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385話:強襲の機械龍

上手くこなせれば、小説を書く時間が作れそう!

だからペースを守らねば!

「ッ…!何をしている!?早くコイツを殺せッッ!!」


セラフィルの首を力強く掴むアキラは、今まで以上の笑みを浮かべて笑っている。もはやそこにテンドウ・アキラの面影は無く、いるのは残虐な炎の悪魔。


「まぁ…!素敵ですよアキラ君っ…!」


「不味い…っ。このままでは…!」


好意を抱く青年を見るかのように頬を赤らめるユアとは対称的に、焦りの表情を浮かべてアキラへと飛び掛かる“星読みの使徒“達。

だが12人もの実力者が一斉に攻撃を仕掛けたにも拘わらず、アキラのもとへは誰一人として届いていない。


「こ…れは…!」


彼等の攻撃を防いだのは、アキラの腰の皮膚を突き破って生えてきた骨であった。この現象は以前報告されているモノ。だが問題はその数だ。

触手のように生える白い骨の数は数えきれただけでも20を越えている。彼らの攻撃を防ぎきるには容易い数であった。


まだ骨の触手までなら、数が増えようが対処は可能だった。だがアキラの変化はそれだけに終わらなかった。

切断された腕から炎が噴き出したと思った矢先、その炎は形を変えて腕へと変わり、炎は骨の触手にまで侵食していく。


「悪魔め…ッ。」


炎を司る悪魔。もはやそれにしか見えなくなったヴァルは、僅かに手の震えを感じた。

こんな事になるくらいなら、始めからセラフィル卿の言葉通りテンドウ・アキラをさっさと殺してしまえばよかった。下手に追い込むべきではなかった。今になって後悔する。


「は、離…せ……ッ!!」


徐々に力を入れていくのを感じさせる音が響く。間違いなくテンドウ・アキラはセラフィル卿の首の骨をへし折る。止めようにも近付く事さえ許されない今、彼を止める手は無い。

その次は自分達か、或いはここの住民か……嫌な想像しか出来ない。



「───ッ?なんだ?」


「…?」


首をへし折るその瞬間、テンドウ・アキラは何かに気が付き振り返る。それに釣られるように、僕もまたその方向へと顔を向けた。


「なんだ…。あの生物は…?」


此方に向かってくる銀色の塊。その大きさは離れたこの場所からでもハッキリと分かる程に大きく、不気味な飛行音で近付いてくる。徐々に大きくなっていくその塊を見るに、移動速度はとても高い。


僅かにその銀色の塊から光が見えた。

太陽の反射?そう思考した瞬間、テンドウ・アキラはユア・エレジーナを抱き抱えるとその場を素早く移動した。まるで何かから逃げるかのように、、


「何をボケッとしてるデス!?死にたいデスか!!」


「え…?────ッッ!!!」


エリアスの声で意識が戻る。

あれは太陽の反射なんていう優しいモノじゃない。あれは────────





「大丈夫?」


「あ、えっと…ありがとうございます」


「そう。なら離していい?どうせ飛べるんだろ?」


「むぅ…もう少しいいじゃないですか」


ブツブツ言ってるユアを無視して、抱き抱えたユアをポイっと放り投げると、彼女はジト目で俺を睨み、それを更に無視して消していた体の炎を点火させる。


「冗談じゃねぇーぞオイ…」


そして俺は地上を見て、思わずそう呟いてしまう。あの時僅かに確認できた光。それは単なる光では無かった。

先程俺達が居た場所目掛けて放たれたその光は、街を大きく削って僅か数秒で崩壊させた。

今までに何度もこの手の光線を見てきたから分かったが、これは異世界の光線攻撃を越えている。


『何なんだよこれは…まさか核兵器なんかじゃないだろな?』


一ミリの狂いも無く、あの離れた場所からの一撃。更にその光線は体を……遺伝子を破壊する、放射能のような性能まで積まれている。

当たらなくても近隣を死地へと変えてしまう。そんな恐ろしい兵器を放った怪物へと顔を向ける。


そこには龍…だろうか。全身を鉄のような輝きを放つその龍らしき生物に視線を奪われる。

よく見れば所々配線のような物が飛び出しており、生物と言うにはあまりに人工的で不気味だ。何より人らしき者が龍の胸に嵌め込まれているのが異様としか言いようがない。


「────────!!!!」


「うるさっ!!」


機械の龍を懐疑と警戒の目で眺めていると、その龍と視線が合ったような気がした。

その瞬間、耳障りな高音の機械音と共にジェットを思わせる爆音と共に急発進した。


「ッ!?ヤバイだろそれはッ!!」


まさかとは思ったが、どうやら対象は俺らしく、炎の推進力を利用して空中を自由に動き回って、住宅街の路地裏と安定の場所へと避難するも、奴は当然のように建物をその体で粉砕して直進してくる。


