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85話:叙勲式

タイトル通り、ミルの叙勲式です。

そして3日後。遂に今日はミルの叙勲式がある日だ。今日は緊張して寝れなかった。俺が勲章貰う訳じゃないのにね。


「あー…緊張するぅ…!」


「何でアキラが緊張してるの」


ミルにちょっとだけジト目でそう言われてしまった。だが緊張するものはするのだから、仕方のない事だ。


そしてミルと共に屋敷の前に用意されている、お高そうな馬車に乗り込んだ。


「なあミル、このタキシード変じゃない?大丈夫かな…?」


「変じゃない。ちゃんと似合ってるよ」


着なれないタキシードなんか着たもんだから、心配で仕方ない。今日は【なろう】ヘアーではなく、髪ピチッとしてある。やってくれたマグさんには感謝の言葉しかないな。

ミルは俺とは反対に落ち着いていて、見慣れた六剣の制服を着ていてカッコいい。


そんな感じで落ち着きのないまま馬車に揺られていると、馬車が停止した。どうやら到着したようだ。

ミルの後を追うように降りると、そこには騎士の方々がずら~っと並んでいる。全身甲冑ってヤバイくらい威圧感あるよね…あるくない?


「御待ちしておりましたミル様。御弟子様も此方にどうぞ」


他の騎士よりも偉そうな、顔出ししているイケメン騎士に案内されて城の中へと入っていった。

暫く歩くと、部屋の前で止まったので俺も習って止まる。


「御弟子様は此方で待機を願います」


「あ、はい」


まぁそうだよね。ミルは今回の勲章式の目玉。色々と準備もあるだろう。

ならミルと会うのはこの後行くことになる、大広間かな。


「んじゃ後でな」


「ん、また」


ミルに手を振って、部屋の中へと入る。中は結構広く、大きなテーブルにいくつもと椅子が用意されている。

しかも、、


「おうっ!アキラ!!」


「よおジェーン!久し振り、かな?」


部屋の中にはジェーンの他にも、六剣を中心にお弟子さんもいるではありませんか。か、肩身が…


「【次元の裂け目】での戦いで大怪我したって聞いたから心配したぜ。もう傷は平気なんだよな?」


「ああ、この通り元気だよ。色々あったけどね」


ジェーンと共に用意されていた紅茶を飲みながら談笑をする。そういえばジェーンもちゃんと正装で、いつもとは印象が違う。しっかりカッコいいのは流石異世界と言った所だろうか。鼻高いし。


