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305話:嘘と罠

2日間、本当すいませんでした!気が付いたら畳の上で気絶してました。

睡眠負債には気を付けようね。


2日も書いてないのに評価といいねを貰えるとか読者さん聖人かよ。

ダンジョンから帰った俺は、汗を流して部屋へと戻る。因みにここのホテルは中々の高級なホテルらしく、なんでもティアルがここを用意してくれたそうだ。流石は令嬢!


「はぁ……疲れた…」


ベッドに仰向けで寝そべるが、俺にはあまりそんな余裕は無い。体を起こして魔法書、イメトレ、スキルの使用方法、武器の手入れなどなど……無能にはやる事が一杯だ。


──アキラ、君と契約したばかりであまりこういった事を言いたくはないが…少し体を休めたらどうだ?無理は良くない。


「その辺は大丈夫だよ。俺、我慢強いし。それになんかあったらマルバスが助けてくれるだろ?」


──それは勿論だが…。人間の体は君の思っている以上に脆い。無茶はなるべくするもんじゃない。その内付けが回るぞ。


「かもな。でもその時が来ないように、しっかり準備をするよ」


──この脳筋が……その準備のやり過ぎで付けが回ると言っているのに…


マルバスは静かに溜め息を吐くと、それ以降はアキラの行いに文句は言わなかった。


「やっぱり炎による加速はかなり便利だ…やっぱり今後は魔力を重点的に上げる稽古を────いや、やはりここは剣術か?それとも皆のスキルの使い方を学ぶべきか……あークソ!なんで1日はこんなにも短いんだ…!」


ブツブツとずっと独り言を言い続けるアキラ。そして散々悩んだ末に行ったのは、座禅であった。

勿論ただ座禅をしている訳じゃない。座禅をして心を落ち着かせ、自身に流れる魔力を制御する。魔力増強と制御の稽古である。


『リング無しだと出力制御が難しい…!』


元々カスみたいな魔力しかない俺は、少しでも出力調整をミスれば内存している魔力が一気に飛ぶ。逆に出す魔力が少な過ぎると、全身に行き届かずに分散してしまう。

ルナに言われた自主練方法なのだがこれが中々難しい…というか出来る気がしてこない。


「もうかなり魔法の練習はしてんだけどな……やっぱり才能無いんだな、俺って…」


せめて魔法が一切使えないとかなら諦めがつくんだがな。そういう主人公もたまにいるし。でも俺はどっち付かず…と言うよりは微妙過ぎる魔力量。頑張れば出来るんじゃないかと希望を抱いてしまう。


「もういっそのこと、読者に嫌われてもいいから突然魔法の才能に目覚めたいわ……こう開放!みたいな…。はぁ……」


俺は少しだけ大きめの溜め息を吐くと、座禅をやめてバッグから黒い本を取り出す。悪魔学の本だ。


──君は悪魔召喚使にでもなるつもりかい?


「いんや、少し違うかな。出来れば友好的な関係がいいんだ。あんまり主従関係みたいなの好きじゃないからさ」


──ほう?それはまた面白い事を言うな。だが私が言うのもあれだが、悪魔とは友好関係を築くものじゃないぞ。


「それはまたなんでだ?」


──君は悪魔の本質を知らない。どうやら君は、温厚な悪魔としか本契約した事ないんじゃないか?いいか、アキラ。私達悪魔は例え主であろうと平気で嘘をついて陥れる。悪魔は皆、楽しい事、愉快な事が大好物なんだ。自分の利益や目的、願望を叶える為に動くと言ってもいい程にな。


「まぁ…それはアスモデウスとかを思い出すと何となく分かるかな……でも俺はツイてるな、マルバスみたいな優しい奴ばかりと契約出来て」


──な、なんだ急に…!…んんっ!それに君がツイてる訳じゃない。君がいう優しい奴ばかりなのは、私達が“72柱“なのが原因だろう。


「…?なんかあるのか?“72柱“には」


やや呆れ気味にそう忠告したマルバスに、俺はそう質問すると彼女は黙る。言えない事なんだろうか。物語の伏線かなんかか?


