表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ガイコツに助けられたゾンビ

作者: 52

挿絵(By みてみん)



自分だけどうしてこうなんだろう。

自分だけどうしてこんな目に合うんだろう。

自分だけどうしてこんなに運が無いんだろう。

自分だけ…自分だけ…自分だけ…。






「あっ!」


人間が怖がって逃げ惑うのが楽しくて

追いかけ回していたら

木の根っこに気づかずに引っかかってコケてしまった。


「まいったな〜」


骨が折れて歩けなくなったゾンビ。

動けなくて

引っかかった木に寄りかかって

座り込んでいた。


挿絵(By みてみん)



「ゾンビなのに罰が当たるなんて…」


そこにカランコロンと音を立ててガイコツがやってきた。


「どうした?」

「いや〜。コケて骨が折れちゃいました」

「肉も溶けてんだ。骨だって弱ってんだぞ」

「はぁ〜、そんなもんっすかね〜」

「しょうがね〜な。歩けないんじゃしょうがないから

腕の骨でよかったらあげるよ」

「えっ!いいんすか。じゃあ遠慮なく」


少し長さは足りないけどないよりはマシと思い、骨をもらった。

ガイコツの骨だ。頑丈そうだ。


「ガイコツさんはいいよな〜。骨だけだから。さぞや頑丈な骨なんでしょっ」


と、もらった骨をさすりながら言った。


「何言ってんだよ。オレだって昔はゾンビさ」

「えっマジ?」


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)



ガイコツは最初からガイコツだと思っていたゾンビにとっては

衝撃的な話だった。


「だからオレにとっては腐ってもまだ肉の部分が残ってる

そっちのほうがうらやましいよ」


そう言われると何だか親近感が湧いた。


「じゃあ骨のお礼に少し肉をあげますよ」

「マジかっ!うれしいんですけど!」


ガイコツはゾンビからもらった肉片を頭に乗せた。

そしてシルクハットでも被ったるかのように気取って言った。


「どう?似合う?」

「は、はあ…」


ガイコツは右を向いたり左を向いたりしながら満足そうにしていた。


そこへ違うゾンビがやってきた。

会話を聞いていたようだ。

そのゾンビは右側が溶けていてちょこちょこと歩いていた。


「ボクなんか目玉が一個しかなくてしょっちゅうぶつかんだよね〜。

だから目玉が二つあるキミの方がうらやましいよ」


だがさすがに目玉はあげられない。

という事はガイコツから骨がもらえた自分はラッキーって事か。


次に火の玉がやってきてこう言った。


「ワタシなんか身体自体ないんだよね〜。フワフワ浮いてるだけだから、

たまには歩いてみたいわ」


そう言って、キラリンとひとしずくの涙が出た。

が、すぐに蒸発した。

身体もあげられない。

二人のゾンビとガイコツで出し合って身体を作ってあげても

火の玉のどこにそれをつけたら良いのかゾンビには解らなかった。

火の玉はなにかしてもらっても、どうしようもない。

悲しくて流した涙さえ、すぐに蒸発しちゃう。

かわいそうだ。






自分にあって他人にはないものがある。

他人にはあって自分にないものもある。

自分にとっての普通と他人にとっての普通は違う。

誰もが何かを抱えてる。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