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兄の思い

俺が、シスコンなのは前世の世界の俺の時から変わらないことだった。

以前の俺はいわゆるダメ人間で、親のすねをかじって生活しているニートだった。

そんな以前の俺にも妹がいて、寄生虫一直線だった俺を何とかまだまともな人間にしてくれたのは妹だった。


「お兄ちゃんってさ、そのままずっとバカみたいに生きてくつもりなの?」


妹とは五つ歳が違い、ずっと妹の憧れでいたいと思っていた。

でも、大学を卒業し地元に帰ってきた妹に会うなり言われた一言と、その軽蔑の色を含んだまなざしで目を覚ました。


いつから妹はおれを軽蔑した目で見るようになった?


思い出せない。

思い出せないほど昔からだったのはわかる。


せめて、妹に嫌われたくない。


その当時はなんとも思っていなかったけど今考えるとただのシスコンだった。


「私のこと、好き?」


翠のその一言で思考の海から引き戻された。

今は、そうハルの弓道の大会を見に来ている。

隣にいるのは大学に入ったくらいから付き合っている翠。

ずっと話しているタイプではない彼女の隣は落ち着く。


「好きだよ。どうかした?」

「いや、妹さん見てたら私は一番にはなれないんじゃないかなって思って。」

「一番好きだから、付き合ってるつもりなんだけど。」


そうじゃなくてと、翠はいい、まっすぐ俺の目を見て告げた。


「君の中で人間として一番好きなのは妹さんでしょ?私は他人の中で一番好きってことなんだなと思って。」


君の家族愛は気づいていたけどここまでとは。なかなかきびしいなあ・・・


そういっているけれど、翠の目は軽蔑や落胆の色は入ってなかった。


「軽蔑しないの?」

「しないよ、だって・・・」


私が家族の中に入ったらそのくらい大切にしてくれるってことでしょ。


今までかわいいとは思っていたが、背筋を伸ばし笑う彼女はとても美しかった。


「翠、好きだよ。今、今まで感じてた中で一番強く思った。」

次はプレイヤー目線です。

実はプレイヤーははこの会話聞いています。

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