90話:この果てしなきお馬鹿に救済を!
タイトルは自分でk…(殴
略すと、このはて!
他意はありません()
久々の熊公との戦いも終わり、残りの5日間はコルさん、または黒ずくめの男の目撃情報を探ったりしていた。
その結果、隣にある小国で黒ずくめの男の目撃情報を手に入れる事が出来た。
そして今日、、
「アキラ、準備はいい?」
「おうともさ!」
まだ日が出たばかりの早朝から俺達は門の前に来ていた。いつものちょいハネなろうヘアーに、膝まで届く真っ黒のロングコートにショルダーバッグを掛けて、背中にはシアンがいる。準備は万端だ。
「御二人とも御気をつけて」
「ん、見送りありがとうマグ爺」
こんな朝早くから見送りに来てくれたマグさん。その裏ではフリードさんもいる。
「…気を付けて行ってこい、ミル。コルはお前を全力で殺しに来る。例え聖剣があったとしても油断はするな」
「はい、父様」
「そして…アキラ君。ミルはこう見えて抜けている所がある。君がミルを支えてやってくれ」
「は、はいっ!娘さんは全力でお守りします!」
なんか彼女のお父さんとの会話みたいになってるな。経験無いけど。そもそも彼女いたことないし。はぁ…
「もうっ…!余計な事を言わないで…!」
ミルの珍しい反応に内心驚きながら、脳内フォルダーに永久保存。一生物の宝だ。鑑定団に出そうかな?
「じゃあ…行ってきます」
フリードさんとマグさんに小さく手を振って歩き出すミル。俺はミルの歩幅に合わせてゆっくりと歩く。
隣にある国は小国なので、列車が通っていない。だから竜車などで行くのが一般的なのだが、ミルは俺の訓練の為にも歩きを選んだ。途中で遭遇した魔物は倒して行くらしい。
「アキラ、着いてきてくれてありがとう」
「何だよ急に。俺はミルの弟子だぜ?どこにだって着いていくさ」
「ふふっ、なにそれ。でもありがとう」
よっしゃ!笑ってくれたぜ。この調子でどんどんミルの笑顔が増えてくれるといいな。なんてったってミルはヒロイン級の美少女だからな。
その後もミルと談笑しながら楽しく街道を歩いていると、少し先の地面から何やら薄いピンク色の物体が現れた。魔物かな?
「なんだろう…あれ」
「あれは……ッ、ジャイアントフロッグ…!」
俺が質問すると、ミルは目を凝らした後に凄い嫌そうな顔をした。何やら嫌な過去でもあるのだろうか。
「ジャイアントフロッグ?」
「ん…あの魔物はカエル型の魔物。しかも分泌される粘液は生臭いの…──ってアキラ…?」
「ジャイアントフロッグっ!」
ミルがアキラに視線を向けると、アキラは目を輝かせながらジャイアントフロッグを見ていた。まるで憧れているかのような純粋な瞳。ミルはこの時『ジャイアントフロッグに憧れてるの…?』と内心でちょっと引いた。
そして次の瞬間アキラは細剣を抜剣し、『このすばぁぁぁぁあ!!』と大興奮で叫びながらジャイアントフロッグへと走っていく。
あまりの急な動きに、ミルはアキラを止め損ねてしまった。
「ま、待ってアキラ…!ジャイアントフロッグは結構強いから危な──」
ミルもアキラの後を追って走りだし、警告を飛ばして止めようとしたのだが、時既に遅し。8m程伸びたジャイアントフロッグの舌がアキラを捕らえてしまった。
「だから危ないって───言ったのに…!!」
ミルは聖剣を抜剣し、地面に突き刺すと凍てつく氷河の如く地面を凍結しながらジャイアントフロッグへと向かっていく。
ジャイアントフロッグは寒さに弱い。寒気を感じたジャイアントは、アキラを離して地面に逃げ出した。
「急に飛び出しちゃ危ないよ」
