第1章 いざ京都へ
2000年愛知県 鈴木家
階段をドタバタ上がってる来る音が聞こえ、部屋の扉が開き若い金髪の男が入ってくる。
「ノックをしなさい」と呆れた顔で言う男に対して無視するかのように話す金髪男。
「おーいわんわん?昨日の合コンの女あの後どうなった?」
「ん?ああ…」
「やったのね…」
「やってないし、ただ一緒に寝てたらうっかり寝返りで刺さっただけだし…」
「んな事あるかいっ」
真顔でふざけた事を言うわんわんと言うこの男。
本名 鈴木康孝(20歳)フリーター 通称わんわん
髪は長髪でメッシュが入っていて、いつも後ろで結んでいる。
身長は176センチ。
大の女好き、頭の回転が早く口も達者仲間からは、政治家になるべきだと言われてるが本人はその気もない。
中学の時、教師と口論になり論破してしまう。
そのあと、校長室に呼ばれるも今度は校長を論破してしまう。
なぜわんわんと呼ばれてるか後にわかるが、まだまだ先の話である。
小学生の頃から呼ばれている。
「もっさんはどうなったの?」
わんわんはニヤニヤしながら聞く。
「散々だったよ…お前があの子とバックれた後、偶然あの居酒屋に居た麻美と麻美のねーちゃんに絡まれるし最悪だよ」
「うける」
「クソ酔っててめっちゃ絡んで来た」
わんわんの言うこのもっさん。
この小説の主人公 坂本透(21歳)会社員 通称もっさん
身長は180センチ 短髪で金髪。
歴史が大好きで三国志、戦国から第二次世界大戦後まで詳しい。
趣味は歴史巡りで今度わんわん達と京都大阪の旅行を計画している。
居酒屋で出くわした麻美も紹介しておこう。
名前は近藤麻美(20歳)短大生。
159センチ セミロングでメッシュを入れている。
目がクリっとして可愛らしい女性。
坂本とわんわんと小中高の幼馴染である。
中学の時わんわんの兄貴の車を夜中に、坂本と麻美の3人で乗り回して、警察に見つかり追いかけられ捕まったのだが、なぜか停車した時、麻美の姿はなかった。
後で聞いた話しだが2人が警察でこってり絞られてる時、学校で話題になっていたが、先頭切って2人を批判していたのがこの麻美だと言う。
なんとも末恐ろしい女である。
趣味は城巡り。
だからと言って歴史に詳しいわけでもない。
ただ黒い城が好きらしく、坂本が1度「なぜ黒い城が好きなの?」って尋ねた時に「黒い城ってさ、なんか作った人が病んでて、その人の闇みたいでいいよね。なんかキュンてしちゃう」と笑いながら言って、それを聞いた坂本はコイツの闇の方が怖いと思った。
しかしそんな謎めいた闇の持ち主の麻美だが、クラスでは明るく美系で人気もあった。
そしてもう1人部屋に入って来た。
坂本達の1つ下の長身の男。
「チース」
わんわんと坂本同時に言う。
「ノックくらいしなさい」
その男は栗田紀夫(20歳)フリーター 通称のりお君。
184センチ 長髪で軽いテンパー。
普段からなにも考えてなくあんまり感情を表に出さない。
のりおもわんわん同様、大の女好きである。
長身で温厚のため、女子から人気は高かった。
記憶力がバツくんで今まで合コンで出会った女の子の顔と名前は全て把握している。
「もっさん酷いですよ。麻美さん達合流してその後トイレって言って逃げたでしょ?」
「逃げてない。帰っただけ。」
「同じでしょ?金払ってくださいね」
呆れた顔で話すのりおに対してなんの悪ぶれた様子もない坂本。
「悪いとは思ってるよ」
「顔の表情と言葉が全く合ってないですよ。とにかくたくちゃんと俺で払ったんですからね。なんか知らないけど、麻美さん達の分まで払わされて...」
「知らんがな!麻美の分は麻美に請求しろよっ」
