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351話:協力は得られず

「トータルで10万じゃなかったのか…?まぁ予測を裏切られるのはお約束だけども…」


コウキ、ベリタス、アルカ、ハジメの4人よりも遅くに到着したアキラ達は、平原が見えない程に埋め尽くされた魔物達に絶句する。


「あのコウキって人はその場その場で対応してくれって言ってたけど、どうする?」


「どうするも何も、数が多すぎるだろ…」


現在国を囲う高い壁から、リベルホープの騎士達が砲撃によって魔物達に対抗している最中、その様子を見ながらミルが聞いてくる。

だが多勢に無勢どころの話でない為、現状壁の外に出るのは自殺以外の何物でもないだろう。


「うーん、なら手始めに私が魔法で魔物達を蹴散らそっか?そしたら多少はアキラ君達が戦える場所を確保出来ると思うんだけどっ」


「いい案だな。よしそれで行こう」


どうするかとモタモタ悩んでいると、ルナがそう提案してくれた。現状案は無い為、ルナの魔法で俺達の他に、冒険者などが動ける場所を作る事にした。


「うんっ!行くよーっ![ 太陽の灯火(サンシャインフォース)]っ!!」


当然のように詠唱を破棄しているルナを置いて、俺はこの場を取り仕切っているリベルホープ騎士団団長である、エリオットさんにこの事を伝えた。ルナの放った魔法の後に、騎士達と冒険者達と共に攻撃を仕掛けようと。

だがしかし、、


「黙れ“悪魔宿し“。貴様に決定権など有りはしない。コウキ殿から何を言われようとも、貴様と協力するつもりは無い。数々の国を崩壊させた時のように、その汚らわしい悪魔の力を使い、単機で突撃してはどうだ?」


「それは……」


エリオットさんはまるで俺をゴミでも見るかのような目付きで睨み、協力の提案を一蹴する。

そして最後には嫌みたらしい笑みと共に皮肉を言う。


「だ、だが今は協力をしないと勝てないぞ!状況が分からない程にアンタは無能なのか!?」


「何だと?貴様…“悪魔宿し“の分際で私を侮辱するか…!」


「っ…!もういいです!こっちはこっちでやらさせてもらう!」


俺は未だ後ろで何かを言っているエリオットさんに背を向けて、ミル達の元へと早足で向かう。

何なんだよっ…あそこまで嫌悪する事無いだろうが…!クソ…この場面で無能なキャラのお約束なんか求めてねぇんだよ…っ!