──私達“72柱“は…天使だった者や神だった者多くいる。勿論純粋な悪もいる。だが“72柱“と呼ばれる悪魔達は、皆何らかの理由で神界に住む神に背き、反逆した者の集いだ。


「へぇ…そうなのか。何か重そうな話そうだから聞かない方がいいよな?」


──…ふっ、別に構わない。遠い…過去の話だ。だがそうだな…君が時折気にしている天使について知りたいのならば、アスタロトに聞いてみるといい。彼もまた昔は天使だったのでな。その事に関しては詳しい。他の“72柱“の反逆理由も彼なら知っているからね。


「いや…そこまでしてまでお前らの暗そうな過去を詮索するつもりは無いよ…」


──ふふっ、そうか?なら安心だな。他の奴らなら兎も角、私の反逆理由など知られたら顔が火照ってしまうよ。


『え…なにそれ可愛い…』


──き、聞こえているぞ、馬鹿者が…!


そうだった。心の中でも話そうが口で話そうが、中にいるマルバスには筒抜けだった。

でも可愛いものは可愛いから仕方ないだろうよ。


──だから聞こえていると言っているだろうがっ!


「いや本当ごめん!」


少し半笑いで謝ると、何故かマルバスは許してくれる。今のをちゃんとした謝罪として受け取ったのか…?嘘だろ…?スッゴい満足そうに鼻を鳴らしてるじゃないか……


今までに出会って来なかったタイプのマルバスに、新鮮さを感じつつ、俺はもう少しだけ魔法と悪魔学の勉強をした後に眠りについた。明日にはベリト達が目を覚ましている事を願って。





オルシャークから遠く離れたガルシェ帝国。そこは愛と快楽が渦巻く歓楽都市であり、男と女が歪んだ愛を育む巨大な帝国。

そしてその国に、本来ならばいる筈の無い白いローブを着た聖職者がいた。


「アスモデウスがこの国に滞在しているという噂を流してから大分日が経ちますが…本当に“嫉妬“のテンドウ・アキラは来るのでしょうか…」


「ええ、必ず来ますよ。最近のテンドウ・アキラは私の知っている男の行動とは少々違いますが……彼の目的が変わっていないのならば、必ずアスモデウスを討伐しにやって来ます。気長に待つとしましょう。ほっほ」


そう言って白い髭を撫でたのは白いローブを着た者達を統べる男、ラディウス枢機卿であった。


「そんな悠長な…!この国は性にまみれた者ばかりで滞在するだけでも辛いです…っ。ここは下の者に任せて、我々は隣国で待つべきでは?それに人員も悪魔宿しを捕獲するには多すぎる気が……」


1ヶ月ここに滞在したせいか、ラディウス枢機卿の部下の男は眉を顰めながら文句を垂れる。そんな部下に対しても、ラディウスは怒るどころか微笑みながら口を開く。


「確かにそうですね。じゃが、これもまた人間らしい行動じゃありませんか。それに…アスモデウスがこの国にいないとは私は言っていませんよ」


「…!それはどういう意味ですか?」


「私はここにアスモデウスが本当に滞在していると睨んでいます。長い事悪魔を追って来たましたからねぇ…私の直感がそう告げているんですよ、ほっほ…」


「もしそれが本当なら、ガルシェは火の海になる可能性が…!」


「ほっほ、そうなった時はやむ無し。悪を滅するには、時に犠牲も付き物ですからのぉ」


「っ……はっ、そう…ですね」


笑みを浮かべるラディウスだが、その瞳の奥に見える黒い瞳孔が部下の体を強張らせる。


「嗚呼…!早く来るんだ、テンドウ・アキラ…!お前を手にする為に私は沢山の準備をした…!ふふっ…きっと楽しんでくれるだろう…!」


狂人的な笑みで笑い出すラディウスに、部下の男は体を震わせながらただ黙って下を向く事しか出来なかった。

ラディウスを忘れてしまう程に久し振りの登場。

作者でさえ言葉使いを忘れかける程久し振りでした。

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[気になる点] 畳の上で気絶……Σ(๑0ω0๑) 作者さん(๑ •ω•)੭"ナデナデ
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