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66話:デート?いいえ違います

ただただ散財してボコボコにされるお話。

剣闘大会が始まるまでの間、俺はミルと共に出店を沢山回ることにした。

こっちの世界のお祭りは初。女の子と回るのも初。……スゲェドキドキするが、ミルはどうなのだろうか。


「アキラ、あの出店にあるのは美味しいよ」


「そうなんだ、なら食べよう」


「ん…!」


ドキドキしている様子は皆無。それどころか男として俺を見ているのかさえ怪しい…

ミル本人はお祭りが楽しくてテンション上がってるし。


「あっ!ホントだ美味い!」


ミルにオススメされた食べ物を買ってみたが…中々美味い。でもこれなんだろう…何かの野菜かな?焼きトウモロコシみたいな感じだが…


「モグモグ……食べ物以外にも色々あるな」


ベンチに座り、焼きトウモロコシ?を食べながら出店を見る。日本で言う射的らしき物もあるし、くじ引きだろうか、子供達が集まっている。


「うん…モグモグ……小さな子に人気なんだよ」


「これ食ったらやってみたいな」


「うん、やろう。…やるのは久し振り…!」


チラッとミルを見る。(ミルだけに)

いつも無表情で分かりにくいが、最近は一緒に稽古しているお陰でミルの感情がわかる。これは楽しんでいる顔だ。口角がほんの僅かに上がってるし。


『ま、デートじゃなくてもミルが楽しめてるならいっか。稽古以外でこんな楽しそうなミルは見れないからな』




てな訳で食べ終えた俺達は、早速遊べる出店へと足を運ぶ。

最初に来た店は、射的……ではなく、所謂ダーツのようなゲーム。てかダーツだ。


「まんまダーツだな…」


「久し振りだから…当たるかな…」


俺が鉄で出来た針を見ながらどう投げるが考えていると、ミルが弱気な事を言って1投目を投げた。


「うっそやろ…」


「お嬢ちゃんスゲェな!!ど真ん中だよ!」


「久し振りだけど…当たって良かった」


的に当たって安心しているミルだが……お前何やったか分かってんのか…?ど真ん中、つまりダブルブルだぞ…?50点だぞ…?え、なに?プロですか?


「ヤバイな…負けてられない──なっ!!」


「おおー!そっちの兄ちゃんも凄いな!ど真ん中だ!」


「流石だね、アキラ」


フッ…実はハワイで親父に習った。

訳では無く…俺が20代前半の頃、こういうカッコいいゲームに惹かれて通い詰めていた時期があった。一応ダーツ、ビリヤードなんかは一通り出来る。

でも今のは完全にまぐれだけども。


「ボクも頑張らなくちゃ──ね…」


「マジかよ………」


ミルが2投目を投げると、またしてもダブルブル。もうまぐれとかじゃないよね…それ。明らかに狙ってるじゃん…。投げられるのは全部で3投、このままじゃ勝てないよ…


「いけっ!!──だあぁぁ!!」


ど真ん中を狙って投げたが、ミルが連続でダブルブルを出したせいで緊張し、俺は漫画のようヘマをした。せめてシングルブルなら挽回出来たのに…


「クソっ…」


「緊張しすぎだよアキラ。やっ」


ミルが最後の3投目を投げると、ダブルブル………俺が2投目をシングルブルを出してももう勝てないじゃん…150点って…


「おめでとさん!3連続で真ん中に当てた奴は今日で2人目だ!」


マジかよ…異世界ってそんなヤバい世界なの?レベチー過ぎるだろ。


「ちょうどそっちの兄ちゃんと同じで黒髪だったなぁ…」


えぇ………いるやん、新しい【なろう】主人公……この国にまた新たな奴がいるのか…会いたくないな。でも絶対そいつ大会参加するわ、確定ですわ。やってられないわ。


「それはともかく…はいよ、お嬢ちゃん。景品だ!」


「ん…ありがとう」


的屋のおっちゃんに渡されたウサギのぬいぐるみを嬉しそうに見つめるミル。ほんとは俺がプレゼントするのがセオリーなんだがなぁ…情けない限りだ。


俺もあと1投残ってるが…負け確って嫌だな……

俺は負けるのが分かっているので、脱力して適当に投げた。

まぁ案の定真ん中には当たらない。一応的には当たったけども。


「はいよ、そっちの兄ちゃんにも景品だ!」


「どうも…」


渡された水色の小さな熊のフェルト製らしきぬいぐるみを俺はつまみ上げるように見つめる。

熊か……ある意味思い入れがあるな。


「………ミル、これいる?」


「…!いいの…?」


「うん。俺よりミルが持ってる方がこいつも喜ぶだろ」


そんなキラキラした目で見られたらあげたくもなる。もっとも表情はあまり変わっていないが。


「さて、んじゃ他の店にも行ってみるか」


「そうだね」


1回目の勝負では負けてしまったが、次は負けないつもりだ。剣で勝てないなら他で勝つ。多少ズルくても、勝てばよかろうなのだァァ!


───────────


「バ、バカな…!?」


「今日はツイてる」


ダーツ戦の後、くじ引き、ストラックアウトのようなやつなど、全部で3回の勝負をミルとした。

結果は大惨敗。くじを引けば、ミルは1桁を出し、逆に俺は3桁を出した。この地点で敗北決定なのだが、泣きの一回で最後のストラックアウト的なやつをやる事となった。


──ズバァァァアン!!


全世界のプロ野球選手もグローブを捨てて逃げ出す程の威力でボール投げるミル。俺初めて見たよ、音を置き去りにしてるの。感謝の正拳突きかな?


「それじゃあ約束の…」


「分かってるよ、買いに行こ」


少し照れるようにそう言ったミル。勝負で負けたら何か奢る約束をしていたのだが、俺は見事に負けた。負けなんて生易しい物ではなかったが。



「どれがいい?」


「えっと……これが、いい」


やって来たのは飴細工の出店。こっちの世界にも飴細工があるのは驚いたが、もっと驚いたのはお値段だ。小金貨1枚と大銀貨1枚。つまり1万5000円するのだ。砂糖が貴重なのと、技術面だろうな。


ミルが選んだのは青みがかった天馬の飴細工。それを購入し、ミルに手渡すとミルはとても嬉しそうに微笑む。

この数時間でミルの笑顔が沢山見れたから、お金も俺のメンタルも安いもんだ。


「ありがとう、アキラ…!」


「喜んでくれて良かったよ」


──間も無く、ルミナス剣闘大会が開催されます。受付がまだの方はお早めにお願いします。並びに参加する方はルミナス闘技場へとお集まりください。


街の至るところにセットされたスピーカー?からウグイス嬢のような声が聞こえたくる。

いよいよ剣闘大会が開催される。俺はゆっくりと深呼吸をし、ミルと共にルミナス闘技場へと向かった。

デートしたことないからね、仕方ないね。

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