俺はこの怒りを拳に向かわせると同時に、それ程までに悪魔という存在が嫌われているのかと俯く。


「アキラ…大丈夫なの…?怒鳴り声がしたけど…」


「うん……まぁ…全然大丈夫だよ。それよりもごめん、他の人と協力出来なくなっちゃった…」


俺は深い深呼吸の後に、俺のせいでここにいる6人のみで魔物を相手にしなければならなくなってしまった事を、頭を下げて謝罪した。


「いいんじゃない?足手まといがいない方が戦いやすいわ」


「ま、僕もその方がいい。なーんか感じ悪いしな、アイツら」


ローザを皮切りに、ソルもまたそう言うと、俺の肩にポンっと手を置いた。


「本当ごめん……その変わり、俺全力で頑張るから!3万の騎士達よりも活躍してみせるから!」


「あまり気張らないで。アキラはいつも通りでいる方がいいし、強いよ」


ミルは俺の手を優しく握ると、ニコッと微笑む。これ以上に無い程に眩しい笑みと暖かい言葉に、俺は更にやる気が込み上げる。


「おっしゃあ!!やってや────熱ッ!!??」


頬を叩き、気合いを入れたその瞬間、背後で爆炎が立ち上る。まるで背中を丸焼きにされたのかと錯覚する熱に、俺は軽いパニックに入る。

どうやらルナが放った火炎…と言うには強すぎる火力を持つ魔法による物のようだ。


「よしっ!いい感じに焼けたね~っ!」


「いい感じ、か……」


一仕事終えたルナは、可愛らしくふぅ~っと額を拭う。俺はルナの放った魔法による影響を見て乾いた笑い声を出す。

草原は真っ黒に変わり果て、魔物の骨らしき物があっちこっちに転がっている。その一撃で500mにも及ぶ範囲での活動が可能となった。


「スッゲェ威力……これでまだ本気じゃないんだろ?」


「へっへーん!まぁねっ!」


「いやはや…恐ろしいな」


そう呟いた俺は、壁上からの援護をルナとソルに任せて、俺とルナとローザ、そしてシアンの4人で地上へと降り立った。


「数が多いから、お互い気にかけながら戦おう。大丈夫、今の俺達ならきっと勝てる!!」


「ん…!」「ええ」「うん!」


お互いの背中を守るようにして、俺は最後にそう言うと同時に、前方へと毒の液体を無数に飛ばす。それだけでは終わらず、地割れを起こし、辺り一面に黒い雷を落としていく。


「[暴風雪(ぼうふうせつ)]っ…!」


俺に続くようにして、ミルは吹雪を乗せた巨大竜巻で魔物達を瞬間凍結し、粉砕していく。やはり以前よりも遥かに威力共に殺傷能力が上がっている。

そしてその吹雪の竜巻を操作しながら、ミルは[天牢雪獄(てんろうせつごく)]の体制へと入った。


「私達も行くわよ、シアン」


「うん!やってやるぞー!!」


背中に妖精のような羽を生やしたシアンは、空中を飛来するトンボのような魔物を次々と風魔法で切り裂いていく。

それに続いてローザも、南の枢機卿であるオズロから取り返した帝月(みかづき)・ベリパトスを抜剣して、切りつけた魔物達を次々と死へと誘っていく。


「やっぱり俺の仲間達は最高だ!!俺も負けてられない!───行くぞ皆![悪魔同化(ユナイト)]!!」


俺は主人公のような出し惜しみはしない。何故なら出さなければ死んでしまう可能性があるからだ。

俺は体内に住む、計14人にも及ぶ悪魔達の力を全て集束し、人間から怪物へと変化する。


「このイベント…全員で乗り切って見せる…!」


俺はその言葉を強く胸に刻み込み、目に見える範囲全てに[黒雷(こくらい)]を放ち、付近の魔物には腰辺りから生えた背骨のような黒い触手で頭を貫いた。





「あれが“悪魔宿し“とその仲間…ッ」


アキラをわざと怒らせる事言い、リベルホープ騎士団並びに、冒険者との協力を得られぬように仕向けたエリオット。

そして思惑通り、アキラのパーティーのみで何万といる魔物達を相手にする事に成功した。こうすれば、王の命令に背かずに奴を抹消出来ると考えたからだ。

しかし、、


『くっ…!信じられん…!たった6人のみで戦えているだと…!?』


エリオットの思惑とは裏腹に、たった6人でというのに魔物達に押される所か逆に圧倒していた。


アキラが全方位に強烈な雷や毒、そして無数の矢による攻撃で魔物達を近付けさせず、それに続けようにして灰色髪の少女が異常な氷魔法らしき剣術で魔物を凍結していく。

そして黒髪の少女は陸、空と広範囲に対応し、彼女に斬られた魔物はその傷口から猛毒でも仕込まれたかのうに絶命していく。


『バカな…!Sランクや危険指定とされている魔物達でさえ軽々と…ッ!犯罪者である者が何故だ…!!』


最前線で戦うアキラ、ミル、ローザ達が安定して実力を出せているのは、多方面に強大な魔法を連続して放っているルナと、高ランクや危険指定されている魔物達をいち早く狙撃しているソル。そして空の魔物のヘイトを全てを集めているシアンがいるからであった。


「ッ…!おのれ…!何をしている!?我々も進撃するぞ!!あの“悪魔宿し“に功績を全て取られる訳にはいかない!!」


このままではリベルホープ王からの賛美を全てあの者達に取られてしまうと焦ったエリオットは、アキラ達によって拓かれた平原へと、“悪魔宿し“が死ぬまで待機させていた騎士団と共に進撃を開始した。

よくいる見下し無能キャラ。

意図的に無能にしなくても、自分が書けば勝手に無能になっていくから簡単だね!

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