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371話:続ける進化

最近投稿2日おきになってるな…直さないと。

アキラ達が“魔災“から逃走してから丸1日が経過した。コウキ達はなんとか善戦し、リベルホープの崩壊を防いでいた。その中でもアルカの仲間であるルーニャの大魔法[異次元空間(ディメンションルーム)]のお陰で、空間内部の攻撃が外に漏れないようになっているのが大きいだろう。


だが攻撃に次ぐ攻撃で畳み掛けるが、魔人が持つ再生能力によってマトモなダメージは入っていなかった。

いくら様々な国で功績を上げ、英雄と呼ばれてきた4人でも、魔力、体力面での限界が近かった。


「もう1発…っ」


──よせコウキ!これ以上はお前の体が持たない!やはり不可能だったんだ…!人間であるコウキの体に、神と呼ばれた龍の力を宿すのは…!ここはあの悪魔と契約した男のように、逃げるのが最善策だ!


「僕は…!逃げない……!![龍滅爆裂波(ドラグバースト)]…!!」


セレナの制止を聞かずに、コウキは血塗れの体で大技を放つ。龍の形をした紅い波動は、周囲を爆発しながら魔人へと突き進む。

紅い龍は魔人の腕を切り落とし、体にまで爆発効果でダメージが入るが、それも瞬時に再生されていく。


「────!!がはっ……!!」


回復した魔人とは裏腹に、体を着実に崩壊させていくコウキ。彼の体は全身にヒビが入っており、瞳も虚ろ。いつ倒れても何らおかしくない状況であった。


『これは……もう勝てない………のかな…?』


足取りも覚束無いコウキは、迫る魔人の拳を見ながらそう考える。仲間も僕以外皆倒れた。ベリタスの武器の貯蔵も切れ、アルカも龍脈がもう尽きている。ハジメの魔物達も力尽きるか倒れるかのどちらか。もう戦える者がここにはいない。



『終わった……もう何もかも終わりだ…』


最後を悟ったコウキは、仲間達へと手を向けて転移魔法を発動する。これでどこか遠く離れた安全な場所へと彼女達は飛ばされただろう。

最後の仕事を終えたコウキは、ゆっくりと瞳を閉じて全てが終わる……




─────筈だった。




「諦めんじゃねぇーよ!!」


どこからかそんな声が聞こえてきた。コウキは瞳を開くと、黒い稲妻が魔人の腕を切り落としている所だった。


「これは……────うわ!?」


当然の事に驚いていると、僕の目の前に突如アキラが出現した。と、思った矢先に、彼は必死の形相で僕の体に触れると、そのまま僕を連れて転移魔法を発動する。

どうやら背後から土の腕が迫っていたようで、わざわざ助けに来たらしい。


「チート持ってるお前が諦めてんじゃねぇよ…!俺が偉そうに言えた事じゃねぇーけど、諦めんのは速いだろうが!」


「……いろいろやったさ。でもどの1撃も奴には通らない………僕も他の皆も既にボロボロだ…。諦めて当然だろ…?」


諦めて死を受け入れていた所を救われても、状況が変わらない以上、それは単なる命の延長。絶望しない訳がない。

するとアキラは少し表情をしかめると、『分かった』と言った。勝てない相手だと理解してくれたようだ。そう思った僕だったが、彼は思いもしない言葉を言った。


「なら俺達だけでも戦う。そんなつまんない顔出来るのも今の内だ。見てろよ?俺達による奇跡の大逆転劇をな!!」


アキラは状況と僕の言葉を理解出来ていないのか、ニカッ!と笑みを浮かべてそう言った。

僕は少しでも犠牲者を減らす為にも、彼に何か言葉を言おうとした瞬間、彼は僕を転移魔法で安全な場所へと飛ばすのであった。





「さてと!やったりますか!!」


手の間接を鳴らした俺は、上空で滞空しながら魔人を見つめる。主人公達の頑張りで少しでも戦いやすい状況になっていればいいと思っていたのだが、むしろ主人公全員戦闘不能という最悪な状況であった。


「だからこそ燃えるってもんだ。グシオン、俺達が勝てる可能性は?」


──贔屓目で見ても5%を切っているね。


「ははっ、0じゃないだけマシだな!」


ある作戦の為に、現在ルナと共に行動させているグシオンからの返答に、思わず笑ってしまう。それほどまでに低い可能性だが、0じゃない。【転スラ】の3.14の円周率よりかは可能性があるだけマシだ。


ミル達が魔人のヘイトを向けてくれている間に、俺は手始めにそこらじゅうに倒れている魔物の死骸を生け贄として悪魔へと捧げる。


「利用できるモノは何でも使わせてもらう。悪いな、ハジメ」


そう小さく呟き、瞳を閉じた俺は、召喚する為の魔方陣を破棄して直接俺の体へ宿す儀式を開始した。通称“悪魔付き“であり、悪魔を崇高する者が追い詰められた際にする最終手段。本来ならば自我を完全に乗っ取られる悪魔を宿す行為だが、俺はそのデメリットがどういう訳か無い。


──そうは言ってもアキラ君の体はもう限界……無理だけはしないでね…?


「分かってるよ。ありがとう、ブエル」


これ以上は俺の自我が崩壊する可能性がある。その理由で止められていた。だがそんなのを考えて、異世界で生けてなんか行けない。もっとも、俺が目指す目標の為には。


「来い…!悪魔ども!俺に力を寄越せッ!!」


人間のの欲望に反応する悪魔達。その為にも自身の欲を一切隠さずに叫び、召喚する。


ドクン……


一瞬無い筈の心臓が停止した気がした。

それに続くように流れ込む不快感。だが何度も体験してきたこの感覚は、むしろ心地好くさえ思えてくる。


──ほう?愚かな人間がまたしても我を呼んだと思えば……随分と奇妙な人間に呼び出されたものだな。


──お“ほ“ー!?ナ“ニ“コ“レ“ナ“ニ“コ“レ“!!こ“ん“な“の“初“め“て“~~!!


