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15話目

「「「お疲れ様でしたー」」」


祝賀会が終わり、ちょっと甘いものを食べに行こうと三人で行きつけのカフェ的な場所に向かおうとした。


「ハル!」

「お兄ちゃん。どうしたの?」

「迎えに来たの。今日は久しぶりに4人で外食の予定だろ?」

「あ、」


毎年家族の誕生日の4回はそろって外食に行く。

今日は、母親の誕生日だった。

最近の部活の忙しさと期末試験、さらに篠田先輩のことが加わり私の脳内はなかなか忙しく、毎年恒例の行事のことをすっかり忘れていた。


「二人ともホントにごめん、お母さんの誕生日だから帰らないと。」

「ああ、家族で外食の日なんだっけ?前に聞いたような気がする。」

「なら仕方ないね。また明日学校で。」

「うん、じゃあね。」


空と奈都に事情を話し、別れた。

母への誕生日プレゼントも買っていないから家に帰る前にどこかで探さなければならないし。


「ハル、誕生日プレゼント買ってないだろ。」

「・・・うん。すっかり忘れてた。」

「おらがいつも言ってる店でいいなら行くか?レディースも結構あるし、プレゼント用になるものが多い。」

「ちなみにお兄ちゃんは何買ったの?」

「今年はアロマセットだな。去年買った車の芳香剤気に入ったみたいだったからそれと同じ香りのやつ。車用だって言ってるのに部屋で使ってたから部屋用を買ったんだ。」

「そっか・・・お父さんは毎年バラの花束だし。何にしようかな・・・」


中学まではおこずかいも少なかったから兄と共同で送っていた。

実際何かを送るというときどうすればいいのか迷う。


「去年と同じくバスセットにしようか、それとも・・・」


周りにある店に目線を向けるとちょうど右前方にある店が目に留まった。


「アクセサリー?」


ウインドーガラスをのぞいてみると銀細工のアクセサリーを置いている店みたいだ。

その中の一つ、赤い石を使ったブローチ。

美しい細工と目を引く赤色に直感で思った。


「これだ!」

「えっ」


いつの間にか先に歩いていた兄が振り向いて私の隣に立った。


「どれ?」

「この赤い石のついた月モチーフのブローチ!お母さんポイでしょ!」

「確かに、ぽいね。」


店の中に入り、値段を確認する。

何とか今月のおこずかいで買えるくらいで安心。


「ハル。」


わくわくとレジに向かい支払いとプレゼント用の包装を頼んだとき、兄が手招きをしているが見えた。


「どうしたの?」

「これ、」


指差したのは深い青の石のついたピン型のブローチ。

星モチーフが揺れているものだった。


「ハルっぽいなって。」

「そう?私青のイメージって言われたことないんだけど。」


兄はゆっくり顔を横に振った。


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