「しつこいぞ!!」


「─────────!!!!」


「うわぁ!?まるで効果無しッ!!」


放った爆炎は効かず、腰の触手も奴の外装によって弾かれてしまう。恐らくこの光の剣も奴には通らないだろう。こうなってしまった以上、悪魔の力を使えない現状の俺には相性が悪い。



「[神聖なる閃光刃(ホーリーブレイ)]っ!」


逃走一方だった俺に援護をしたのはユアであり、大天使ウリエルと契約しただけあって光属性の攻撃を放つ。

だが機械龍の上下から出現した光の刃は奴の外装に傷を付ける事には成功したものの、肉にまで達する事無く光の刃は折れてしまった。


『ユアでも通らないのか…。これは悪魔の力を使えたとてキツイ相手になるぞ…っ』


ガトリングガンの様に何発も光線を放つ機械龍から逃げながら、チャンスを伺う。

…いい加減体の方も限界だ。これ以上は俺が火葬される。何か……何か手立てを考えなければ…っ。





「何がなんだか分からないが、奴を狙うのなら好都合だ!今の内にテンドウ・アキラを攻撃しろ!!」


突如として出現した銀色の龍は執拗にテンドウ・アキラを狙い続ける。それをチャンスと捉えたセラフィルは指先に光を集め、攻撃の準備に入りながら“星読みの使徒“へと呼び掛けた。


「………っ。」


だが僕達はテンドウ・アキラへと向けた手をゆっくりと下ろす。


「何をしている!?正義の名の元に、奴を駆逐するんだ!!」


「ここでテンドウ・アキラを狙えば確かに倒せるかもしれない。…ですが……そうなればあの龍が次狙うのは誰ですか?。僕達やセラフィル卿?。それならまだいい。もし次の標的がこの国を、ここの国民なら…?。」


たった1度の攻撃で建物が灰になった。殺す気がなかったとは言え、僕ら12人の攻撃を容易に防ぎきったテンドウ・アキラとユア・エレジーナ。その2人でも防戦一方を強いられる化物を相手に、僕達が勝てるのだろか。


「そうなった場合は尊き犠牲だ!今最優先されるべき事は、国でも国民の安全でも無い。テンドウ・アキラ、この男をこの世から消し去る事!それは世界の全員がそう望んでいる!!そうだろう!?」


「っ…!正気ですか!?今それが1番に優先されるべき事なんですかッ!?」


「当然だ!!この世から悪が尽きるまで私は戦うッ!例え私1人になろうと、何年掛かろうとも、必ず実現して見せる!!」


守るべき国民よりも自身の正義を優先させたセラフィルには、ヴァルの言葉は届かなかった。

そして血走った眼でテンドウ・アキラを睨み付けると、そのまま指先から光線を飛ばす。


「────ッ…!!!」




セラフィルから放たれた光線。それはアキラに当たる寸前の所で出現した黒い穴へと呑まれる。


「何を…している貴様ァ!!」


「………っ。」


その穴を生み出したのはヴァルであった。

セラフィルの言葉を聞いた瞬間、体が勝手に動いていた。

セラフィル卿には僕達の言葉は決して届かない。

だけど、テンドウ・アキラなら……まだ彼に人の心があるのなら……もし本当に情報通りの者ならば、、



「テンドウ・アキラ…!その龍を連れてこの国から離れくれないか!?」


僕の言葉も届くかもしれない。


彼を散々追い詰めておきながら、今更どの面下げて頼めるだろうか。だけど今あの脅威から国と国民を守るには、これしかない。


「────!…フッ、任せろ!」


一瞬驚くような表情を浮かべたテンドウ・アキラは、笑みを浮かべながらサムズアップをした。

此方の意図を理解してくれた。ならば此方も彼に協力する。

僕は自身の転移能力でテンドウ・アキラをこの国の外へと転移させた。絶対的な力を持つ神聖結界が施されたこの場所では、彼は身動きもろくに取れないだろうから。


「頼むぞ…。テンドウ・アキラ…っ。」

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