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373話:一致団結

マジで遅れました。本当にごめんなさい…

ルナが捨て身の覚悟で放った[終之白(おわりのしろ)]。それは想像を絶する威力であり、異常な防御力と再生能力を持つ“魔災“の最後の敵、魔人に大打撃を与えた。

だが倒しきるまで行かない。やはり12個ある内の“厄災“でこれは登場するの早いレベルの強さだ。


「このまま畳み掛ければ…行ける…?」


「いや、油断はダメだ。あの手のタイプは本当に最後まで何があるか分からない。慎重に…でも絶対にここで決めたいな…っ」


魔人はどうやら[終之白]を受けた為か、全身に先程のルナのような白いアザが全身にあり、動きが極端に遅くなっている。まるで錆び付いた人形だ。

今ならこの流れで行けるかもしれない。だけど相手はボス。追い詰められたボスが何か隠しているのは前世の頃から死ぬほど見てきた。だから油断出来ない。焦る気持ちをぐっと抑え、最適解を探す。


『俺が特攻を仕掛けて動きを探るか?だが即死したら戻れるかどうか…』


時間も少ない中、思考加速しながら必死に考えていると、突如魔人の体が3回爆発した。

眼を凝らして魔力を流れから爆発させた者を探ると、そこにはボロボロのコウキがいた。


「なんで────ってのは野暮だよな。はっ…流石は主人公だ」


若干美味しい所を持っていかれそうだが、今はアイツの火力はありがたい。むしろどちらが倒すか競争するつもりでやる方が燃える。


「…待てよ?今コウキの魔法が通ったな」


コウキの魔法を食らった時、魔人は魔法を出していなかった。なのにコウキの魔法が通った。

アンチ魔法を捨ててまで起こる現象…それは割りとゲームなんかでよくある事だが、、


「うっっ…!!やっぱりそうなるか…!」


思考が纏まった瞬間、コウキがいた場所へと一切の容赦がないレーザーが放たれた。先程魔人が放っていた魔法とはレベルが大きく違う威力と速度に、俺はやはりと冷や汗を浮かべる。


「っ…!今の、彼に直撃したんじゃないの…!?」


「いやコウキは()()()()()だ。アイツは死なない。てか死ねないだろうから」


大して面識も無いだろうに、コウキの心配をするローザ。だがその心配は彼らには全く不要だ。最近は変わり始めてるけど、基本的に主人公は死なないように設定されているからだ。

ほら、案の定コウキの気配がする。


「コウキ、他の奴らにもう1度戦うように言ってくれ。そして俺に皆のチートを教えてくれ」


コウキは俺の声が聞こえたのか、1度頷くとその場か消える。そして流れ込んでくる膨大なコウキの持つ情報。俺とコウキがリンクしているようで、なんとも言えない感覚を味わいながらも、コウキを始めとした4人のチートの詳細を知る。


『無限魔力に即撃反射、古代神龍に無限テイム…。また在り来たりな…』


一気に入ってきた情報に一瞬クラっと来たものの、悪魔達の演算処理能力もあって何とか耐えられる。これ…俺だけなら脳ミソパンクして死んでるぞ…。コウキの奴、殺す気かよ。


「だがベリタスの反射能力…これがどれまでかは分かんないが、上手く行けば……うん、やってみる価値は全然ある」


俺は早速思い付いた作戦とも言えないモノを、テレパシーの使えるコウキへと送る。

そしてすぐさま俺は動き出す。ルナのお陰で鈍ってはいるが、再生速度はそれでも異常。時間の猶予は無い。





決して見くびっている訳じゃない。それは長い旅で、沢山の経験を積んできたから。それでも、自分の方が強いと思っていたのに、今怪物と戦っているのはアキラ達だ。

それと比べて自分はどうだろう。勝てないと踏んで諦めた。明日やりたい事だってまだまだ沢山あると言うのに…。


「まだ…終わりたくない…!諦めたくない…!」


──コウキ…?


