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クトゥルー神話超短編【3】だごん様

作者: T. Williamson
掲載日:2021/06/05

「主のみ名によって、アーメン」

「アーメン。…ねぇあなた、また役員にさせられたんだって? しかも会長?」

「仕方がないだろ、抽選なんだから」

「抽選ていったって、後ろで何か操作したり、してるんじゃないの?」

「俺の名前だけ箱の一部に貼ってあったり、とかか? まぁ無いな、そりゃ」

「どうも気に入らないのよ。…なんだっけ、『だごん様』への祈りの集会?」

「ああ、最近教会が取り入れた、外典にある聖人の崇敬だろ?」


言って俺は、前の晩に用意しておいたパスタを頬張った。


「私、調べちゃったんだよね。豊作を約束する代わりに、生贄を…」

「っ、んなバカな」


心なしかフォークに力が入る。


「嘘をついてでもイヤって言うべきだったと思うわ、あたし」

「することは単純なんだ。海に出て、しかるべき祈りを捧げて」


アサリをフォークに刺して、


「三角形みたいなあの何かを海に落とす。その司会役をするだけだ」


幸いまだメシは旨い。


「実は聞いたの。梅垣さんだっけ? 【深きものども】と契った、って」


恐れとも、苦々しさとも、禍々しさともつかない、名状しがたき空気が。


「あの人、いつも首にスカーフ巻いてるでしょ?

 鰓を隠すためだって、もっぱらの噂よ」

 ねぇ、教会ってどうなるの? もう、最終戦争に近いの?」

 【深きものども】と一緒になって、『海底で栄光とともに…」

「わかるもんか」


俺は投げ捨てるようにフォークを食器に叩きつける。


だが最近、俺は好みがやたら海産物に限られていることを

実感するようになったのである。


事実、だごん様への祈りと捧げ物で、豊潤な海の幸ももたらされている。

俺も梅垣のようになるんだろうか。


「俺たちが海に沈むか、だごん様とその眷属が上がってくるか」


妻に手をひらひらと見せて、


「二つに一つだ」


指と指の間の皮が、以前よりも広くなったことに、

妻はまだ気が付いていないようだ。

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