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71話:約束を守れ

そろそろ剣闘大会が終わります。…4話程で。

頭脳プレイ(笑)で見事勝利をもぎ取った俺は、対戦カードを確認する。


「ジェーンも勝ち進んでるし、俺も負けてられないな!」


今こうして対戦カードを確認している間も、ジェーンは試合している。本来なら応援に行くのだが、第2ブロックでジェーンが負ける事は無いと判断して、俺は今に至る。


「俺の次の相手は……28番か。たしか…あ、いた」


辺りを見渡すと、28番男を発見。背中に背負っている2mもある長い剣。刀身と柄が同じくらい長い。もはや槍だろ、あれ。


「1回戦のロングソードなんて目じゃないくらいのリーチ……攻める前に斬られそうだ」


どうやって戦うか考えていると、ここまで歓声が聴こえてくる。どうやら3回戦が終了したらしい。となればすぐに俺の番だ。


「どうやって勝とう…」


そんな弱気なセリフを最後に、ブツブツと独り言を言いながら通路を歩いた。





──続いて入場したのは、誰が言ったか“狂人“…!アブノーマル、テンドウ・アキラ!!


『やめい!悪意があるぞ!』


そんなアナウンスはさておき、俺は目の前に立つ男に視線を向ける。

身長は俺より高く、180越えだろう。男は槍のような長柄武器、通称ロンパイアを構えて俺を強い目で睨み付ける。


『身長+長い武器、か……圧倒的に不利だな』


俺は細剣を抜剣しながら思考する。どう動けば勝てるのか、どう回避すれば次の1手に入れるのか。


「では3回戦2試合目──初めっ!!」


俺の思考は審判の掛け声と共に停止し、一気に駆け出す。先ずは相手がどんな動きをするのかを知る必要がある。俺は回避に専念し、相手に接近した。


「バカめ!──フッ!!」


接近してきた俺に向かってロンパイアを半月のように大きく振る。予想以上に速い一撃で驚いたが、避けるには十分時間があった。


俺は横に振られたロンパイアをスライディングのように下を通って回避。そのまま上半身を使って立ち上がり、一気に駆け込む。


「甘いッ!!」


しかし相手もここまで勝ち上がってきただけあり、横に振ったロンパイアをすぐさま初期位置に戻し、高速の連続突きを放った。


「グッ…!!」


俺はすぐさまロンパイアが届かない距離まで下がりながら回避したが、右横腹をかすってしまった。

この大会は降参、またはどちらかが瀕死になるまで戦うのがルール。故に斬りつける事は反則ではない。


「クッソ……!どちらかが瀕死って…俺はポ○モンじゃねぇんだぞ」


これも異世界ではよくあるルールだ。だがこればっかりはテンプレじゃなくていいから!


「動けば更に出血する。早めに降参した方がいいんじゃないか?」


「ヘッ…冗談!俺はなぁ…!ピンチになればなるほど強いんだよ…!」


「ほう…?なら見せて貰おうか──ハァッ!!」


ロンパイアを高速で斜めに振りかぶり、俺強烈な一撃を放つ。それを細剣で出来るだけ受け流し、限界を迎えたら体を回転させて完全に受け流すと同時に相手の胸を狙って左薙を放つ。


「ははっ…!中々やるじゃないか」


相手は僅か掠めた胸抑えながら笑う。その表情は歓喜。俺と同じで真剣勝負に喜びを覚える人種だ。


しかしこのままではジリ貧だ。横腹に受けた傷のせいであまり激しい事は出来ない。更に向こうは圧倒的なリーチ。このまま牽制でもされれば、俺は出血が原因で気絶するだろう。


「決めるなら今、だな…!」


俺に限られた時間を最大限生かし、勝つために俺は走り出す。それを見た相手はロンパイアを構え、またしても横払いを繰り出す──ように見せ掛けて、下から掬い上げるように風逆を放った。


それをなんとかタイミングを合わせて、ロンパイアの樋部分を右足で蹴り、左へと流す。

左へとずれた隙を俺は逃さない。この隙を逃したら次は無い。


「[霧雪]ッッ!!」


俺の出せる最速の技[霧雪]

高速で相手の体目掛けて何度も連続の刺突を放つ。

だが相手はそれを紙一重で全て回避する。


「まだ……終わらない!![氷冠]ッ!!」


細剣を特殊な動きで放つ技。それはバランスボールのような大きさの氷の塊を生み出す。

それを力強く相手に向かって蹴り飛ばす。


[霧雪]で決められなかった時の保険。[霧雪]は周りの温度を下げる効果もある。まだまだ未熟な俺では[氷冠]を使ってもソフトボールサイズを生み出すのがやっと。だが[霧雪]を事前に放てば、結果は変わる。こうして今のように、巨大な氷塊を生み出す事も可能になる。


「バカなっ──!」


相手は突如出現した氷塊に驚きながらも、ロンパイアで氷塊を木っ端微塵に粉砕する。

だがその時には既に遅く、俺はその場にはもういない。


「俺の……勝ちだ…!!」


相手が氷塊を砕く瞬間、身を低くして相手の懐に入り込み、俺は相手の首に細剣を当てる。

男はゆっくりと下を確認し、俺を顔を見ると悔しみの表情を浮かべて脱力する。


「勝者!テンドウ・アキラ!!」


なんとか3回戦を突破し、ジェーンとの約束は守る事が出来た。

だが俺に出せる全てを出してしまったのが気掛かりだ。


俺は係の者に肩を借りながら医務室へと向かい、この後すぐに始まる4回戦に為に治療を受ける。


───────────


「さてさて、ミルちゃんの弟子とエクス君の弟、果してどちらが勝つのやら」


「オレの弟は敗ける筈ねェ!!絶対に勝つッ!!」


「相変わらず熱いねぇ~…ね、ミルちゃん。………ミルちゃん?」


グリシャがミルに声を掛けるが、返事は返ってこない。またいつもの無視かと思ったが、どうやら考え事をしているようだ。

グリシャは少し耳を澄ませると、何やら小さく言葉は発している。


「[霧雪]を使い、周りの温度を下げてから[氷冠]を使う……ん、中々いい手。でもまだワンテンポ反応に遅れてる…この大会が終わったら鍛え直さないと…。次は何を教えよう。[砕氷]?いやそれよりも実用的な[流氷]の方がアキラは使いやすい筈……でもアキラ自身に高威力の技が無いから[暴風雪]を──」


「あ~…ダメだなこりゃ……」


完全に弟子の今後を考える師の顔になっているミルに、グリシャは頭を軽く掻いてそう呟く。グリシャ自身にも弟子がいるから分かるが、他人から見たら自分もこんな感じなんだろうかと困惑した。


「六剣の一族相手にジャイアントキリングを見せてくれるのか……楽しみだねぇ~」


グリシャは顎に手を当ててニィ…と微笑み、そう小さく呟いた。


察しのいい方は分かるかもしれませんが、6本の聖剣はそれぞれ【炎】【土】【風】【氷】【翼】【光】となっています。


今の六剣の先祖が聖剣使いであり、必ずしも六剣が聖剣に選ばれる訳ではありません。現に、今の六剣で聖剣に選ばれているのは2人だけです。

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