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68話:バトルロワイヤル

急に具合が悪くなって書けませんでした…本当すいませんでした。


ブックマーク&評価、本当にありがとうございます。とても励みになります!

ジェーンの後ろ姿を見送って暫くした後、2グループ目が入場してくる。その中には当然ジェーンがおり、この前言っていた通り大剣を背負っている。まんまサイズがドラゴン殺しじゃん。


向こうも俺を発見したらしく、此方に向かって元気よく手を振るジェーン。俺は軽くフリフリと振り返した。

そして間も無くして、空砲の音と共にバトルロワイヤルが始まった。


「うっわ……あれはズルいわ」


2mはある大剣を振り回して、周りの参加者達に強烈な横払いを繰り出すジェーン。リーチ的にズルいし、何よりあれを振れるのが凄いわ。それに痛そう(小並感)


「そう言えば…これって魔法はありなのかな?」


と言っても俺は[火花(ヒバナ)]しか使えないから、使われると大変困るのだが…


「魔法は禁止だ。だがある程度の体術なら許されている」


俺の呟きに答えたのは………誰?知らない人だ。


『えっ…?ホント誰、この人……デカ…』


身長2mを越えてる大柄な男性。俺より歳上だろうな、顔が渋いし。これで十代って言われても信じないわ。


「む…?ああ、すまない。まだ名乗っていなかったな…これは失敬。オレはブレイ・フォッシル、ちょうど君と同じ3グループ目の参加者だ」


あまりにブレイさんの顔をガン見し過ぎて、名前を催促している奴だと思われてしまった。名前を言われたからには俺も言わないとな。


「あっ、どうも…俺はアキラ…天道明星って言います」


「アキラ君、だね。お互い残れるといいな」


「そう…ですね」


差し出された手を俺はガン見しながらそう答えた。手もデッカ!野球のグローブみたい……それはオーバーか。でもホント大きな手だ。


あまり待たせるのは失礼(ガン見も失礼)なので、俺も手を差し出して握手をする。何かブレイさんの手、温かい……湯タンポで出来る?


「む…どうやら2グループ目も終了したようだ。早かったな」


ブレイさんの言葉通り、今回も早く終わった。参加者全員がガツガツ向かってくのが原因だろう。逃げたりするのは反則ではないが、標的にはされるだろうな。


「我々もそろそろ行くとしようか」


「そうですね」


遅れて参加出来ませんでしたじゃ不味い。俺とブレイさんはやや早足で部屋へと向かった。


──────────


「では3グループ目の皆さん、ご入場お願いします」


係りの人の案内で3グループ目の全員は闘技場中央へと繋がる通路を歩く。

それぞれ所持していた剣は一時国が預かるんだとか。個人で持ってて無くされたり、盗まれたりしないようにだ。

なので、使用するのは各々支給された刃を落とした剣を使用する。


『俺は細剣一択だけど…ブレイさんのあれなんだ…?』


ジェーンとはまた違った大剣。クレイモアだっけ?いやクレイモアよりツヴァイハンダーの方がしっくりくるな。兎に角相手にはしたくない剣を使っている。


『ミルが見てるんだ、カッコいい所を見せないとな!』


心の中でそう考えていると、闘技場にパァンッ!と空砲が鳴り響く。

バトルロワイヤルが始まった。


一斉に動き出した参加者達。それぞれの得意を生かした戦法で削り合う。俺はそれを呆然と眺める。足が思うように動かなかった。


「…っ」


一歩、また一歩と後退していく。参加者から感じる殺意のような感情が俺の心を揺さぶる。

こんなの知らない。知りたくもなかった。人がここまでの感情を向け合い、剣を振るなんて事を。


これが本当に剣の大会なのか…?


「ッ!!」


棒立ちをしている俺を狙ったのだろう。右から俺の頭目掛けて殺意のような気を感じた。

咄嗟に俺はしゃがんで回避し、すぐにその場から退避する。


「シッ!!」


俺と同じくらいの青年は得物であるレイピアを使い、刺突を仕掛けてくる。当たっても死にはしないが、いざこうして向けられると身がすくむ。


俺はバックステップで一旦距離を取り、俺はすぐさま細剣を抜いた。

隙を与えぬ高速の突き攻撃で畳み掛ける青年。その攻撃を俺は下に弾く。


「はあぁぁ!!」


「っ!!?」


剣を高速で横に払い、胸に一撃を与えた後に即撤退。いのちだいじにを選択した俺はヒット&アウェイ戦法を選ぶ。何かかくし球でもあったら困るし。


「はあッ!!」


「ッぶな!!」


バックステップで下がっていると、さっきの青年とは違った屈強な男から攻撃される。それをなんとか細剣で受け流して回避する。そのまま細剣で仕掛けるように見せ掛け、男の左横腹に蹴りを放ち撤退。


『さて、そこそこ卑怯な手だけど…まぁ止められてないし平気だろ』


狙われるって分かってて逃げてる訳だし、平気な筈だ。出来るなら来ないで欲しいが……見てくれてるミルの為にも頑張ってるからよぉ!いつでも来いコノヤロー!



