8話:暫く厄介になります
ここまで見てるくれてるのはブックマークの2人だけですかね、多分…(笑)
「いやホント申し訳ない…アキラ君を置いて、盛り上がってしまって。お客様なのにホントすまない…」
「いえいえ、平気ですよ。仲の良いご家族ですね」
ある程度話し終えた所で、俺に気付いてリビングへと通してくれた。動物の皮だと思うソファーに座るよう言われ、ありがたく座った。
俺の目の前に座る男性、ルカ君とリオ君の父親のお名前が、ルオン・フリューゲルさん。ここで初めてフルネームの人が登場。となれば息子達の名前も、ルカ・フリューゲルとなるわけか。
因みに奥さんはミオ・フリューゲルと言う。
家族皆カッコいい名前で羨ましい。
「息子達から話は聞いたよ。息子を助けてくれてありがとう」
「ありがとうございます」
ルオンさんとミオさんは俺に頭を下げる。親としての感謝を俺は受け止める。
「本当に無事で良かったです。命あってのものですから」
俺が話終えると、ルオンさんは思い出したかのように、ルカ君達を見る。
「全く…森に行くなら杖は持ってけと言ってるだろう?」
「はーい、ごめんなさい」
「ごめんなさい…」
『杖?……あぁ、エルフだもんな、護身用的な感じで持っとけって事か』
勝手に理解して、この世界で初めて見た魔法[治癒]を思いだし、ルカ君に話し掛けた。
「そう言えばルカ君達も魔法が使えるの?」
「はい、使えますよ!得意なのは風属性です!」
「へぇーそうなんだ。リオ君も使えるのかな?」
話をリオ君にも振ると、リオ君は少し悲しい顔をして俯く。なんか変な事でも聞いてしまっただろうか。
「僕はあんまり…魔法が上手く制御出来なくて…」
「そうなんだ…俺魔法の事よく分かんないけど結構大変そうなんだなぁ……。あ、そうだ。なら俺も魔法使えるようになりたいからさ、リオ君も俺と一緒に練習しないか?」
魔法の事はマジで知らないけど、俺には魔法書ならぬ、なろう書がある。…よくわかんねぇ言葉だな。まぁ知識は少しあるつもりだから上手くいく…と思う。
「え…?アキラおじさんが?」
顔上げて、俺の顔を見るリオ君。少し元気が出ただろうか。まぁ俺じゃ頼り無いかもだけど、少しでも元気になってくれれば嬉しいもんだ。
「…まぁ今日までしかいられないんだけどさ」
流石にこの村に居座るのは少し…ね?悪いかなって。村はよそ者に厳しいと聞くし。この村は少し違いそうだけど。
「あら、今日行ってしまうの?平気かしら…?」
話を聞いていたミオさんが頬に手を当て、心配そうに俺を見てくる。
「平気ですよ、少し歩く程度なら。この辺で一番大きい国って教えてもらえますか?」
「それは構わないけど…結構遠いわよ?」
遠いのか…。まぁ…休み休み歩けばつくだろ、そのうち。
「この辺で一番大きいのはリコティ王国かしら。大体…3日程掛かるけど」
「えっ…」
遠っ!!思ってたのと違うのですが…
休んで行ける距離じゃないかも…?
そんな事を思ってるのに気付いたのか、ミオさんは少し笑って話を続けた。
「ふふっ、心配しなくても途中のポルトって言う小さな町で、竜車乗り場があるから」
「あっ!良かったぁ~!そこまで歩かなきゃいけないのかと…」
俺が少し脱力してそう言うと、ドッ!っと四人が一斉に笑いだす。なんか恥ずかしい…
「だが次のポルトの竜車は7日だった筈だ。それまで家でゆっくりしていきなさい」
優しい笑顔でそう言えリオンさん。ホントこの村は優しい人…いや、エルフしかいない。久々の人の温もりに俺は今、涙腺が崩壊寸前だ。
「やった!!ならその間一緒に魔法の勉強が出来るね!」
「やった…!」
「ルカ君、リオ君……うぅ…ありが、とう…!」
俺が暫く厄介になるにも関わらず、皆笑顔で迎えてくれて、遂に俺は涙を流す。
「本当にありがとうございます!暫く厄介になりますが、よろしくお願いします!」
ソファーから立ち上がり、今日一番の深いお辞儀をする。お世話になる代わりに、誠心誠意で家の事は手伝わせて貰うと言うと、ミオさんもルオンさんも、「お客様にそんな事させられない」と言ったが、こちらもそれは譲れない。
粘りに粘って、お手伝いを許して貰った。
「アキラ君のステイタスを見る為の鑑定石を明日にでも用意しよう。自分のステイタスを見るのは初めてだろう?神聖龍の平原で目覚めたアキラ君にはもしかしたら勇者の資格があるかもな!楽しみしとくといい」
そう笑顔で言うルオンさん。確かにステイタスなんて見たこと無い。この世界で初めて目覚めた時に、既に「ステイタス!」って叫んだが応答無し。青いパネルが出ることは無かった。
この世界では石で見れるのか。便利な世界だな。
「アキラおじさん…!一緒に魔法書読も?」
「あらあらっ!すっかりアキラ君に懐いてるわね!」
俺の手を握って、隣の部屋へと引っ張るリオ君。ミオさんの言う通り、懐かれてるっぽい。こんな幼い子供に好かれるのは凄い嬉しい。変な意味じゃ無いけど、子供は好きだ。やっぱ子供は宝物だよ。昔じいちゃんも言ってたな。
でもガキは嫌いだな…。
「よしっ!行こっか!」
「うん!兄さんも早く!」
「そうだな、行こう!」
引っ張られるままに、俺は隣の部屋へとお邪魔する。部屋には分厚い本が何冊も本棚に収まっている。本の独特な匂いがして心地いい。
あれ?なんだかお腹痛くなってきたような…
「リオ、今日は何読む?」
「ん~…あっ、これがいい」
リオ君が可愛らしくぴょんぴょん跳ねるが届かない。だから俺が代わりに取って、手渡す。
「ありがと、アキラおじさん…!」
満面の笑みのリオ君。マジ天使。いや、先輩に習ってR・M・Tだな、この場合。
「さっ!読もっか」
本を床に置いて、その前に俺が座る。隣にルカ君。俺の膝上にリオ君となっている。
本を開き、文字を見て俺は戦慄した。
「ッ…!!!」
「…?アキラおじさん?どうしたの…?」
「どうかしましたか?」
「いや…その……」
ルカ君達の言葉は分かるのに、この本に書かれている事が何一つとしてわからない。挿し絵のこれも謎だ。何この文字…ルーン?
マジですか…
まさか翻訳機能が俺に備わって無いとは…
言ってない俺が悪いのか…?この場合。
でも普通オマケで付けない?普通はさぁ…
まぁ取り敢えず…
「あのクソロリ神ィィィィィィィィイ!!!!」
「「っ!?」」
ルカ君とリオ君がビクッ!と驚く。
突然叫んだ事は申し訳ない…。後でちゃんと謝ろう。取り敢えず今は、ロリ神に八つ当たりでもしておこう。