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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

誕生日に振られた彼女の話

作者: 血切

「少しの間、距離を置こう。ちゃんと迎えにいくから」




その日は、私の誕生日で、彼とは夜に会うことになっていた。


彼は仕事があるからその後にお祝いしたいから会おう、と。


ご飯は先に済ませて、そわそわしながら待っていた。きっとこの日が最後なんだろうなと不安になっていたら、思っていた通りで。




「大丈夫。少しの間だけだから、ね。あとこれ、お誕生日だから、ケーキ。誕生日おめでとう」



受け取ったのは、コンビニの2個入のチョコレートケーキ。


この状況でお祝いされても嬉しさより悲しみの方が勝ってしまう。


別れるのは嫌だと駄々をこねてみるも、別れるのではなく距離を置くだけだから、と意見は変えてくれない。距離を置くだけならと私は彼に折れた。いつもは沢山お話するのに、その日はそれだけ言って渡すだけ渡すと日付をまたぐ前に家に帰されてしまった。




家に帰ってから、涙は溢れ留まることを知らない。


泣きながらケーキを食べる。甘ったるいはずのケーキは涙で味が分からなかった。




別れることになるのではと薄々前から勘づいていた。


私と仲が良かった親戚の椿(つばき)に彼を紹介してから何かモヤモヤしていた。頻繁にSNSで返信しているし、彼とは私より仲が良くなっている気がする。




薄々勘づいていても、私は相当ショックだった。


その日は眠れるはずもなく、泣き続け朝を迎えてしまった。


仕事だからと泣きながら準備をし、出社する。出社しても、ふとした時に涙が溢れてきてしまうからこらえて、我慢して。お昼休みに思いっきり泣いて、こらえて。


家に帰っても泣いて。その日から眠れなくなった。


彼も見ていたSNSで病み散らかした。彼からはブロックされた。




私はメッセージでブロックした理由を聞いてみると「自分が理由で病まれているところを見るのはキツイから」と返ってきた。それはそうだな。その後、そのメッセージアプリからもブロックされた。


私にはもう彼へと連絡する手段は全てブロックされてしまい残されていなかった。




眠れなくなったあの日から3か月が過ぎた。


私はまだ1日中泣き続ける生活を続けていた。椿とは彼にブロックされた後から会っていなかった。


私はブロックされたあの日、捨てアカを作った。それからずっと彼のSNSアカウントを監視していた。呟きから返信、お気に入りまでの全て。彼に私がブロックされた後も椿は仲良くしていた。一緒にお出かけもしていたみたい。憎い。とてもとても憎い。



憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。


私は天井の梁に紐をかけた。もう考えることなどないのだ。














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