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97話:魔導国家グリモバース

新章幕開け。

ブクマ並びに評価、ホントありがとうございます。

アルカナン発の竜車に揺られて別の街を目指す俺達は、風景を楽しみながら風を感じていた。

今回乗った竜車は、サファリパークとかのバスに似ている。窓が無いタイプのアレだ、名前知

らんけど。


「速いな。流石地竜4匹が引いてるだけあるわ」


凄く速いので髪の毛が少々乱れるが、結構興奮気味で楽しんでいた。

そこから2時間半程乗った後、アルバナ帝都という国で列車に乗る。





「アキラ、急いで…!」


「ちょちょっ!速いって!!」


乗車時間ギリギリとなってしまったので、俺達は駅を駆け足で急ぐ。ミルがとても速いので、遅れないように着いていくのがとても大変だ。人も多いので、少しでも目を離すと見失って──あれ!?いない!!


「───あ、いた…!」


少し先に見えた薄灰色の三つ編みが目印となって、無事に迷子にならずにすんだ。

とまぁそんなハプニングもあったが、何とか列車に乗ることが出来た。


「はぁ…!はぁ…!はぁ…!…………はふっ」


「大丈夫…?」


「あのっ…!平気って……聞かれれば──ゴホッゴホッ!平気じゃ、ないな」


「急ぎ過ぎた…ごめん」


ショボンとした表情で俺に水筒を渡してくるミル。今回ばかりはちとキツかった。ふぅ…お水美味しい。

心臓が安定してきた所で、ミルに魔導国家グリモバースの事を質問してみた。


「グリモバースってどんな所なの?やっぱ魔法使いが沢山いる感じ?」


「ボクも行くのは初めて。だけど魔法関連は1番発展してると言われてる。有名な建造物だと……魔導育成学校・パルヒューム学院とか有名だよ」


おっ、遂に出たか。転生者が通ってるであろう魔法の学園。ここで色々イベント発生しそうだな。俺は部外者だから入れないけど(半ギレ)


「そこで何か情報が掴めれば良いんだけどな」


「ん……そうだね」


これでも結構情報収集はしてきたつもりだ。クリークス家の名前を使い、ルミナス聖国さえも探しているのに尻尾を出さない。


『俺の予想だと組織だと思うんだけどな』


様々な【なろう】を見てきたからこそ分かるが、メランコリーやその裏の連中は目的があって行動している筈だ。その目的が何かは分からないが、コルさんに協力する。

何故コルさんに協力したのか、、


『目的は邪剣か…?』


この世界には12の聖と邪の剣がある。まだ主要者がいない時もあると本に書いてあった。それを目覚めさせる為に協力している?

或いは何か別の…それこそ七つの大罪系統スキルが目覚めるのを待っている…とか?


12の剣全てが主要者を選ぶ時を待っている……何かの封印を解くとか?それは考え過ぎだろうか。


「情報が少ない…」


俺はシリアス風にそう溢した後、列車で販売している駅弁を購入する為に手を上げた。ここでもキメ顔はやめない。フフッ…!今の俺はきっとメチャンコかっこいいな(確信)


──────────────


そしてやはり列車移動は速くて快適なモノで、僅か50分程で到着した。

ここはルミナス聖国とは違って、駅の作りが違うのがなんか…いい!


「全体的に黒を基調にしてていいな。渋くて結構好きだわ」


「そうだね」


周りをキョロキョロとしながら駅の階段を下る。やはりここで降りる人は皆魔法使いっぽいな。割合的に剣士の俺達が浮いてるくらい。

そして駅を出ると、5本に別れた大通りがある巨大な噴水広場へと到着。


「ミルっ!見て見て!魔女だよ魔女っ!!」


「ん、凄いね」


空を箒で飛んでいる魔女らしき人を失礼ながらも指差して興奮する。だって空飛ぶって人間の夢じゃん?