アキラ達の戦う姿に触発されたのか、僕は気が付けば怪物に向けて魔法を放っていた。

まだ立てる力が残っていた事も驚きだが、それ以上に無意識に戦おうとしている自分に驚いた。

だがそんな驚きも束の間であり、怪物は僕に向けて今までにない速度で光の光線を放つ。


「速度が飛躍的に上がってる…っ。でも、魔法が通るようになった…!」


先程放たれた異常なまでの魔力が籠った魔法を受けたせいか、怪物か僕の事を特定しきれなかったお陰で難なく回避に成功した僕は、魔法が通った事に気が付いた。


「…?だけどなんでさっきの白い魔法は通ったんだろう」


──あれは古代魔法の[終之白]……放たれた瞬間、対象物は如何なる耐性、スキルを無効にし、1度白にする。まだこの時代にあんな馬鹿げた魔法を使う者がいるとは…


古代魔法…?いつだったかセレナが言っていた禁止された魔法だったような。なんでも効果は絶大だけど、術者が死ぬようなモノばかりらしい。前に古代魔法だけは覚えても使うなと釘を刺された。


前にセレナに言われた事を思い返していると、アキラが僕に向けて叫んでいた。


「コウキ、他の奴らにもう1度戦うように言ってくれ。そして俺に皆のチートを教えてくれ」


確かに今ならあの怪物を倒せそうだ。戦うなら間違いなく今。だけだアキラは今更僕達のチートなんか知ってどうするつもりだろうか。それを使っても勝てない相手だと言うのに…


そう思わずにはいられないが、僕は何かきっとあるんだと信じて[転移(テレポーテーション)]使う。その時アキラと目が合い、僕は任せてくれという意味で頷いた。





「クソッ…!いい加減倒れろよ…!」


コウキが他の主人公達を集め終えるまで、時間稼ぎと共に少しでも魔人にダメージを与えようとミル、ローザ、そして後方からのソルと共に攻撃を続けているが、一向に倒れる気配は無い。やはり強すぎる。12ある“厄災“の内、序盤からこんな強い奴出てくるなんて先が思いやられる。


「アキラ!このまま攻撃を続けるでいいのよね?」


「ああ…!今はまだアイツらの準備が───」


五感略奪(フィフスジャック)]のお陰で魔人の五感全てを奪っているが、攻撃威力も桁違いに上がっている為油断が出来ない。恐らく俺でも耐えきれる自信が無い。


お互いに攻撃手段で止まっていると、タイミングよくコウキからのテレパシーが送られてきた。


──アキラ!こっちは皆準備完了してるよ!後は君次第だ!


──これで失敗したらダダじゃおかないからな、テンドウ・アキラッ!


──俺が要なのが心配だが…やって見せるよ


──これで勝てなきゃもう本当に終わりだよ。全力でやろう…!


コウキの言葉を皮切りに、次々と俺へとテレパシーが入る。全員テレパシー使えるんかい!というツッコミは普段ならするが、今はやってる場合じゃない。


「起きろ![死霊操作(ネクロマンサー)]!!」


俺は早速作戦開始の第1段階として、ハジメがテイムしていた魔物達の亡骸を、次々と生き返らせる。と言っても死んでいるし、悪魔召喚の再に魂は喰われているので、ちゃんとした蘇生ではないものの、戦力には変わらない。

そして生き返らせた魔物達を全てハジメに従うようにした後、今度はミル達へと声を掛ける。


「事前に話した通り、ミルとローザは出来る範囲で構わないから魔人の妨害を頼む…!俺は上から邪魔してみる」


「ん…!」「わかったわ」


俺達は依然として魔人の妨害役を買って出ている。今回の作戦は俺達が表だって出てしまうと、最悪の場合失敗する可能性があるからだ。





「っー……頼むぜ、皆…!」


そして作戦が始まる。

先ず始めにハジメとアルカが放つ1撃。そこから始まる。だがこの2人の攻撃で魔人にダメージを与える訳じゃない。


「これ以上は本当に無理だからな……![天龍壊闢(てんりゅうかいびゃく)]ッッ…!!」


「[魔獣十列弾(まじゅうれつだん)]!!行けぇええええ!!」


空を裂き、出現した巨大な龍の幻影と、全ての魔物達で放つ十字状の光線が、2ヶ所から一斉に放たれる。

それは魔人の横を通り抜け、向かった先は、、


「1番大事な役割なんだ…!絶対にしくじらない!![反射板(リフレクター)]ぁぁぁぁあ!!!!」


全身鱗に包まれたコウキは、まるで竜人族のような姿をし、反射魔法を唱える。威力を倍にして返すその魔法は、アルカ、ハジメの1撃を真っ正面から受け止める。


「っっっ…!!絶っ対に負けない…!!ここで負けたら全部が終わるんだ!!────はあああああああっっ!!」


全身から骨の砕ける音と共に、皮膚を裂いて吹き出す赤い血がコウキを染め上げる。本来ならばここで受け止めきれずに折れるのが当然だ。チートを持つコウキだが、2つの1撃を放ったのも同じくチートを持つ者。受け止められる筈がない。