「無理ですよ!!あの人の財布見た事ありますか?一説によるとツチノコ見つけるくらいあの人の財布を見るの難しいらしいですよっ」
坂本とわんわんは目を合わせて頷く。
「そういやあいつの財布小学校の頃から見たことないな…」
「うん…てかあいつ金払ったの見たことない…」
2人は苦笑いをして斧のめいた。
そして紀夫の携帯が鳴りメールが届く。
「あ...タクちゃん今から来ますって」
たくちゃんとは、のりおの同級生で中谷拓司(19歳)フリーター
陸上部出身で足が速い。 通称タクちゃん
身長181センチ 長髪で金髪。
低姿勢で、周りに気ばっか使ってる。
しかし1度キレると熱くなりやすい。
中学校の時のりおと2人で帰ってる時狭い道で車が、のりおの右肘に軽く当たり、車はそのまま気がつかず走行、拓司は激怒して追っかけたのだが、当然車の方が早く追いつかないのだが、怒りと真面目さが彼を止めさせなく、1時間くらい追いかけた。
最後なぜ自分が走ってるのかがわからなくなって、家に帰った時、母親に試合に負けて勝負に勝ったと訳の分からない事言ったらしい。
その拓司も合流した。
「お疲れ様です。」
3人は同時に「ノックくらいしなさい」
もはやこれがこの人達の挨拶なのだ。
部屋に入るなり困惑した顔で拓司は坂本に言い放つ。
「ちょっともっさん昨日の金返して下さいよ…」
「またそれかい…」
「逃げたでしょ?あの後…」
「しつこいよっもうわっかたわ!」
ちょっと怒り口調で返事をする。
仕方なく割り勘の金額を払おうとした坂本だが金額に驚いた。
まぁ驚くのも無理はない、なんと1人12000円だった。
坂本は2人に金額の詳細を確認したところ、自分たちの席で2万、麻美達の席で1万6000円だった。
「おかしいだろ!麻美のとこねーやんと2人だろ?」
「文句があるなら麻美さんに言ってくださいよ!」
拓司も負けずと言い返す。
「話すわ!でもお前らの分は知らん!」
「なんでですか?」
「自分らで交渉しろ!」
「ちっちゃ!」
このやりとりを聞いてたわんわんが大笑いした。
「どうせもっさんには取り戻せないよ。お前らも交通事故にあったと思って諦めなよ」
その言葉を聞いた3人は納得いかない顔したが、わんわんの言う通り無駄だと思って諦めた。
そしてわんわんが思い出したように坂本に尋ねる。
「そういや来週だっけ?みんなで大阪行くの?」
「京都も行くけどね」
来週の土日を使ってみんなで京都大阪旅行を計画している。
京都は坂本の大好きな戦国武将、幕末の志士のゆかりの地がある。
大阪はわんわんの好きな夜のお店や拓司がどうしても行きたい耳かき専門店などがある。
拓司の行きたがてる耳かき専門店が気になるところだがそれは後程。
そしてまた1人部屋に入ってくる。
「へロ~」
おちゃっらけた挨拶で入ってきた。
噂の麻美である。
4人は同時に言う。
「ノックくらいしなさい」
お決まりのパターンである。
麻美も慣れているのか4人の言葉を無視して話し出す。
「来週どうなってるの?」
坂本驚いた顔で答える。
「なぜ知ってる…?」
「昨日タクちゃんが言ってたよ?」
坂本は拓司を睨んだ。
「あたしも行くよ?」
当然行くでしょみたいな顔して答える麻美に対して坂本が冷たく言い返す。
「呼んでないよ?」
負けずと返す麻美。
「ふ~ん。じゃあいいや。仲間ハズレなのね…せっかくキョーも誘ったのに…」
「何!?恭子だと…」
キョーとは今井恭子(20歳)短大生。
坂本達と同級生。
155センチ 背中まで伸びるロングヘアー。
頭も良く性格も文句なし、学生時代マドンナ的な存在である。
高校2年生の時、1週間で3人から告白されたことがある。
中学校の時に野良猫の集団を見つけ可愛がっていた所、野良猫に逆に懐かれ、5匹の猫に帰り道ずっと着いて来られてしまい、その光景があまりにもすさましく、町内で時の人となった。