後、街並みも凄い事になってる。

レンガ造りのお店がいっぱいあり、煙突から煙も出ていて、まるでイギリスに来たようだ。


「にしてもグリモバースは寒いな。俺はこのコートあるけどミルは平気?」


初めてちゃんとした用途で役に立っているロングコートの俺と裏腹に、ミルは初めて会った時と同じような軽装なドレス風の服だから心配だ。絶対寒いだろ。


「ボクは平気。元々寒さには強いから。それに…多分この剣のお陰」


「便利だな…聖剣って」


聖剣に視線を向けてそう呟くと、背中のシアンがモゾモゾと動いているのを感じた。


「どうしたシアン、寒いのか?」


虫って寒いのはダメな気がするけどどうなんだろう。蝶って寒さに弱そうだけど、それは魔物にも適用されるのかな。


「多分弱ってると思う。死にはしないと思うけど……ちょっと心配」


「そうだな…何か防寒具でもあれば良いんだけど…」


蝶に防寒具って聞いたことが無い。こういう時擬人化してくれると助かるんだけどな……シアン、そろそろ擬人化してもよくね?【なろう】の擬人化は滅茶苦茶早いんだよ?魔物の姿で出したの意味が無いくらい。


それは兎も角、俺達は先に宿へと向かって部屋を取る。俺もミルも少ないとはいえお互いショルダーバッグを下げてるからな。身軽になりたい&この寒いなか、部屋取れませんでしたを避ける為だ。


「やべぇな…マジでお金無いよ…」


部屋で荷物を置いた俺は、財布を見てため息を吐いた。キャスに内緒でお金を持たせたからちょうど1万円ジャスト。完全なる金欠である。

これは久々にギルドでお金を稼がねばならないな。


「目的が情報収集だから、その時やるか」


そう呟いて俺は部屋を出た。宿の待合室でミルを待つ間、俺はシアンを背中に寄生させた。そうすれば俺の体温を貰えるだろうから、少しは暖かくなるだろう。


「ごめん、お待たせ」


「俺も今来た所だから気にしないで」


デートみたい。それはさておき、ミルと共にグリモバースを歩く。やはり情報が集まりやすいのはギルドなどの大きな所か、ちゃんとした情報屋から買うのがいいだろう。


「ボクはギルドにあまり詳しくないから、そっちは頼んでいい…?」


「了解、適材適所だね」


街ぶらデート終了。俺は早速ギルドへと向かい、情報収集へと勤しんだ。

グリモバースのギルドも街に合わせて黒を基調にしていて、内装も木が使われてて心地いい。


「なに見てんだ兄ちゃん、何か用か?」


「あー…えっと、真っ黒の格好をした怪しい男を見ませんでしか?」


「それなら目の前に──」


「俺以外で」


ギルド内でキョロキョロしてたら酒を呷ってるおっちゃんに声を掛けられた。ちょっと強面だけど、折角なのでこの人に聞いてみた。


「そうだなぁ……この国はそういう格好の奴が多いからなぁ」


「あー…ならどこかで怪しい噂とか聞きませんでしか?」


「それなら聞いた事がある。まぁ兄ちゃんも飲めよ」


そう言ってグラスに酒を入れて俺に差し出すおっちゃんに、俺は戸惑いながらも受け取った。飲みの席での会話は好きじゃないけど。


「最近グリモバースの近くにある魔森林(マジック・フォレスト)で怪しい集団が入ってくって噂は聞いたな。ま、ホントかどうかわかんねぇけど。ホラホラ、もっと飲みな!」


「ど、どうも……」


「昔っから魔森林では変な噂が絶えねぇ。だが最近はそういう噂も増えた」


「ほぇ~……そりゃどういった──あ、どうも」


「おっとと……俺が聞いたヤツだと、魔森林で見掛けない魔物を見たって言うガキがいたな」


そう言って酒を一気に飲んだおっちゃんは、ぷはーっと酒臭い息を吐いて体をビクッとさせる。


『謎の集団に見掛けない魔物か。絶対何か起こるな』


謎の集団って聞くと、転生賢者の異世界ライフの敵を思い出す。しかし見掛けない魔物とは何だろうか。新種とかはよく聞くテンプレだが、たまに古龍とか伝説の生き物の場合もあるから気が抜けない。


「情報ありがとうございます!えっとお酒のお金…」


「あーいらないいらないっ!俺が軽く話したかっただけだからよ、金はいらねぇよ」


内心助かったと思い、俺はおっちゃんにお礼を言ってギルドを出る──前にクエストを受けてからギルドを出た。


「ミルとの約束の時間までまだあるな、うしっ!」


気合いを入れて、俺は今回目的の魔物がいる、魔森林へと足を運んだ。


討伐対象:猛角羊(もうかくひつじ)

適正ランク:C

報酬:金貨1枚 小金貨2枚


最近暴れている猛角羊を討伐して、ついでに幻想シメジを採取して欲しいとの事。どちらも魔道具を作るのに必要なんだとか。

俺には分かんないけど、取り敢えずお金が必要&調査の為に、急ぎ足で魔森林へと向かった。

変なタイミングのシメジ採取は嫌い(モンハン脳)

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