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18話目

「はあ、」

「遥佳まだ落ち込んでるの?優勝できなくてもインターハイの結果には変わらないんだからそんなに悩まなくても。」

「そうだよ、決勝で遥佳だけ外して二位とか気にしなくていいんだって。決勝に進めたのも遥佳の全射皆中があったからだし」

「肝心なところで中らないのがね、詰めが甘いってお兄ちゃんに言われたし、・・・はあ。」


地方大会では最後の最後ではずし優勝することができなかった。

そこまで落ち込まなくてもいいと先輩たちも空と奈都も言ってくれるが、これは自分の問題。

今までの大会ではそうでもなかったが、さすがに地方大会では最後の一手、これで優勝が決まるというときには緊張した。

競技中に緊張したりすることは今までなかったし、立ちに入ると集中して緊張はきえてなくなっていたのに今回は消えてくれなかった。

その緊張に負けて外したということが納得いかなかったしどうすれば解決するのかわからないのでもしインターハイで同じような状態になってしまったらという考えでいっぱいいっぱいになってしまっている。


「ちょっと飲み物買ってくるね。」


今日の部活は合同練習だったので部活動の時間が終わってからレギュラー陣が自主練ができるように篠田先輩が道場の予約を取ってくれた。

ので、いま部活が終わり自主練しているのは男子と女子のレギュラー陣だけ。

といっても控えも含めて14人が練習している。

最近はさすがにあの三人も話しかけてこない。

それだけ気合が入っているということなのだとおもう。


「おう、どうした?」

「篠田先輩。飲み物なくなったので買いに。」

「そっか、最近あつさがましたからなー水分不足になんなよ。」

「はい。」


自動販売機の前には篠田先輩がいて、さっきまで落ち込んでいたこころが浮上するのがわかった。

最近は話しかけるきっかけがなかったからあまり話していないし、こうやって篠田先輩に話しかけてもらうのも久しぶりだ。

相談、してみようか。

ふとそう思った。

思えば県大会の時も篠田先輩に相談に乗ってもらった。

その時から先輩のことが好きになった。

話しているだけで何か解決するかもしれないしこのままへこんでいるよりはいい気がする。

それに少しでもそばにいたい。

これが一番大きな理由だったりする。


「先輩、前と同じ相談してもいいですか?」

「なんだ?ああ、緊張をどうやったらなくせるかってことだっけ。」

「はい、でも今回は立ちに入る前に緊張してどうしようもないってことではなくて、あと一手で優勝が決まるとき、緊張してどうしようもないってことなんですけど。」


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