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詩集:青空なき獄中の記

四枚の同居人

作者: 歌川 詩季

「四」も、よくある数字です。

 あの天井(てんじょう)さえ無ければ

 四方の囲いが いくら高く(そび)えようと

 画用紙一枚ぶんに 切り取られた空が

 この目にも映るのだろうに

 憎むべきは やたら小綺麗なあの天井か



 無愛想な四枚の同居人に

 四人の預言者の名を当てて

 投げかけど 返される望みなど持つでもないが

 問答を交わすかわりにと

 赤い唇もない横一文字を刻む



 薄汚れた四枚の同居人に

 四方の獣の名を冠して

 残された幾許(いくばく)か まるで知る(よし)もないが

 (こよみ)をめくるかわりにと

 赤く()れもしない引っ掻き傷をつける


 無辜(むこ)の身で 投じられた小部屋の床に

 (くら)(よど)みを ()き詰める我には

「正」の文字にて 歳月を()くことは

 もはや 叶わず


 (じゅう)に積まれぬ傷(あと)

 (ひゃく)(たば)ねられぬ傷(あと)

 (せん)に届こうかという傷(あと)

 四枚の同居人の

 もとはのっぺりとした そのつらに

 愛しさを()って 忌まわしさを込めて

 深く 刻みつける



 節くれた枯れ木のような両の手から

 枝分かれした十の指に貼りつくは ひび割れし爪

 欠けるがいい 割れるもいい

 すべて 砕け落ちるが早いか

 

 すでにのっぺりとは呼べぬ

 四枚の同居人の そのつら満面を

 歳月を()くこともない傷(あと)

 びっしり 埋め尽くすが早いか


 もの言わぬ四枚の同居人に

 四人の預言者の名を当てて

 投げかけど返される 望みなど持つでもないが

 その問いの答えを知る日が やがて来るのか

 その問いの答えを知らぬまま 果てる日が来るのか

 生まれた 新たな問いは 彼らに投げかけるまでもなく



 あの天井(てんじょう)さえ無ければ

 四方の囲いが たとえ笑みを浮かべられたとしても

 画用紙一枚ぶんに 切り取られた空に

 心を奪われていただろう

 有り(がた)きは やたら小綺麗なあの天井か

「四方の獣」は。

 四獣の青龍・白虎・朱雀・玄武でも。十二支の子・卯・午・酉でも、どっちでもいいです(笑)


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立花 優先生
― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよ、最終章にまで、近づいてきましたね。あと、昨日のリンクを張る件、教えて頂き、ありがとうございました。 [気になる点] 無 [一言] 無
[良い点] おぉ、これもまたいきのつまる、凄ましさですね。 天井が有り難きか、まためぐって、無ければにになるのか。
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