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44話:新たな【なろう】系主人公参戦

毎日投稿の効果か、沢山の人に見ていただけてます。ありがとうございます。

「わざわざ見送りまでありがと、アキラ」


「ミルは俺の師匠だからな、見送って当然だろ。俺もルミナス聖国にはすぐ行く予定だからさ、向こうでも頼むな」


ミルとの最後の稽古をした翌日の朝。ミルの故郷である、ルミナス聖国行きの列車乗り場へと来ていた。

正直列車があるのに驚いたが、たまに異世界でも見掛けるから、あるのか…って感じだった。

そもそも移動の文化が発展しないなんてあり得ないよな。


「うん、待ってる。向こうでも教えるからね」


薄灰色の髪に映える青色の髪飾りを着けたミルは微笑む。しかしその目は戦っている時と同じでヤバい目をしている。


「あはは…お手柔らかに頼むよ…」


怖い。可愛いけど…怖い。プーちゃんママが寝言で『あぁ…!あの子きゃわいい~♡』って言ってる時くらい怖い。


「フフっ…どうしよっかな」


「おいおい…」


そんなやり取りをしていると、ホームにアナウンスが流れる。どうやら発車するようだ。


「……じゃあね、アキラ」


「おうっ!またな、ミル。気を付けてな」


最後の挨拶を交わし、ミルは列車へと乗り込んだ。警笛の音が鳴り、列車は動き出す。

窓から俺に手を振るミルに、手を振り返した。


「ありがとな、ミル」


遠くなった列車に向けて俺はそう呟いた。

数秒程小さく見える列車を見つめ、俺は駅から出た。


───────────


ミルが帰ってから数日間は何事も無く、クエストを沢山受けたり、夜の店でゲロッたりと平穏な日々を過ごしていたのだが、、


「なぁにこれぇ」


店の裏にある小庭にいつもいるシアンの様子がおかしい。いやおかしいっていうか…

なんか繭にくるまってるんですが…?


「最近脱皮とかして更に大きくなったと思ったが…」


シアンはここ最近でどんどん大きくなっていた。飯も沢山食べるから、節約の為に森に放つとそりゃ沢山食べるんですよ、中々グロい食いかたでね。

んで芋虫みたいになったと思ったら次は繭ときた。


「いよいよか…なんでミルがいなくなった時に進化するのかねぇ…お前狙ってたろ」


相変わらずうんともすんとも言わないシアンに溜め息吐いて見守る。

毛虫状態のシアンも中々キモかったが、芋虫状態のシアンも結構キモい。だって人間の太ももくらいの大きさなんだぜ?怖キモいだろ、普通。


「まぁこうなったらしばらくは動かないよな。さて、クエスト受けに行こっと」


一先ずシアンは放置して、俺は冒険者ギルドへと向かった。


「あっ!アキラ君っ!丁度良いところに!こっちこっち!」


「…?」


ギルドに到着するやいなや、元気な受付嬢に呼び止められる。お前俺のこと田舎者扱いした女だな?茶髪女がぁ…!


「えっと、アキラ君はFランクからEランクに昇格です!おめでとうございます!」


「えっ?」


パチパチと拍手する受付嬢(名前知らん)に詳しい事を聞くと、どうやらランクアップの条件を満たしたらしい。

Fランク冒険者は、一定数のクエストをこなすと昇格なんだとか。別に試験とか面談も無いんだってさ。俺的にはやりたかったけど。お約束だしね。


「では冒険者カードの更新をあちらでしてください!」


「わかりました」


俺は以前冒険者カードを作った時に使用したギルド特有の謎機械の前へと進み、冒険者カードを差し込む。

なにやら機械の中でガチャガチャと音を鳴らしている。


「おっ、出てきた。どれどれ?」


名前:テンドウ・アキラ

Eランク冒険者

種族人族(ヒューマン)

性別:男

魔法:[火花(ヒバナ)]

スキル:[背水の陣][限界突破(オーバーロード)][斧熟練Ⅱ][弓術Ⅰ][逃走Ⅴ][激情][剣術Ⅱ]

加護:[治癒の女神・リコスの祝福]


