7話:兄弟の家へお邪魔します
あれから二人に気を使われてアキラさんと呼ぶと言うから、俺は気にせずおじさんと呼んでくれ…っと言うと、二人はそれはダメです!と言う。話し合いの末、アキラおじさんに落ち着いた。親戚の子と考えればダメージは低い………低い?
「そろそろ村につきますよ」
「おっ、いよいよか。楽しみだ」
ルカ君とリオ君はエルフ。つまり村の人達も必然的にエルフとなる。いやぁ~初めて意志疎通が出来る相手が人間じゃないのまぁ…割りとよくあるんだが、ルカ君とリオ君が女性じゃないって点を考えれば珍しいかな。
『しかし…最初に主人公が助けるのは若い娘って相場が決まってるんだけどなぁ…。まぁこの兄弟の命が助かったなら全然いいんだけど』
そんな事を考えながら歩いていると、ようやく村らしき所が見えてきた。
木を使った防壁があり、村の入り口の左右には弓が射てる見張り台まである。流石弓使いのエルフと言った所だろう。
「おぉー!第1村にようやく到着───ヒッ!?」
腕を空に向けてビクトリー!っとした瞬間、俺の右頬を何かがかする。
まぁ俺は異世界物読んでるから今のは何か、何で攻撃されたのか、この後の展開まで大体分かる。
結論から言うと今の攻撃は矢。んで俺は命は助かる。なろう小説様々、展開がわかるわかる。
「貴様は何者だっ!!ルカとリオを解放しろ!!」
「ま、待って下さい!この人は俺達を助けてくれた人ですよ!!」
ほらね?大体わかってた。俺が二人を誘拐したって言うんだろ?知ってる。
そんでこの二人が弁解してくれるのも知ってる。うん、テンプレだ。
「何…?この人族が?それは本当なのか?ルカ」
「えぇ本当です!だから攻撃をやめてください!」
ルカ君が説得すると、見張り台のエルフニキは攻撃をやめて、俺の目を真っ直ぐ見る。
やめろ…お前もカッコいい髪型&美形なんだから見つめられると男でも照れるだろうが。勿論そういう意味で見ている訳では無いのは知ってるけども。
「……そうか、それはすまない事をした。どうか俺の謝罪を受け入れて欲しい。本当に申し訳ない」
弓の構えを解いて、見張り台から飛び降りてこちらに近付くエルフニキ。しかもしっかり頭を下げるもんだから俺も少しテンパる。
「あっ、いえ!平気ですよ、少しかすっただけですし……うおっ、思ったより血が出てる」
全然平気だから別に怒る事も無い。そういう意味で手をブンブン振って、頬を触ると血が出てるからビックリした。ナイスエイム!
「本当にすまない…その頬はこちらで治させてもらおう[治療]」
「おぉ…!」
心優しいエルフニキは俺なんかの為にテンプレ魔法、[治療]を使ってくれた。淡い黄緑の光と共に俺の傷は塞がっていく。
「これで傷は塞がったが、重ね重ね謝罪を…」
「いえホントもう!平気ですから!!」
あまり頭を下げられるのは慣れてない。俺はそこまで上の立場では無かったからなぁ…
「まだ俺の名を名乗っていなかったね。俺の名はフールだ、よろしく」
「ご丁寧にどうも!俺の名前は天道明星、明星って呼んで下さい」
「よろしく、アキラ。では早速村の中へ。ルカ達の家までご案内しよう」
そう言って村へと案内してくれるフールさん。どうやらルカ君達の家まで案内してくれるとの事。
「………」
「ふふっ、何か意外だったかい?」
「あっいえその…人間相手なのに…何て言うか…キツくないんですね」
「ははっ、そうだね。それは俺達の一族が勇者と関わりがあるのが1つの原因かもね」
大体のお話ではエルフは結構他族を見下すって言うか、拒否すると言うか…。あまり関係を持とうとしないイメージだっただけに、結構驚いている。
「僕達の祖先は勇者に助けられた一族なの。だから昔から人族とは仲良くと言われてるんだよ…!」
俺の手を握るリオ君が、楽しそうに説明してくれた。成る程、人族の勇者ねぇ…。俺はその可能性がある、と。
『これってもし勇者の適性が俺に無かったら対応変わる感じかな…』
多分この村の人とは三人しか会ってないけど、大体こういう雰囲気なんだろうから、そんな風に厄介者扱いは無いと思うけど、ガッカリはさせちゃうかもしれない。
「ついたよアキラおじさん!ここが俺達の家だよ!」
「ほえ~…デッカイんだなぁ…」
家が7世帯くらいしかない村だから、話ながら歩けばあっという間に到着。
でもどの家より大きく見えるこの家、さてはこの兄弟…お偉いさんの子だな!?
「ルカとリオは村長のお孫さんだからね。では俺はここまでだ、村の見張りがあるからね。ではまた」
「ありがとうございました!」
手をヒラヒラと振って入り口へと戻っていくフールさんにお辞儀しながら見送った。
そしてルカ君達に手を引かれ家へと案内される。
「ようこそ我が家へ!アキラおじさん!」
「おぉ!現代の山小屋風なのか!いいな!」
ルカ君達の家は現代の山小屋みたいにしっかりした作りだ。上にはロフトまであって、天井も広く感じる。
「父さん!母さん!帰ったよ!」
ルカが元気よく親御さんを呼ぶ。これから対面だと思うと、何となく緊張してしまう。
「ルカ!リオ!またあんた達は勝手に……そちらさんは?」
「どうも初めまして、天道明星と言います。訳あってこの村に入れていただきました」
扉を開けて出てきたのは綺麗なエルフの女性。ルカ君とリオ君にどことなく似てるから母親とすぐにわかる。
「まぁ!そうなのね!人族がうちの村にやって来るなんて…!」
プリプリと喜ぶエルフネキ。名前を言ってくれないからそう心で呼ばせて貰うね。
「母様、父様とじぃじはどこ?」
「お爺ちゃんは話し合いに行ってて、お父さんは今薪割りをしているわ」
リオの頭を撫でながら優しくそう言う姿は、あっ母親だ…という感じが滲み出ている。所謂母性だな。
「ふぅー…今日の薪割りは終え……おや?君は?」
染々と母と息子のやり取りを見ていると、玄関からガタイの良い兄さんが入って来た。多分この家の大黒柱だな。
「初めまして!俺は天道明星と言う人間です!」
「はぁ…人間のアキラさん……んっ!?人間!?」
やはりと言った所か、この人も驚いている。余程人間がこの村では珍しいらしい。
それは兎も角、俺はこの村で三回もフルネームで名乗ってる。後お爺さんがいるからもう一回名乗るのは確定しているな。
まぁ名前を名乗るのは人として大事な事だから全然良い、むしろどんどんやってこう。
そんな中、俺を置いて盛り上がる家族四人。勇者がどうたら、ゴブリンがとうたら。
どうやら俺の紹介文が名前以外全て兄弟から言われている。家族のお話に割り込む程図太く無い俺は、その間待機となった。
玄関で、、
そう言えば主人公の見た目とか説明してませんでしたね。
名前:天童明道
年齢:30歳
身長:174㎝
体重:62㎏
髪色:黒髪
髪型:なろう主人公カット
趣味:筋トレ・稽古・なろう小説
それ以外はごくごく普通のアラサー。30歳になってもなろう主人公感を出したいが為に、なろうヘアー。そして肌の身だしなみは欠かさない。