「ごめん…ほんっとにごめんなさい」
ミルに90度で頭を下げて謝罪する。本当にミルがいてくれて良かった…。見た目が完全にジャイアントトードだったから思わず飛び出してしまった。
「ちょっと粘液ついた…臭いなこれ…」
「だからジャイアントフロッグは嫌われてる。特に女冒険者とかから」
この世界でもヌメヌメしてるのか…まぁカエルだしな。
そう考えていると、ミルは遠くに流れている川を指差して『あそこで洗おう』と言うので、頷いて向かうことにした。
「うっわ…俺のロングコートがヌメヌメだよ…」
「よく洗った方がいい。後になると臭いも強くなる」
ジャブジャブとロングコートを川で擦って洗う。しかしこのロングコートが無いと俺の個性が薄まるが、仕方無いよな…
洗い終わったロングコートを近くに落ちていた木の棒に掛けて、旗のように持って歩き出した時だった。
「ニャニャーっ!!誰か助けてくれニャー!!」
取って付けたような“ニャ“を発して、川上からドンブラコ…ではなく、バチャバチャと今にも溺れそうな奴が流れてきた。
「溺れてる…!」
「よしっ!イベント発生だな!…ミル、向こう向いててくれ!」
「え…?うん、わかった?」
何故という顔を浮かべて俺に背を向けたミル。俺はその間に銭湯で鍛えた高速服脱ぎでパンツ一丁になり、川へと飛び込んだ。
俺は服を着て泳げる程器用ではない。だから…パンツ一丁なのは仕方ないんだ!!
「大丈夫か!?こ、こら!暴れるな!」
「ニャー!死にたくないニャー!!」
くそ、パニック状態になってるせいで俺の声が届いてないな。激流という程ではないが、暴れたコイツを連れて岸まで行くのはかなり大変だ。
「落ち着け!死にたくなかったら暴れるな!」
「ニャ!?」
頬を両手で掴んで目を見ながらそう言うと、このネコは一旦落ち着きを取り戻した。その間に俺はこのネコを上に持ち上げて、岸にいるミルに向かって、
「ミル!こいつ頼んだ!!」
「え…?──わわっ…!」
そう叫び、このネコを投げ飛ばした。予想以上に飛んでったネコ。これが火事場のなんちゃらってやつだろうか。それは兎も角、俺も流される前に岸に向かって泳ぐ。
「はぁ…はぁ……疲れた……」
「お疲れ様、アキラ」
「っ!!?み、見ないでくれ!!」
パンツ一丁で岸に上がった俺は息を切らしていると、ミルに労いの言葉を言われてテンパる。
【なろう】主人公はこんな惨めな姿が見せちゃいけないのに…っ!
「っグシュ!!さ、寒い……!」
「焚き火に当たって暖まろう。アキラはここで待ってて」
ミルはそう言いと、駆け足で森の中へと入っていった。相変わらず思い立ったら即行動のミルだな。
「えっと…君は…?」
「ニャ!そうだったニャ、助けてもらったのに名乗ってなかったニャ」
びちょびちょのネコはプルプルと体を奮って立ち上がる。おい、水滴が俺にめっちゃ当たったぞ。
「ニャーはキャス・シー!“長靴を履いた猫“ニャ!助けてくれてありがとうニャ!」
元気よくそう言ったのは、まるでアニメの動物のように3頭身程しかない小麦色で虎柄のネコ。
3頭身のネコとパンツ一丁の青年。お互いびちょびちょという変な状況がここに生まれた。
キャス・シー
またの名を“長靴を履いた猫“
ネコがそのまま立っているのではなく、アニメ特有のデフォルメされた3頭身で、75cm。小麦色をした虎柄のネコ。
赤いマスケット帽子を被り、貴族のような服装に小さな赤いマントを身に付け、赤い長靴を履いている。そして小さなレイピアを腰に差し、腰には布袋を付けている。