──これは………成る程、理解しました。私の主に相応しい御方がこの世界に産まれてきてくれたようですね。


──そんなのどうだっていいです。殺しですよ殺し。それが出来れば召喚主なんて誰でもいいです。


──嘘でしょ……このメンツで呼ばれたら、私強い悪魔だって思われない…?どうしましょう…私この中で1番貧弱なのに…うぅ……


脳内に聞こえてくる5人の声。相変わらずの曲者揃いだが、脳内でこの新しい者の声が聞こえていると言う事は、体へ直接悪魔を召喚するのは成功したようだ。


──ナベリウス、フェニックス、ハゲンティ、アンドラスにシャクスですか。クフフフ…!これはまた随分と上位の悪魔達ですね。流石は我が王…!


何やらラプが興奮している。少し警戒している気がするが、相手がラプと同じ上位の悪魔だからだろうか。



「スーゥ…はぁ……。よし、自我はちゃんとある。体の異常も無いな」


俺は新たな悪魔の力を把握すると同時に、1番恐れていた自分自身の自我があるかどうかを確認した。

そして無事に全てを終わらせると、早速28人となった悪魔達の力を収束させていく。

墨のように黒く侵食されていく肌。熱く痛む瞳。身体中の筋肉が軋む音……何もかもが不愉快で激痛を伴う。


「だけど………っ…耐えられない程じゃない…!」


身体中に回る苦痛とは裏腹に、俺は笑みを浮かべる。

新たにフェニックスが宿ったせいか、体の至る場所から赤黒い炎が漏れ出ている。だが痛くはない。むしろ厨二心を掻き立てられる。


「見せてやる。俺に出来る最大限を、皆の力と合わせてアイツに勝つ姿を…!」


黒く大きな翼、漏れ出る赤黒い炎、左右で違う紅とピンクの瞳。背中から突き出た6本の骨の触手。漆黒に染まる両腕。何もかもが人間とは違う姿で、俺は魔人へと突き進んだ。





アキラ達が再度魔人への攻撃を開始した頃と同時刻。リベルホープから遠く離れた荒野でもまた戦いが起こっていた。


「随分と暴れ、抵抗してくれたな。貴様が起こしてきた罪の数々…その身1つで償えると思うなよ」


美しい森林であったその場所は、面影を感じさせない荒れ果てた土地となっている。

そんな場所で鋭い視線を向ける者は、七大天使を統括する少女。“正義“を冠する大天使・ミカエルであった。


「はは……あははは…!うわーマジかよ、大天使長って奴はこんなに強いのかよ……完全に計算外だったわ」


その視線だけで殺せてしまいそうなミカエルの睨みを受けて尚、意外そうに、楽しそうに笑いながら傷を擦る男。その名は“強欲“


「私達大天使を6人も相手によくここまで持った方だ。だが貴様の悪行もここまでだ、大人しく断罪されるんだな」


そう言い、“強欲“へと神器・太陽ブリューナク、神器・蓄反フラガラッハを向けるガブリエル。彼女もまた先の戦いで額から血を流し、重傷を負っている。彼女の強さを知る部下達が今の彼女を見れば、騒然とする事態であった。


「はぁー……何でだ?何で奪えないんだ?[強欲罪(マモン)]の力絶対の筈だろ?」


「フン、愚か者が。お前と契約している悪魔・強欲のマモンの能力は遥か昔より割れている。厄介な能力なだけに、対策をしない訳がないだろう。この場でお前を断罪するのだからな」


レンズの割れた眼鏡を上げたサリエルは、緑色のオーラを出す長剣型の神器・操気(そうき)トワイライトカンウトを向ける。

大天使全員が神から与えられた神器を“強欲“へ向けている事から、全員が本気でこの場で奴を断罪という名の駆除をしようとしている。


「奪われていたメタトロンの奪還は既に完了。ですが解せませんね。何故貴方は聖剣、邪剣を集めているんですか?」


ラミエルもまた一切警戒を怠らずに、以前から謎であった“強欲“の行動について質問する。すると彼は口角を少し上げて微笑んだ。


「そんなの、1つしかないだろ?」


「やはり…“禍悪邪神(アグナムート)“の封印を解くつもりか。貴様のような人間がどこでその情報を得たかは知らぬが、その情報を与えた者も断罪せねばな」


“強欲“の言葉に即座に反応したのはミカエルであった。ガブリエルもまた何かを分かっているかのように表情をしかめている。だがその他の天使達は“禍悪邪神“の存在を知らないようだ。


「断罪?はははっ!お前らが?俺を?出来ない事言ってんじゃねぇよ」


そう言いながら笑う“強欲“。彼の回復魔法、スキルは全て使用不可となるようにしたにも拘わらず、傷を瞬時に治癒して立ち上がる。


「…!あれは“異世界人“の持つと言われる能力……やはり“異世界人“狩りをしていたのは貴様だったか」


如何なる能力も奪えてしまうマモンの[強欲罪]。ならばこの世界に時折やって来るとされる“異世界人“が持つ驚異的な能力。通称“チート“と呼ばれる力を奪うのは当然であった。


「奴は“異世界人“の力を奪い、その身の力としている。警戒を怠るな!!」


深紅に染まる炎の剣を造り出したミカエルは、仲間達へと激を飛ばし、大天使6名で“強欲“へと攻撃を開始した。

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