それでもコウキは、自分が死ぬかもしれないとういう可能性を全て捨て、自己犠牲の果てに耐えてた。そしてコウキは、2つの1撃を受け止めきり、それを魔人に向けて反射した。



「──────ッッッ!!!!」


五感を全て奪われているにも拘わらず、生き物としての本能からか、魔人は反射され1つとなったモノを全ての手と、土の手を使い受け止める。

地面…と言うにはあまりに瓦礫まみれの地に足を着けながら後方へと押し込まれていく魔人。その表情から焦りが見て取れる。

だがこのまま耐えきってしまいそうだとも思えてしまう迫力に、俺は汗を流しながらも漸く動く。


「この瞬間を待ってたぜ!!」


これまでで火を司る悪魔と3人契約した。カスのような魔力しかない俺でも、今なら適性面も考えて放てる筈だ。


「[擬似極滅の業火ぎじきょくめつのごうか]!!」


そう唱えると、俺の前には3つの魔方陣が出現する。それは俺の手のひらから放たれたライターのような小さな火でも、1つ魔方陣を通る度に火力と共に大きさが何倍にも膨れ上がる。

【転生賢者】のユージが扱う炎魔法。俺にとっては使用MP1700なんてレベルじゃないが、それでもぶっ倒れるのも覚悟で放った。


「今回は時間が沢山あって良かった……[天牢雪獄(てんろうせつごく)]…っ!」


「喰らいなさい![冥府王の大鎌(ハーデス・サイス)]っ!」


大技を溜める時間があった俺達は、それぞれ出せる大技を魔人に向けて放つ。反射されたモノを受け止める事だけに意識を向けている魔人は、意識外からの攻撃に対応は不可能。

だがこれらも奴にダメージを与えるモノじゃない。


「─────ッッッ…!!??」


俺達の攻撃で受け止めていた腕を3本切断された魔人は、いよいよ受け止めきれないと分かったのか表情を一気に変えた。

苦し紛れの土の手を、数を増やして対応しようするが、、



ダンッッ…!ダンッ!ダンッ!ダンッ!



「お前の行動は読めてるんだよ」


「これは素晴らしい…!まだ人間がこんな兵器を造れるのか…!まるで古代兵器じゃあないか!」


「はぁ…うるさいぞ、グシオン。気が散るだろ」


超遠距離にて眠るルナと共にいるソルの狙撃が土の手を全て粉砕する。もしもの時の為にソルへと頼んでおいて正解だった。




魔人は玉のような汗を浮かべながら腕を再生しようとしているのか、目線をチラチラ腕へと送っているが一向に生えない。


「漸く毒が効いてきたのか。へっ…おせぇんだよ…!」


細胞を破壊する毒を何度も魔人に打ち込んだ。奴の再生があまりに厄介だったからだ。どうやら漸く効果が出てきたようで、俺は遅いと悪態を付くが、思わず笑みが出てくる。



「ッッッ…!!!!ウオオオオオオオオオッッッ!!!!」


だが魔人は往生際が悪く、体を上手いこと動かして反射された攻撃を避けきろうとしている。

魔人の左肩を大きく損失しながらも、命を繋ぐための代償だと言わんばかりに回避してしまった。









「させねぇ…!![短距離転移(テレポート)]!!後は頼むぞ!!ベリタス!!」


もしも…

もしも魔人が反射した1撃を回避するような事があった時の為の保険。それがベリタスだ。

俺は過去1番の反射神経で、受け流されてしまった方角へとベリタスを[短距離転移]でワープさせた。



「ナイスだアキラ!!これで終わらせるッ…!![大反撃(オールカウンター)]ぁぁぁああああッッ!!!」


ベリタスが持つあらゆる攻撃を反射する[大反撃]。その威力はコウキの[反射板]の2倍どころの話じゃない。なんと驚異の10倍だ。


「────────ッツ!!?」


全身全霊で受け流したとばかりに安堵し膝を付いていた魔人。完全に隙を突いた。

一言で言えば光だ。縦に数㎞あるのではないかと思うような光が魔人もろとも呑み込み、俺も周りの皆も視界内全てが眩い光に包まれた。


「「「「「俺(僕)達の勝ちだ…!」」」」」


光に包まれる時、5人の声がそう重なったような気がした。

暫くは日常回になりそうや……

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