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378話:これは…!デートじゃないか!?

1週間も遅れてしまった…

…次のやつ書かないとまた遅れてしまう。

「お待たせー……ってどうかしたか?ローザ」


「ふぇっ!?な、なんでもないわよ!!?」


「お、おう…そうか」


目に見える動揺。俺が着替えてる間に何があったんだ?てか久し振りに聞いたぞ、『ふぇっ!?』なんて。マジで言う人いるんだな。…あ、今日日聞かねぇな(言いたいだけ)


「そ、それよりも、中々似合ってるじゃない」


「おっ、だろ?着替えてて似合うなって思ってたんだ。流石ローザ、分かってるな」


「ふん、当然でしょ?私を誰だと思ってるのかしら?」


「ははっ!ローザ様でございます!」


いつもの調子に戻ったローザとそんなやり取りをしていると、シアンが俺の袖を引いた。


「パパ、お腹すいた」


「おお、もうそんな時間か。んじゃこのまま食べに行こっか」


「ええ、そうね」


店の時計を見ればもう昼時。少し前にあれだけ買い食いしたシアンはもうお腹が空いたようだ。本来の姿がデカいからね、しょうがない。


そんな訳で店を出るためにも、服の支払いを済ませようとレジへと向かう俺だったが……なんと既に支払いは完了済み。俺が着替えている間に、ローザがお金を払ったそうだ。なにそのイケメンムーブ…見習わなくちゃ…!


「いいのか…?あんまりこういうの言いたくないけど、これって絶対高いだろ…?」


「もうっ…私が買ってあげたんだから素直に受け取りなさいよ」


「そうだよね、ごめん!無粋だったわ。ありがとうな、ローザ!」


「それでいいのよ」


手を合わせて謝ると、俺はローザに感謝の言葉を述べる。するとローザは笑みを浮かべて頷いたのであった。





「なんだかこうして食事をするなんて久し振りね」


「そうだね。最後のが……2人で旅してた時じゃない?」


「ふふっ、そうね」


シアンと手を繋ぎながら向かったのはフレンチらしき料理店。お洒落な料理を楽しみながら、ローザと談笑を楽しむ。

…そんな中でもシアンはバクバク食べ進める。コース料理なんだよ…?シアン…


『まぁ足りなかったら俺のをあげればいいか。どうせ味なんか分からないんだし…』


魚の料理も、ワインも何も味がしない。この食事で楽しめるのはシアンの満足そうな顔と、こうしてローザと話す事だけだ。


『それにしても、テンパってたローザは可愛かったなぁー。あんな姿、中々お目にかかれないしっ!』


凛とした表情でワインを口にするローザを見ていたら、ふと可愛らしかったあの仕草を思い出すと、思わず微笑みを浮かべていると、、


「何ニヤニヤしているのかしら?」


「いや、さっきの事を思い返し────」


「わ、忘れなさい!早急に!今すぐに!!」


「あはは、可愛い」


「っっ~~…!!」


少しからかって可愛いと言うと、ローザはまた頬を赤らめる。怒っているのか恥ずかしがっているのか…どちらにしろ可愛らしい。


『ハッ…!?今俺なんだか“なろう系“主人公みたいな事してなかったか…!?ぃよし!今のは“なろう“ポイント高いぞ!』


そんな謎ポイントを獲得しつつ、楽しくローザとシアンで食事を続けた。

そしてお会計となったのだが、、


「お客様はファミリー割引をご利用いたしますか?」


「………え?」


満面の笑みで店員さんはそんな事を言い出す。予想外すぎて一瞬聞き間違いかと思ったぞ…


「いや、俺達は…「します」お、おいおい…」


何食わぬ顔でファミリー割引を使用するローザ。よく真顔でそんな事を言え……あ、いや、僅かに耳が赤い…!どうやら恥ずかしいようだ。

なら何故そんな堂々と言ったんだ…




「あんな嘘ついて…いいのか?恥ずかしかっただろうに」


「少しでもお得になるならその方がいいでしょ?」


ファミリー割引を使用してお会計を済ませ、店の外へと出た俺達はそんな会話をする。

やはり恥ずかしかったようで、プイッと俺から視線を外してパタパタも顔を扇いでいる。


「…あっそうだ。ちょっと寄りたい所があるんだけどいいか?」


「それは構わないけど、どこへ?」


「ちょっと装飾品が見たくてな」


帰るついでに、その足で装飾品が売っているお店へと向かう事にした。

折角こんなカッコいい服を貰ったんだ、キメるなら最高にキメなければ!





