到着した場所は、大広間とでも言うのだろうか?
とにかくそんな感じの、とても広い部屋だった。
「綾香様、少々お待ちを」
「はい」
今はレミリアさんはいない、妹を連れてくるようなことを言っていた。
「……こっちよフラン」
「ねぇ、ホントに遊んでもいいの?」
「ええ、あなたの好きなようにね、さあ、ついたわよ、彼女が、あなたと遊んでくれるわ」
どうやら、来たみたいだ。
「えへへ、初めまして、フランだよ、フランドール・スカーレット、フランって呼んでね」
「……木藤綾香です、綾香って呼んでください」
彼女が、レミリアさんの妹……
「咲夜、あなたはこっちに来なさい」
「はい」
レミリアさんは、まるで見物するかのように、広間の中でも高い場所にいる。
見物するかのように、というか、見物するんだろうけど、咲夜さんも、そこに行ったみたいだ。
「ねぇ、綾香、何して遊ぶの?」
っと、今はこっちに集中した方がいいだろう
「……フランさんが、決めていいですよ」
「いいの? だったら、弾幕ごっこしようよ!」
「……格闘ありなら」
弾幕ごっこ、幻想郷における決闘方法、一応のルールはあるが、ある程度は、自由にやれるらしい。
「ふーん? 吸血鬼に対して、格闘あり? 死ぬ気?」
「……弾幕という弾幕は、使えないので」
「そうなんだ、スペルカードは?」
スペルカード、弾幕ごっこにおける、重要なルールの一つ、私も用意はしてきた。
「ありますよ」
「そっか、それなら、格闘あり、スペルカードの枚数制限なし、どちらかが戦闘出来なくなるか、負けを認めるまで、それでいいかな?」
「……構いません」
まだ、私のスペルカードの種類は少ないが、白紙のスペルカードもある、最悪はそれを使えばいいだろう。
「よし! それじゃあ、遊ぼうか!!」
そして、私にとって、最初の弾幕ごっこが始まった。