9話~能力~
私の能力、この世界……幻想郷風に言うなら。
"指定したものを封印し操る程度の能力"
封印せずに操ることも出来るし、封印だけというのも、もちろん出来る。
ただ、封印するにしても、いくつか条件がある、詳しくは言わないが、一つだけ教えると、私自身の体で触れる必要があるということ。
操るにも、条件がある、封印中であるか、操るものの本来の持ち主の許可があるか、そのどちらかを満たせば操れる。
許可は何らかの形の契約で行われる、単純に物だったら、ただ買ったり、貰ったりで、私の所有物になれば操れる。
契約の仕方は特に決まっていない、お互いが納得する方法であれば、問題はない。
封印中、もしくは許可さえあれば、他人の能力やスペルカードも使用出来る。
他にも、制限や、許可なしに能力などを使う方法とかもあるけど、とりあえずはここまで。
右腕に関しては、黙秘させてもらうわね。
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「以上、なにか質問は?」
さて、結構詳しく話してしまったかもしれない、まあ、ちょっと思うこともあるからだが。
「同時に操れる数、いや、封印もかな? それにも制限あるよね?」
「……ええ、流石に限界を教えるつもりはないけどね」
ま、これは気づかれると思ってた。
「…………なるほど、貴女の能力はわかったわ、それに、なぜ私達に教えたのかも、直球に聞きましょう、貴女は報酬として、何を望むの?」
……流石と言うべきかな、ま、たかが人間の考えることなんて、おみとうしかもしれないけど。
「……そうね、私は報酬として、能力やスペルカード、及びその使用許可を求めるわ」
そう、あそこまで教えたのはこのためだ、本格的に命の危機だったんだ、貰えるだけ貰いたい。
「……そう、いいわよ、能力についてだけど、使用の許可以外に、なにか条件はあるのかしら?」
……まさか、本気で貰えるとは。
「……一度封印したことのある能力であること、それに、封印するためにも、相手の能力を知っている……できれば見たことがある方がいいけど、その必要があるわ、これは、スペルカードにも言えることみたいね」
フランとの戦闘でわかったことだが。
「そう……戦闘に役立つ方がいいのよね?」
「……そうね、そっちのほうが」
この世界のことを考えると、その方がいいだろう。
「そうね、私のスペルカード見せてもいいんだけど……フランはどうするのかしら?」
「ん? 私は報酬とか関係なしに、使ってもいいと思ってるよ?」
「……いいの?」
普通、自分の力を他人に使わせるなんて、躊躇うと思うが……
「うん! だって、その方がたのしそうじゃん!!」
ああ、なんとなく、この子のことわかってきたかも。
「……まあ、そうゆうことなら、遠慮なく、後で、どんな形でも構わないので、契約を」
「うん!」
フランの能力は強力だ、いくら劣化するとはいえ、それでも、使えるにこしたことはない。
「……そうね、役に立ちそうなのわ、咲夜や美鈴の能力かしらね、美鈴の能力の方が、貴女には役に立つかしら? ……まあ、呼んでくるのもめんどくさいし、咲夜、見せてあげなさい」
「はい」
……もしかして、咲夜の能力を?
どんな能力かは、わからないけど、役に立つと言うからには、そうなんだろうけど、いいのか?
「ああ、構いませんよ、これは、貴女に対する正当な報酬です」
「……そう、それなら」
心を読むな……
「では、こちらをご覧下さい」
そう言って、咲夜は何処からともなく、カードを取り出す、トランプのスペードのエースだな。
……今、どこから出した?
「では、このカードになにかお書きになってください」
そうして、カードと、ついでにペンも渡される。
……これって、手品じゃ?
まあ、とりあえず、従おう。
「……これで、いいですか?」
なんとなく、星マークを書いてみた。
それを、咲夜に渡す。
「では、よく見ててくださいね」
そう言って、カードをよく見えるようにかざす咲夜。
ただ、次の瞬間、そのカードが消えた。
「では、綾香様、ポーチを確認してください」
言われたまま、ポーチを確認する。
そこには、先ほど、確かに私が星マークを書いた、カードがはいっていた。
…………やっぱり手品じゃ?
「さて、これが私のタネなしマジックでございます」
「タネなし? ……なるほど、仕掛けはあるのね?」
それが、咲夜の能力。
「はい、私の能力、時を操る程度の能力でございます」
なるほど、そりゃあ、タネは必要ないわね。
「で、とりあえず、これでいいのよね? 後は、一度封印しなきゃいけないんだっけ?」
「ええ……いいんですか?」
いくらなんでも、心配になってきた。
「はい、構いません、どうぞ」
「……それなら」
まあ、本人がいいと言っているのだ、とりあえず、弾幕ごっこってわけでもないし、スペカ使わなくてもいいか。
咲夜に左手で触れる。
「行きます……限定封印」
声に出して封印をする、この方が楽なのだ。
「どうかしら、咲夜」
「……確かに、能力の使用が出来なくなっていますね、ただ、能力で広げてある空間はそのままのようです。」
「そう、予想通りね、封印する前に使っていた分はそのまま残るみたいね」
……能力で空間を広げてた?
時を操る程度の能力でどうやって?
いや、それよりも、もし広げてた空間が戻ったりしたらどうするつもりだったんだ……
「さて、綾香、貴女はどうかしら?」
……まあ、気にしないことにしよう、これも、スペカは必要ない、声に出すだけで、本来は充分なのだ。
「……時を操る程度の能力」
とにかく、使ってみる。
一度封印することで、私はその能力のことがある程度わかるのだ、使用すれば、もっとわかる。
……なるほど、今の私に出来そうなのは。
「……時よ止まれ」
その瞬間、周りのすべてが動きを止める。
これは、確かに役立ちそうだ。
ただ……
「…………ふう」
効果時間は今はまだ、短い。
「どうかしら?」
「……ほぼ問題なく」
「そういえば、私と戦ったときに劣化するとか言ってたっけ?」
「ええ、流石に人の能力操るのは、難しいので」
「それに、右腕も動いてないわね、やっぱり、制限は多いみたいね」
「……ええ」
まあ、確かに、今は右腕は動かせない、戦闘でもないんだ、さっさと返そう。
「……封印解除」
とりあえず、咲夜に触れ、能力の解除を行う。
「解除ですか……確かに私の能力は使えるようになってますね」
「あら、解除しちゃったの? なんなら、詳しい効果時間も知りたかったのに」
「……レミリア」
「ふふ、冗談よ、契約の形はなんでもいいのよね?」
「ええ、それが?」
「では、この私、レミリア・スカーレットが立ち会って、契約を行いましょうか、悪魔の契約をね……」
「……悪魔の契約、絶対に破られることのない契約でしたっけ?」
「ふふ、そうよ、よく知ってるわね?」
「まあ、少しなら」
いわゆる、黒歴史の遺産ってやつだ。
「ふふ、とりあえず、少し待っててくれるかしら? 」
「ええ、わかったわ」
「ありがとう、では、また後でね」
悪魔の契約か……
契約内容には、気を付けないとな。




