11話~出発?~
荷物を纏めていく、いくつか、能力とは別にもらった物もあるのだ。
まあ、服とか、ナイフとかもそうだけど、他にもいろいろ。
ナイフはやはり、咲夜が使ってる物と同じらしい、必要になったらまたくれるとのこと、これには甘えとこう。
コートは凄い代物だった、なんと、自動修復機能が付いてるのだ、これからのことを考えれば、これほど助かる物はない、と思っていたが、もう一つ、面白い物をもらった。
縄鏢……縄の先に短剣状の刃物がついた武器だ、鎖鎌の鎌の部分が、短剣になっていると言えば、イメージしやすいだろうか?
まあ、使い方は鎖鎌とは違うが、イメージは近いだろう、鎖ではなく、縄だけど。
さらに言えば、私がもらった物は縄が細いのだ、それこそ、ほとんど視認できない程に、しかも吸血鬼の力でもちぎれないとのお墨付き。
本来は扱いの難しい武器だが、私の能力を考えればこれほどいい武器はないかもしれない、これをスペアを含め四本ほどもらった。
……なんか、もらい過ぎてる気がするが、くれるもんはもらっとこう。
さてと、これで全部かな?
ポーチも、不思議なもので、見た目より物が入るのだ、うん、いいのかな、ほんと……
「綾香ー! 準備終わったー?」
「ええ、大丈夫よ、もう終わる」
フランの声が聞こえたので、答えておく。
「わかったー! 先行ってるねー!」
「ええ、わかったわ」
そんな、大声出さなくても……
さて、とっとと終わらせますか。
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「ほら、はやく行こうよ!」
「フラン、そんなに急がなくても……」
まあ、少しフランの話は聞いたから、楽しみなんだろうが……
そんなやりとりをしながら、門に到着する。
「綾香様、妹様、お話は聞いております、お気を付けて、いってらっしゃいませ」
「美鈴、行ってくるね!」
フランと美鈴さんが挨拶をかわしている。
私は、少し離れたところで、それを見ていた。
「綾香様、少々よろしいでしょうか?」
「ん? 咲夜、どうしたの?」
いきなり話しかけてくるな、驚く。
「……少しこちらへ」
とりあえず、咲夜についていく。
そして、紅魔館から少し離れたところに止まる。
「綾香様……いえ、綾香、どうか、妹様をお願いね」
「……ええ、当たり前よ、と言っても、ずっと私のとこにいるわけじゃないわよ?」
……敬語じゃなくても、話せるのか。
「わかってるわ、でも、あんなに楽しそうな妹様、久しぶりに見たから、だからね」
「……まあ、私のとこにいる間は、ちゃんと面倒見るわよ、楽しいかは、わからないけどね」
「ええ、よろしく頼むわね、妹様は世間知らずだから……」
「わかってるわよ……」
「咲夜ー! 綾香ー! 何はなしてるのー!」
「妹様、少しご挨拶をと思いまして、もう話は終わりましたよ」
「そっかー! じゃあ、綾香、早く行こー!!」
「わかったわよ…………咲夜、またね」
「……ええ、また会いましょ、綾香」
―――――――――――――――
「ねぇ、咲夜と何話してたの?」
「別に、咲夜の言ってた通り、挨拶だけよ」
「ふーん? ところでさ、このまま歩いてくの?」
そう、今は人里に向かって歩いているのだ。
「……私は飛べないのよ」
「うーん? でも、遠いよ、綾香、私に掴まってよ、私が運ぶからさ」
……こう、ちっちゃい子に運ばれるのもアレだが、しかし、このまま歩いていくのは、時間がかかりすぎるか。
「……お願いしていい? フラン」
「ふふん、任せてよ、じゃ、しっかり掴まってよ!」
そう言いながら、私の腕を掴み、いきなり飛び始めるフラン。
ちょっ、痛いし、怖いし!?
「フ、フラン、いきなりは……」
「あ、ごめんごめん、大丈夫?」
「ええ、なんとか」
あんま、大丈夫じゃない。
「ところでさ」
「ん?」
「人里って、どっち?」
……これは、思った以上に、苦労しそうだ。
「あっちの方ね……」
「わかった、あんまり飛ばさない方がいいよね?」
「ええ……」
「よし、じゃあ、出発ー!」
こうして、私は何故か、フランと行動をともにすることになったのだった。




