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98話:情報収集

総合評価200いった!

ありがとうございます!

「ふう……適正ランクCにしては弱かったな」


適正ランクCである猛角羊(もうかくひつじ)だが、特に苦戦なども無く無事に勝つことが出来た。もしかしたら俺はもうCランクの強さがあるのかもな。

尚、屍はシアンが美味しく頂いた。


「ミルとの稽古のお陰だな。よし、後は幻想シメジだけだな」


猛角羊の角を取って、それをしまう。

次の目的の幻想シメジは食べると幻覚を見せるシメジで、俺の意見で言えば毒なんだけど、この世界では解毒して別の用途に使う方法があるらしい。不思議だね。


「暗所に生えてるって書いてあるから……陽が当たらない木陰とかかな?」


魔森林(マジック・フォレスト)は影が多いから探せばすぐに見つかった。書いてある絵と同じ、怪しい紫のシメジだ。


「何本いるんだ?ここには書いてないが……ま、10本あればいいだろ」


抜いては専用の袋に入れて立ち上がり、俺は本来の目的である噂の調査へと向かう。

怪しい集団に見掛けない魔物。この2つは何かあるだろう。俺の勘が正しければ、絶対にメランコリー達に繋がる筈なんだ。


「慎重に、焦らず、着実に……」


心拍を穏やかにし、足音を殺して森を進む。今まで入ってきたどの森よりも暗い魔森林。薄暗いからお化けでも出てきそうだ。


だが俺の心配とは裏腹に、それらしい集団は見られず、危険そうな魔物もいない。やはり噂は噂と言った所だろうか。


「まあどっちも存在を隠してるって可能性もあるんだけどな。俺は探索のプロじゃないしなぁ…」


いくら【なろう】を見ている俺でも、流石にそこまでの技術は無い。こういうのだと足跡を調べたりしてたっけか。


「…………うん、分からん」


ここには魔物だけじゃなく、普通の動物も生息している。そもそも現地人じゃない俺には、知識も無いのに無理な話である。


「調査の結果、噂は噂だった。なんてねっ!」


踵を返して帰ろうとした時、後ろから生き物の気配を感じて俺はすぐさま木の影に隠れた。


『なんだ…!?あれは…っ!』


木に隠れながら息を殺して様子を伺うと、50メートル程先に全長5m程あるであろう黒いドロドロとした牛のような怪物。顔は無く、4足歩行だが、何処と無く【星屑の厄】に似ている。


『人もいる……敵対しているようには見えないな』


黒いローブを被った3人の成人している人間を発見した。敵と本能的に察せる気を飛ばすあの化け物の近くにいるが、襲われている様子は無い。飼い慣らしているのだろうか。


『そんな穏やかな雰囲気では無さそうだが…』


そう考えていると、怪物と共に奴らが俺の隠れてい方へとやって来る。このままでは最悪殺されてしまう。どうするか、、


『逃げの一手。それしかない』


選んだのは“逃げ“。

俺は足下に落ちていた小石を拾い、それを右に向かって投げた。なるべく遠くへと飛んでいくように力を籠めて。


「誰だっ!!」


1人の男が小石が飛ばされた方へと叫ぶ。それと同時に怪物はその場所へと猛スピードで突っ込み、木々を薙ぎ倒していく。

バキバキと木々が折れる音が森林に響き渡る。その音に紛れて、俺は[逃亡Ⅱ]を使用して全速力でその場から逃げ出した。


──────────────


無我夢中で走っているうちに街に着いた。そんな青鬼のような台詞を考えながらも、俺は息を整えて汗を拭った。


「ヤバイな…!はぁ…はぁ…!ッ、あぁ~緊張した…」


噂は本当だった。しかも結構ヤバいのがいる。あの怪物相手に細剣では怖すぎる。せめて魔法が使えればいいのだが…


自分の弱さに焦りを感じながらも、俺はミルとの待ち合わせへと向かった。





「ごめん、遅れた!」


「ん、平気」


グリモバースで待ち合わせにするには丁度いい大きな時計台のある公園。ミルはその時計台の下で空を見上げて待っていた。


「どう…?そっちは」


「俺の方は2つ程。魔森林で怪しい集団の目撃情報と、見た事の無い魔物の目撃情報。どっちも裏は取ってきた」


「まさか…行ったの…?」


「え?───ぁ」


墓穴を掘ってしまった…!少し目を細めて俺を見つめるミル。これは怒ってますよ……ちょっと頬を膨らませてるの可愛くね?なにそれチートじゃん。


「もう…!危ない事はしないでって言ってるのに…!」


「いやホント……すいません」


何かそれらしい言葉を探したが、何も見つからなかった俺は素直に謝罪して頭を下げた。俺は何度頭を下げているのだろうか…


「もう……。ボクの方は魔女の連続不審死がある事と、こっちも怪しい集団を見たって話を聞いた」


「その怪しい集団からメランコリー達に繋がれば良いんだけどな…」


「ん……まだ情報を集め初めて1日目だからもう少し探ってみよう」


「そうだな」


取り敢えず何かご飯を食べに行くことになったので、どこかのお店に向かう。

その途中で俺はミルに魔森林で何をしていたのか聞かれ、嘘をつかせない表情をしていたミルに俺は真実を伝えると滅茶苦茶怒られた。











「フッ…!ハアッ!!」


「シッ…!」


その日の夜。賑やかだった街並みも静まり返り、静寂に包まれる。

そんな夜の中、俺は時計台のある公園でミルと共に稽古に励んでいた。


「今日…!──ッ、ミルやる気入ってる──なあッ!!」


「ん…!アキラの頑張りを見てたら──ね…っ!」


ミルとの真剣を使った稽古は心臓に悪いが、いい訓練になる。

それは兎も角、今日のミルはいつも以上に気合いが入っていて、俺の影響なんだとか、、


「ボクももっと強くならなきゃ…!またコル兄様と戦った時に勝てるかどうか分からない…!それに……」


「…?どうッ…!した!!」


「それに…アキラを守れるくらい強くなりたいから…!」


「─────えっあ、……へ!?──ウベッ!!」


頬をほんのり染めてそんな事を突然言うから、完全に停止した俺はミルに横腹に蹴りを入れられてその場に沈む。


え、そんな意味深セリフ&表情が出た後に、普通蹴り来る!?ラブコメの波動を感じる前に痛みが勝ったぞ!?これはツンデレなのか!?でもこれはツンデレってレベルじゃねぇぞ!!


「ごめん…隙があったから…」


「いや…うん……これは俺が悪いよ、うん…」


ミルは本来どっかの【なろう】主人公のヒロインだからな…自然とそういうムーブをしてしまうんだろう。悲しいなぁ…


『こんな下らない事でも心がザワザワするんだな…これも[羨望(エンヴィー)]なんだろうか…』


そんな自分が嫌になるな、自己嫌悪ってヤツだ。

地面に強打した尻と蹴られた横腹を無様に擦りながら立ち上がった。


「イタタ………さっ!再開しよっか」


「ん…!」


土埃を払い、細剣を構え直して再度ミルに挑戦しようとした時だった。



「────────ッッ!!!!」


絹を裂くような女性の悲鳴が響き渡る。

それはとても悲痛な叫び声であり、何かあったのは明白だった。


「ミルッ!」


「ん…!分かってる…!」


ミルと共にその声がした方角へと走り出す。頭に過った最悪を事態を振り払い、俺は足に力を込めて走り続けた。

この章ではコルさん出ないかもです(衝撃のネタバレ)

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