そんな恭子来るとなったら話は変わる。
「まぁ別にいいけど…時間厳守だから遅れたら置いていくからな」
「何時にどこよ?」
「土曜日、朝6時に諏訪神社」
そして旅行当日 諏訪神社 朝6時
天気は快晴で雲ひとつない旅行日和だった。
坂本達の街では旅行に行く前、無事を祈願するため諏訪神社にお参りするのが習慣である。
そのため集合場所をこの諏訪神社にしていた。
諏訪神社は1000年も続く神社であり、街で慕われた神社である。
入り口の鳥居の前に2台の車が止まった。
1台は坂本の車で8人乗りの大型である。
坂本は車を降りてもう1台の車に、向かい車の窓を叩いた。
車には拓司が乗っており窓を開けた。
「おはようございます」
「おはよう〜他の奴らは?」
「まだみたいですね」
全員遅刻の常習犯である。
しばらく待っていると麻美と恭子が現れる。
「おは〜」
「おはよう2人とも」
眠そうな麻美に対して、健やかに挨拶する恭子であった。
そんな麻美に坂本が話しかける。
「相変わらず朝弱いな…目が開いてないじゃないか」
「うるさい」
麻美は朝から絡む坂本に苛立ちを覚えた。
「あんたもその汚い金髪染め直しなさいよ。根元が黒くなってプリンじゃん」
「うっせーアホ」
坂本と麻美は仲が悪いわけではないが、顔合わせれば口喧嘩ばかりしてる。
そんな2人を見ながら恭子が困った顔で割って入る。
「まぁまぁせっかくの旅行なんだから楽しく行こうよ」
恭子に言われ2人共そっぽを向いて黙り込む。
しばらくするとわんわんとのりおが合流して、さらにその数分後もう1人合流してくる。
のりおと拓司の同級生の守屋健司(19歳)大学生である。
176センチ 茶髪、長髪でいつもカチューシャをしている。
守屋は拓司と従兄弟同士で、幼い頃からの仲であり兄弟みたいな関係である。
守屋は何をやらせても、常に完璧に物事をこなせて、周りからは天才と言われている。
しかし本人は常日頃から謙虚であり、周りから天才と担がれても傲慢な態度を取る事もない。
この性格だからか、男女問わず好かれている。
これで全員揃い7人は鳥居を潜り境内に向かった。
鳥居を潜ると階段がありそれを登ると100メートルくらいすると本堂がある。
その途中に3体のお地蔵が並んでいるのだが、真ん中のお地蔵だけ少し笑って見えるため、皆からは「笑笑地蔵様」と呼ばれている。
そのお地蔵の横を通りかかった時、麻美と恭子がしゃがみ手を合わせて拝んだ。
「皆が無事に帰れますように」
恭子は一言呟いた。
麻美も一言呟いた。
「もっさんが性格が良くなりますように」
それを聞いた坂本も負けずとしゃがみ込み囁いた。
「麻美が結婚できる可能性が2%から5%に上がりますように」
それを聞いた麻美は激昂する。
「はぁ!?何言ってんのあんた!麻美に寄って来る男なんて、ごまんといるんだよ!」
「ハッハッハッ居るかよそんな物好き」
また始まったのだった。
しかし他の5人は慣れてるのかそんな2人を無視して本堂に向かった。
2人も睨み合いながら本堂に向かった。
そして7人は賽銭箱の前に立ち、お金を入れて全員で手を合わせて祈願した。
祈願が終わり車まで行くとのりおが尋ねる。
「2台で行くんですよね?」
坂本が頷きながら答える。
「うん。荷物があるから俺のだけじゃ乗り切れないからな〜」
それを聞いた拓司が提案する。
「じゃあ僕の車に荷物積んでください。健と2人でいいですよ〜」
守屋も頷き同意する。
「そだね。そうしよう」
全員拓司の提案を飲み車に乗って出発した。
この車割がこの先7人の運命を、左右する事になるとはこの時、思いもしなかった。