第3章 わんわんの賭け
新撰組に囲まれた坂本達、麻美と恭子は怖くて震えている。
「何者だ貴様ら、妙な格好しおって」
剣先を喉の近くまで突きつけられる。
刀を突きつけられた事など当然ない坂本達は恐怖した。
「答えよ、答えなければ斬るぞ!」
更に詰め寄る新撰組隊士。
「答えろって言われても…」
剣先を見ながら怯え答える坂本。
そこにもう1人隊士が姿を表す。
「おーい3人は捕まえたのか?」
槍をカカシの様に担ぎ、どこか惚けた様に喋る新撰組の男。
「ん?誰だコイツら?」
「はっ!3人を追っかけている時に出くわしました」
隊士は丁寧な言葉使いでこの男に坂本達の報告をした。
「ふーん。なんか妙な格好してるな」
「斬りますか?」
隊士達は刀に力を入れる。
冷や汗が滲み出る坂本達は怯えた。
「ふっ いやいいよ。怯えてるじゃんか、刀を下せ」
男は笑いながら刀を部下に下ろさせる。
全員助かったとほっとした。
「だけど屯所まで来てもらうぞ。怪し事は確かなんだからな、おい縄で縛って連れてくぞ」
坂本達は縄で手を後ろに縛られた。
「隊長、3人はどないしますか?」
「役所に届けておけばいいよ。後は役人が片付けるだろうよ」
それを聞いた坂本の表情が変わった。
(隊長だと…?新撰組の隊長で槍の名手と言えば、7番隊谷三十郎と10番隊原田左之助…まじかよ)
「おい、女は縄で縛らんでいいぞ。俺の横を歩かせるからな」
「はっ!」
こうして坂本達は連行されて行った。
歩いてる最中にわんわんが坂本に小さい声で話しかける。
「どこ連れて行かれるんだよ。てかあいつらなんだよ」
「たぶん八木邸だよ」
「八木邸?」
「そこに新撰組の屯所があるんだよ」
それを聞いて更にわんわんが隊士に気がつかれない様に囁く。
「そこでなにされるんだよ?」
「わからないけど、かなりやばいよ。ここが本当に幕末期なら…」
「なに言ってんだよ、そんな事あるわけないだろ!」
「じゃあなんで平気で人斬って堂々としてるんだよ!普通に考えたら幕末の日本に、タイムリープしたって考えた方が辻褄が合うだろうよ!」
声を荒けた坂本に気がつき怒鳴りつける隊士。
「そこ喋ってないでさっさと歩け!」
怒鳴られ黙り込む坂本とわんわん。
そしてしばらく歩くと坂本が見覚えのある家にたどり着く。
八木邸とその迎え側に前川邸だ。
新選組はこの2軒を借りて屯所としていのだ。
八木邸の前では1人の子供が遊んでいて、隊長と呼ばれた男が子供に話しかける。
「おい坊主、相変わらず元気だな」
話しかけられた子供は怯えるように走って八木邸に入ていった。
「相変わらず愛想がないガキだな」
坂本はその子供を見て呟く。
「八木為三郎…」
それを聞き逃さなかった隊長は鋭い眼差しで坂本を見た。
八木邸に入ると沢山の隊士が居る。
掃除するもの縁側で横になる者、稽古をしてる者。
坂本達が来るや否、隊士達は体を止めてこっちを見つめる。
それもそのはず、坂本達の姿は幕末時代にはありえない姿なのである。
そして坂本達は一間に押し込まれてしまった。
一間に押し込まれ、状況がわからなく混乱する坂本達だが、5人になって安心したのか、それぞれの思いが爆発した。
先ずは麻美が口を開く。
「状況が全くわからない!ここはどこ?」
「新撰組の屯所だよ」
「は?新撰組ってなんだよ?どうゆう事?なんで人が殺されたの?もうわけがわからないよ」
目に涙を浮かべながら落ち込む麻美。
更に恭子が坂本に問いただした。
「もっさんここ来たことあるの?」
「あるよ2回、新撰組の屯所の跡地として解放してるんだよ」
「そうゆう事ね。なら全然変わってないでしょ?」
「うん。全く」
そこにのりおが口を開く。
「じゃあ、ここは本当に幕末の日本なんですか?」
小さく頷く坂本。
「もう知らない!帰りたい!」
泣き出す麻美。
麻美を抱きしめ落ち着かせる恭子。
絶望的な状況に陥って途方に暮れる坂本達だった。