14話目
「では、これからの活躍を祈って、かんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
乾杯で焼肉が始まると、男子部のほうは無言で食べ始めた。
12時まで練習して、そのあと移動と最初の挨拶で13時半を回っている。
挨拶の時もおなかがなっている人もいたし仕方がないのかもしれない。
「遥佳、たべないの?」
「食べるけど、男子の食べ方見てたら驚いて。」
「ああ、私も家だとあんな感じだよ?上と下に男の兄弟いると獲られるって思うことが多くて、その前に食べなきゃってなる。遥佳の家ではなかった?」
「うん。私もお兄ちゃんもそんなに食べることに執着してないっていうか・・・お母さんたちがいないとめんどくさいってなることがあって夜ごはん食べなかったりするんだよね。」
「ダメだよそれ。ちゃんと三食食べないと。」
「だよねー」
話しながらゆっくり焼肉を食べていると奈都が突然、
「遥佳好きな人できたの?」
そう聞いてきた。
なんとなく言いそびれてしまい、篠田部長のことが好きとは二人には言えていなかった。
「え、あー・・・うん。」
「嘘、いつ!」
「県大会の時かな・・・」
「なんとなくそのあたりから遥佳の様子変わったからそうなのかなって思って聞いたんだけど、で相手は誰?」
にやにやと笑いながら詰め寄ってくる二人にちょっとだけ恐怖心を抱きながら答えようとした。
「遥佳。」
「篠田部長。どうかしたんですか?」
「そうですよー今いいところだったのに。」
「あー橋本と利賀か、邪魔したか?」
突然現れた先輩に驚いて持っていた箸が落ちそうになった。
空と奈都は篠田部長のほうを向いたからわからなかったみたいだけど篠田部長はちょっと笑っている。
恥ずかしさで顔が赤くなるのを落ち着けて、口を開いた。
「いえ、大丈夫です。どうかしましたか?」
「いや、県大会の日あの後話せなかったから、気になってたんだ。おまじないきいたか?」
「はい!今まで以上に集中できました!」
「そっか。お兄さんのことも気にならないくらいなら・・・」
「あ、それは大丈夫です。兄に家に帰ってから聞いてみたら、今までも紹介したかったんだけどタイミングがつかめなかっただけで今の彼女が特別私より好きというわけではないみたいでした。」
「・・・それに疑問は持たないのか?」
「えっと・・・何にでしょう。」
何に疑問を抱いたらいいのかわからず聞いてみたら篠田部長だけではなく空と奈都にもため息をつかれた。
「一番のライバルはお兄さんってことか。」
先輩がそうつぶやいたのはため息にまぎれて私まで届かなかった。