「結構人数減ってきた──なっ!!後は──おりゃッ!!」


人数が減ってきたら逃げるのをやめ、少しずつ対処していく。少なくなってきたとはいえ、まだまだ人がいるにも関わらず、やたら俺ばかり狙われている気がする……


「あぁ……最初に逃げて──たのがッ!仇になった──なッ!!」


そう自己解釈し、細剣で受け流しては突くを繰り返す。[終雪]は使わない。本選に出るまでは取っておきたい。


こうしている間もちゃくちゃくと減っていく参加者。残り20数人といったとこだろうか。人が減ったことで少し考える余裕も生まれる。


『いつの間にか俺…細剣で戦ってたな。あんなに参加者達の殺気に当てられてビビってたのに』


生存本能ってやつだろうか。ビビった俺の本能が生きる為に抜剣した…のかも?

ミルが言ってたように、ピンチにならないと強くなれないらしい。


「アドレナリンの影響もあるんだろうな」


いや…アナドレラリンだっけ…?あれ…?デジャブを感じる。毎回わかんねぇんだよな。

一体どっちが正し──


「──ガッ…!!?!」


突然の激痛と共に吹き飛ばされる。何が起きたかも理解できずに何度も地面に体を打ち付けながら転がる。


「ガッ……ハッ…!!何が…!起こった…!?」


「む……意識があるか。当たると同時に下がったのか、大したものだな」


口に広がる鉄の味。口が切れただけじゃない。これは内臓も傷付いている。この状態では激しい動きは出来ない。


「ブレ…イ…さ、ん!ゴホッ…ゴホッ………!」


俺を吹き飛ばしたのはブレイさんだった。あの巨大なツヴァイハンダーでやられたようで、俺は立つこともままならない。


「すまないな、アキラ君。次は必ず気絶させる」


俺に向かってゆっくりと近付くブレイさんは、ツヴァイハンダーを横に構える。もう一度あの一撃がくる。

俺はこのまま逃げても無駄だと悟り、細剣で対抗しようとする。だが俺の手には細剣は握られていなかった。先程の一撃で手放してしまったようだ。


「残念だ、本選で戦いたかったよ」


「ッ…!」


俺は腕をクロスにし、少しでも威力を落とす為に守りの体制に入る。だがブレイさんの放った一撃は俺に当たる寸前で止まった。


「…………む…アキラ君、君は運がいいようだ」


「どういう……意味ですか」


「見たまえ」


ブレイさんがツヴァイハンダーを鞘に納めながらそう言い、闘技場内を見渡す。

激痛に耐えながらゆっくりと立ち上がり、俺もブレイさんと同じように見渡す。そこには倒れて動くことの無い大量の参加者達と、勝ち残った少ない参加者達。


「6…7、8………あっ」


「そういうことだ。本当にアキラ君は運が良いな」


ブレイさんは最後にそう言って俺に手を差し出す。

どうやらブレイさんと戦っている間に参加者は10人まで減ったようだ。俺は運良く本選に残れた。実力ではなく、運で。


「大会とはいえ申し訳ない。すぐに医務室まで送ろう」


「お願い…します」


立つことは出来ても、ろくに歩くとも出来ない為、ブレイさんの肩を借りながら医務室へと向かった。



──何で逃げてたアイツが残るんだよ…


──運だけの奴だ、どうせ本選の1回戦で敗けるさ


──はぁ…シラケることすんなよ


──あのままブレイさんにやられちゃえば良かったのに…


「…………」


観客からここまで聴こえてくるその声が俺の心を深く切りつける。


「運も実力のうちという言葉もある。気にするな」


「………」


ブレイさんは小さくそう言うが、俺は何も言うことは無く、医務室へと向かってあるいた。

強く拳を握り締めながら。

なろう主人公ならバトルロワイヤルが開始してすぐに決着がつきますね。

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