「やっぱり大きな国なだけあって品揃えが違うな」


「ええ、そうね」


お店へと到着した俺達は、それぞれ装飾品を物色する。流石色んな種族もいて、人類最大都市と言われるだけあって見たこと無い物ばかりで心が踊る。

そんな中シアンは食後のせいかお眠なので、俺がおぶってバングルを眺める。


「それを買うの?」


「ああ、色合い的にも似合うかなって」


「似合うんじゃない?黒の服装もあって、そのバングルは映えるわ」


俺が手に取ったのは金色のバングルに紅い宝石が埋め込まれた物だ。あまり美的センスの無い俺でも綺麗だと思える造りをしていて、思わず手に取ってしまう程に美しい。


「でもそれ女性物よ?」


「いいんだよ、俺が付ける訳じゃないしな」


「……誰かに贈り物?」


「うん、日頃の感謝にね」


「………そう」


喜んでくれると思った俺だったが、ローザはどこか寂しそうにバングルを見つめている。

なんでだろうと思いつつも、そのままレジで支払いを済ませた所でキガツク。


『…ってあ、もしかしてこのバングルをミルかルナにあげると思ってるのか?』


またしてもローザの可愛らしい所を見れ、思わず微笑みを浮かべてしまう。やっぱりローザは美少女だからこういう仕草と言うか、何をしても可愛い。つまりチートだ。


「ほい、あげる!」


「……え?」


「だから、これあげる!言ったろ?日頃の感謝の贈り物だって。いつも俺のピンチを助けてくれてありがとう!」


このバングルは普段からとてもお世話になっているローザへ贈るために選んだ物だ。

ローザは突然のプレゼントに、目をパチパチして固まっている。


「なん…で……え、これってミルにあげるんじゃなかったの…?」


「違うよ、ローザの為に選んだんだよ。ローザがいなかったら今の俺はいないからな。これくらいじゃ返せないくらいの恩なんだけど……受け取ってくれるか?」


「う、うん…!その……着けてくれるかしら?」


「勿論いいよ。手出してごらん」


「うん…っ」


買ったばかりのバングルを紙袋から取り出し、少し気恥ずかしそうに差し出されたローザの右手首に着ける。

色合いもローザが黒いから、金色と紅色が似合うと思ったが、やっぱり似合うな。


「それだけじゃないよ。───[付与魔法(エンチャント)]」


「…!付与魔法…いつの間にそんな難しい魔法覚えたの?」


「俺だって日々色んな事勉強してるんだぜ?ちょこちょこソルにおしえてもらってたんだ。そりゃソルと比べられたらあれだけど…それでも最近やっと中級くらいには上達したんだよ?」


そう言いながらバングルに[付与魔法]を付与していく。効果は“吸魔“であり、装着者の魔力をバングルの限界まで少しずつ吸い取る。

一見デメリットしか感じないが、限界まで貯めれば魔力を保存でき、いつでも使用可能。

勿論それだけじゃない!中級まで出来るようになった俺は、アンチ光魔法まで付与出来る!


「ありがとう…っ、大事にするわね…!」


「そんなに喜んでくれるならその……贈り甲斐があるっつーか?」


本当に嬉しそうにバングルを撫でるローザは、俺の目を真っ直ぐ見つめて感謝の言葉を言うもんだから、俺も思わず気恥ずかしくてつい目を逸らしてしまう。


「んじゃ帰るか」


「うん…!じゃあ、はいっ」


「え?何、この手は」


「今日は気分がいいから手を繋ぎたいの。たまにはいいでしょ?」


「お、おう…………い、いいよ!?」


普段なら絶対に言わないし、絶対真っ赤になるような事をまさかのローザの方から言われ、俺は数秒の間を開けた後に、驚きながら頷いてしまった。


『な、なんだなんだ…!?ついに来たのか!?俺のモテ期が…!クソッ…不意打ち過ぎてこんな付き合いたての中学生みたいな反応してしまった…!』


まさかの今度は俺がローザに赤面させられる番だった。



俺はシアンをおんぶしつつ、左手でローザと手を繋ぐ。その姿はまるで夫婦……何を考えてるんだ俺は!?ヤバイヤバい…!冷静になるんだ、俺…!!もっとクールになれ…!!!


『てか待てよ…!?これって……デートなんじゃないのか…!!?うわああああぁ…!!俺にはミルがいるのに…!?ほわあああぁああああ!!!!』


自分でも驚く程に大発狂(心の中)すると、体内の悪魔達から盛大にからかわれる。

その後悪魔達と子供のような言い合いをし、暫くローザと目を合わせられなかった。

童貞…逃れられぬカルマ…!

クリスマス……くっ…

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