「やぁやぁ!ちょいと俺ともお話いいかな?」


「え?あ、はい…」


ジェーンとの話が落ち着いた所で話し掛けてきたのは、ミルから密かに苦手がられているグリシャさん。


「ありがとね。んでさぁ~君、ミルちゃんとはどんな感じなの?」


「どんな感じ、とは?」


ニヤニヤとしているグリシャさん。何やら楽しい事があったのだろうが。


「ははっ、とぼけんなって!男と女の師弟関係、何も起こらない筈はない!んでどこまで進んでるの~?」


「…………は?」


言ってる意味がぶっ飛び過ぎて何を言ってるか理解できないのですが。

要するに、ミルと俺がそういう関係だって言いたいのか?いやいやいや、それは無いだろ。


「えっと……」


「隠すなよ~!教えてくれよ~!───イ“テ“ッ!?」


「やめてください!恥ずかしい…!」


隠すもなにも、ホントに何もないから返事に困っていると、グリシャさんの頭を叩いた俺と同じくらいの青年。


「全く……あっ、うちの兄がごめんね?僕ゼフュロス ・ボレアス。ゼフュロスって呼んでよ。よろしくね」


「あっ、天道明星(てんどうあきら)です。此方こそよろしく」


どれだけ強く叩いたのか、まだ痛がっているグリシャさんの前で握手を交わす。

ゼフュロス…確か剣闘大会の準々決勝でジェーンと戦った人だったか……この人も類に漏れずイケメンだな。


「ちょっとゼフュロス、力強いって…!」


「グリシャ(にい)が恥ずかしい事をするからですよ!!」


「うっ…!お、俺は──」


「言い訳結構!!ホントごめんね、アキラ君」


困り顔でグリシャさんを引っ張って部屋の隅へと向かったゼフュロス。小声で無茶苦茶怒っているのが見える。兄としてのメンツよ。


そしてその後はジェーンと話したり、他のお弟子さんとの交流を深めていると、扉が開かれ、大広間へと移動するようにと騎士の方に言われ、それぞれ移動していく。


そして


「ミル・クリークス殿、どうぞ前に」


「ハッ!」


漫画やアニメでよく見てきた、王座がある大広間に、真っ赤なカーペットが引かれていて上には巨大なシャンデリア。そして沢山の騎士に大臣的な方々など、兎に角勢揃いだ。


控えていたミルは、騎士に呼ばれるとはっきりとした声と共に王座の少し前へとゆっくりと堂々とした足取りで出てきて、そして跪く。


「新たに生まれた聖剣使い。【銀零氷(ぎんれいひょう)】の使い手がこの国に生まれたのは実に500年以来の事」


大臣らしき人の説明と共に、位の高そうな騎士が鮮やかな宝飾が施された小箱を大臣へと手渡す。


「よってミル・クリークス、貴女に【銀零氷】の使い手として吹雪勲章(ブリザードエンブレム)。ルミナス聖国の剣士として最高位の勲章捧げます」


「ありがたき授与、感謝を申し上げます。そして将来この国に、聖剣士としてこの身と剣を捧げる事を誓います」


深く頭を下げたミルは、大臣より勲章を受け取った。そして最後に王様へと一礼した後、ミルは後ろへと下がっていった。


『ふぅ~…無事に終わって良かった良かった』


王様の名前や、大臣や位の高そうな騎士や勲章。誰だか分からないし、どれくらい凄い勲章とかも分からない。だけどきっと凄いんだろう。

そう考えていると、騎士は再度大広間全体に聞こえる大きさで口を開いた。


「そして、皆様の記憶に新しい【次元の裂け目】にて活躍した英雄をこの場に御呼びしています。ベリタス・ブレイブ殿、どうぞ前に」


「はいっ!!」


そして堂々とした足取りで、ミルのように出てきた男。ベリタス・ブレイブ。通称なろう次郎。何故貴様がここにいる…!


「ベリタス殿は【次元の裂け目】から出現した超大型危険指定魔獣・ベヒモスをたった1人で討伐し、国を救った人物。この国の英雄と言っても過言ではありません」


「ベリタス・ブレイブ、貴殿の功績はルミナス聖国最高位の勲章、聖玉勲章(ルミナスエンブレム)を叙勲するに相応しい人である。国民として感謝を」


大臣はそう言って、勲章を渡すと共に頭を下げた。そして大広間にいる沢山の騎士達は一斉にダンッ!と音を出して胸に手を当てている。何だお前ら、心臓でも捧げてんのか?やめとけやめとけ、こいつ(なろう次郎)にそんな価値は無いよ。……俺よりちょびっとだけあるくらい、かな?ほんのちょっとだけどね!?


『あーわかったわかった。なんだよ、なろう次郎も活躍してたんだね。ふ~ん、そっかそっか……スタッフさん、ここカットしておいてね』


スタッフが誰の事を指すのか分からないが、アキラは両手でチョキチョキしながら、早くこんなどうでもいい叙勲は終わらないかなぁ、と思い、そして早くミルに会いたいなと思うのであった。

吹雪勲章(ブリザードエンブレム)

ルミナス聖国に【銀零氷】の使い手が生まれた時に授与される剣士として最高位の勲章。

聖剣に選ばれた者が亡くなったな、国に返す。

尚、他の聖剣使い2人もそれぞれ空翼勲章(ウィングエンブレム)大地勲章(グラウンドエンブレム)を持っている。


聖玉勲章(ルミナスエンブレム)

ルミナス聖国にて最高位の勲章であり、それこそ英雄のような人物にしか授与されない特殊な勲章。

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