「うわっ…[逃走]がⅤになってる…恥ずかしくて見せられないぞこれ……それにまたスキルが増えてるし…」


[剣術]はまぁ当然といえば当然のスキルだが…この[激情]ってどんな効果のスキルだろう。


「調べる…か?いやでもなぁ」


この謎機械を通せば、スキルや魔法の詳細や効果を知る事が出来る。ただし機械に記憶されてるスキルしか分からないらしい。

でも1つスキルや魔法の効果を知るためには銀貨3枚必要なのだ。


「微妙に高いの何なの?」


でもまぁ…[背水の陣]のように効果を見なくても予想がつくようなのじゃないしな…

高いが調べてみるか。


俺はギルド職員に銀貨3枚を渡し、スキルの調べてみた。また懐が寒くなってしまったな。


スキル:激情

感情の強さによって、戦闘能力が上下する。


「えっ…これだけ?」


銀貨3枚払ってこれだけの情報ぉ…?いやまぁシンプルで分かりやすいけども…なんだかなぁ…


「感情の強さで上下する力、か…またバフスキルか」


[激情]って言うくらいだから、七つの大罪系統のスキルかなーって思ったけど違ったようだ。

この[激情]スキルと[背水の陣]スキルの効果で、ミラージュ・バタフライを落とせたのか。


考えてみればチートの無い俺に、あの巨体な蝶を殴った程度で撃墜させられるなんて変だと思った。


「強気な時なら強いけど、弱気になってる時は弱くなるのか……扱いに困るスキルだな」


書いてないけど多分常時で発動するスキルだろうな。どれくらい弱くなってしまうのか心配だな。


取り敢えずスキルの確認は終えて、俺はクエストを受ける事にした。

これで気兼ねな無くEランククエストを受けられる。


「とは言ったものの…どうするか」


森蜥蜴のクエストを受けた時は、強くなりたい一心で受けてたからな、視野が狭かったけど…改めて見ると結構あるんだな。


「やっぱ魔物退治が多いな。簡単そうなのは無いし」


森土竜(フォレストモグーラ)森鶏(フォレストコケコッコ)森魔木(マジックツリー)など様々なのが貼ってある。どいつもこいつも森がついてる名前だ。コケコッコの存在感が凄い…w


「気になるから森鶏の退治クエスト受けてみようかな」


そう考えて俺はクエストを受けに行こうとした時、とある人物に視線が全部持っていかれた。


『ん!?んん!!?』


ギルド内の受付で何やら話している18歳くらいの青年がいた。

しかし何より気になったのはその容姿だ。


『黒髪…黒目だとぉ…!?』


そう、黒髪黒目という見覚えのありすぎる人物。しかも格好が黒のローブ?みたいな服を着ていて、デスマ次郎を連想する服装だ。

コラァ!キャラ被るだろうが!


『しかもアイツゥ…!肩に何か生き物乗せてるしぃ!何より許せないのがヒロイン臭たっぷりの赤髪の美少女の存在だッ!!』


ざっけんなよ!!メチャクチャ異世界来たての格好してる癖に…!何ヒロイン枠と相棒ペット枠揃えてくれちゃってんのぉ!?


俺が視線だけで殺せる目線でなろう主人公らしき人物を見ていると、彼はこちらに気がつき近寄ってきた。

な、なんだよ…!暴力勝負なら乗るぞ!!


「あのっ!君…名前は?あっ僕は天草光輝(あまくさこうき)。よろしく」


「……明星。よろしく」


なんだこいつ。いきなり握手求めて来やがって。したけど。

しかし近くで見るとなお【なろう】臭い奴だな。俺と被ってるじゃねぇか。


「アキラか…!君、もしかして日本って知ってるかな?」


赤髪ヒロインに聞こえないように、俺の耳打ちするようにそう言ったなろう太郎(あまくさこうき)君。

さて困ったな。ここは…うん、嘘をつこう。


「いや…知らないな。なんだい?ニホンって」


「あっ…知らないならいいんだ、ごめんね。あはは…」


俺と同じ笑いかたをするな。


「えっと…じゃ俺行きますね」


「あっ!ま、待ってよ!こうやって会ったのも何かの縁だし、良かったら一緒にクエスト受けてくれないかな?実は僕、まだクエスト受けたとこ無くてさ」


えぇ…嫌なんだけど…

お前と一緒にいたら俺がモブ化するだろうが。却下だ却下。


「まぁ…良いですけど…」


「ありがとうアキラ!シアリーもいいよね?」


「ええ勿論。私はシアリー・アン、よろしくねアキラ」


「どうもご丁寧に。よろしく」


嫌だな…一緒にいたくない…

このヒロインはどう考えても俺に振り向かないしな。上から目線で申し訳無いがヒロイン候補から外させていただきます。


『めっっちゃ俺の事見るじゃん、この蜥蜴…』


なろう太郎君の肩に乗っている緑色の蜥蜴。絶対ドラゴンだぞ。しかも伝説的な奴。


「じゃあクエストを選ぼうか」


「わかった、そちらに任せるよ」


帰りたい。帰ってシアンの観察をしていたい。


俺は小さく溜め息を吐いて、なろう太郎君の後についていった。

絶対イベント確定演出が待っていると考えながら、、

フリーズソウル

雪原にだけ咲くと言われる花。

花びらは氷のように冷たく、抜いてから一定の時間が経つと砕け散ってしまう。

そこそこ値段が高い。

ミルが1番好きな花

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