プロローグ
暗く誰もいない森の中に一人の少年と少女がいた。
虫たちが美しい音を奏でていたが焚火の音が五月蝿くてよく聞こえない。
二人は毛布を被りながら、夜空に瞬く星たちを眺めていた。キラキラと輝く星たちを見ながら少女は尋ねる。
「ねえ明日はどの町に行くの?」
少年は少し考えてから答えた。
「分からないな。僕はいつも気まぐれで旅をするから」
少女が何気なくふーんと答える。
少年がどうしてだいと尋ねると、少女は目を閉じながら答えた。
「旅が楽しいから」
少年はそうだねと相槌を打ちまた夜空を見上げた。星たちが煌々と輝いている。
しばらく見ていたが眠たくなったようで立ち上がり火の側による。
少女の方を向いて少年は言った。
「おやすみ……明日も楽しい旅にしようね」
だが少女からは返事は聞こえず、スウスウと寝息を立てて眠っていた。
その様子に少年は少し微笑んで焚火に土をかける。火は消え周りは完全な闇の世界に変わった。
少年はまた毛布に包まる。
夜の森に虫たちが奏でる音が響き渡る。それはとても美しかった。人の世界もこの音のように美しいのだろうか。
答えは見つからない。
この夜空に瞬く星のように美しくもあれば、この森の闇のように暗く、美しくないものもある。
だがそれらが合わさってこそ人の世界というものは美しいのではないか。
答えは見つからない。




