14.5話~少女の短編集~
~フランの一日~
私が綾香のとこに来てから、数日がたった、人里にも慣れてきて、綾香も、いろいろお手伝いさせてくれるようになった、それで今は……
「酒屋さん、おはよう!」
「おう! おはよう! フラン一人か?嬢ちゃんはどうした」
「うん、一人だよ、綾香は昨日の夜から依頼でいないんだ、だから今日は、私が荷物運び!」
綾香のお仕事のお手伝いだ!
「うん? そうなのか、昨日の夕飯は? それと今日の朝飯だな、食べたのか?」
「昨日の夕食は食べたよ、朝食はまだ……」
流石に、料理とかはできないし……
「ふうむ? よし、俺が飯作ってやる!」
「え? いいの! お願い!!」
お腹ペコペコだ!
「おう……あ、ダメだな、流石に女の家に勝手に入るわけにも……」
「うーん? 大丈夫だと思うよ、何か困ったら酒屋さんに、って言ってたし」
ホントだよ?
お腹すいたからって、嘘ついてないよ、家に入れていいかは、聞いてないだけで。
「そうか? ふうむ……?」
「大丈夫大丈夫! 困ったから酒屋さんに頼むんだし」
「……よし! じゃあ酒屋さん特製、元気の出る朝飯を作ってやるぜ!!」
「やったー!」
「そいや、嬢ちゃんの依頼って、なんだったんだ?」
「えっと、ひえだのけ? で取材? 受けて、ついでにいろいろ見せてもらうって」
「……そうか、嬢ちゃんもこれから大変だなぁ」
「どうして?」
取材で何が大変になるんだろ?
天狗でもあるまいし。
「ま、嬢ちゃんも有名人ってことだ」
「??」
なんで、有名人?
「さあ、さっさと飯だ! 食ったら荷物運び頼むぜ!!」
「はーい」
ま、いっか。
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~稗田阿求~
「……はい、有難う御座いました」
「いえ……これでよかったのですか? ほとんどオフレコにしてもらいましたが……」
私は今、依頼で稗田家に来ている、なんでも、幻想郷縁起とかいうのの取材らしい。
「はい、大丈夫ですよ、実際のところ、他の方の項目も水増ししている部分もありますし、私の憶測も多いですから、一部書かないというのも、問題ありません」
「そうなんですか……」
それはいいのだろうか?
「まあ、今の幻想郷ならではですね……それで、報酬の件ですが、幻想郷縁起の観覧、その他あるのであれば、綾香さんの求める情報や資料でしたね」
「あ、いいんですか? オフレコの話も多かったのに」
正直、報酬貰ってもいいのか迷うレベルだ……
「構いませんよ、お話を聞けただけでも、私には充分ですし、私以外見ることのできない資料もありますから、それに幻想郷縁起自体は、観覧に制限は特にありませんから」
「なるほど」
つまり、記録自体はするのか。
「それで、あなたが求める情報とは?」
「えっと、鬼……特に酒呑童子や、その配下と言われる茨木童子について、後は殺生石についてですね」
「ふむ、それでしたら、ほとんどの物が、伝承等の不確かな物になりますが、構いませんか?」
「はい、大丈夫です」
そこまで期待はしていないし、伝承だけでも充分だろう。
「それと、今日は泊まっていくのですよね?」
「はい、可能ならば」
フランには伝えてあるし、ある程度、一気に読んじゃいたいし。
「問題ありませんよ、それに、ほとんどが持ち出し厳禁ですし、泊まっていかれた方がいいでしょう」
「ああ、そうなんですか……」
「はい、幻想郷縁起はすぐにでも大丈夫ですが、他の資料は少し時間をいただけますか?」
「あ、大丈夫です」
こっちから頼んでるようなもんだし。
「では、幻想郷縁起をどうぞ、先程も言いましたが、水増しや、憶測も含まれていますので、ご注意を、他の資料は明日の朝には、用意しておきます」
「はい、ありがとうございます」
さてと、これでいろいろ、わかるといいんだけどね……
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~???~
しっかし、幻想郷縁起の取材ねぇ、はやくも嬢ちゃんは有名人だな、まあ、悪魔の妹を連れ歩いてんだ、それだけで充分有名になるか、これから大変だぞ、嬢ちゃん。
ま、嬢ちゃんなら大丈夫だろうけどな。
酒屋さん
酒屋をやってるから酒屋さん。
本名は知られていない、実は能力持ち。
彼の本名も能力も、本編で明かされる事は無いだろう。
多分出番もない。




