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292話:貴方が心配だから

ちょこちょこブックマークが増えてるんですよね!嬉しい限りです、ほんと。

旅の目的の1つである、“七つの大罪“の所在が分かった俺達は、すぐさま出発の準備を開始した。特にソルなんかは魔道具の材料を買い込むとかをしている。因みに姉のルナは、今の内にシルフィールのグルメを堪能していた。



──アイボウ君は何かジュンビとかしないの?ほらっ、アイボウ君って小物をたっくさん待ってるイメージだからさぁ~?


「んー、言うほど俺は準備しなくていいんだよね。そりゃ勿論回復ポーションとか持ってるけどさ、それも簡単に手に入る物ばかりだし」


最近は以前のように隠し武器とかも所持してないし、強いて言うなら緊急用の投げナイフくらい。それもあまり最近は使わないし、基本俺達はパーティー組んでるから、そういった用途用途で使える小物はソルが持ってるから俺は必要無い。


──へぇ~そうなんだぁ。あっ!ならさぁ!アイボウ君、ミルちゃんの事をデートに誘ったらどうっ!?きっとミルちゃん喜ぶよぉ~!


「うぎっ!?い、いやぁ~まだお付き合いもしてないのにそれは少し大胆過ぎないかな…!?そ、そもそも?ミルはシャルゼさんの所に行ってるからいないし…!」


──メチャクチャ早口で言うじゃん…


俺はそのままシアンの手を引いて、早足で街中を歩く。こうして見ると、やっぱり観光街なだけある。以前レヴィと共にここに来た時は、少ししか堪能しなかった。それぞれのエリアに特産物なんかもあって、中々楽しく童心に帰れる。


「…でも“火のエリア“はまだ入れないんだな」


当然と言えば当然だ。単純な街の破壊もあるだろうが、レヴィが巨大な蛇となった際に撒き散らした黒い水が最大の問題だろう。あれは毒なのだから。


『ここは観光地だから、1つエリアが閉ざされるだけでも損害は凄いんだろうな……請求されなくても良かったが…うん、将来的にこの国に寄付しようと…!』


そう決心した所で顔を上げると、少し先にローザの姿が見えた。何かを買うらしく、数人程度の列に並んでいた。ローザの表情は明るく、ワクワクしている子供のようにも見える。


「よっす、ローザ。なんの列に並んでるんだ?」


「んなっ!?ア、アアアキラ…!?」


声を掛けてみると、こっちがビックリするレベルの驚きを見せるローザ。一体なんなんだと思い、店の看板に目を向けると、、


「りんご飴…?」


「ち、ちが…!珍しい食べ物があったから並んでいたのであって、別に私の好物って訳じゃ…!」


普段じゃ絶対にしないあたふたとするローザに驚きつつも、俺は看板に書いてある“りんご飴“というのが気になっていた。

この世界にりんごは無い。全く同じような果実で、リンガルというのはあるが……売られている物も縁日でよく見たりんご飴その物だった。


「りんご飴、好きなのか?」


「だ、だから好きって訳じゃ…!」


何でか恥ずかしがるローザだったが、こうして話している間にローザの番となる。後ろにも何人か並んでいるので、ローザは俺の方へとチラチラ視線を送り、恥ずかしそうにりんご飴を3本購入した。


「ん」


「何だよ…」


「だから、あげるって言ってるのよ…!」


「ああ…ありがとう。はい、これシアンの」


「わぁ~い!ローザお姉ちゃん、ありがとうっ!」


見られたくない所を見られたとばかりに不機嫌ながらも少し照れているローザから押し付けられたりんご飴。それはとても懐かしい物だが、今は先に歩いて行ってしまったローザを追い掛けるとしよう。





そしてローザの隣に追い付いた俺は、3人でりんご飴を食べながら並んで歩く。食べているから無言なのであって、決して気まずい雰囲気が流れている訳じゃない。


「…何で付いてくるの?」


「え、ああいやまぁ…成り行き?で……あ、そうだ。少し話をしないか?」


「何よ急に。別に構わないけど」


俺はローザからの承認を得ると、丁度見えた川の前にあるベンチへと腰を下ろして、りんご飴を一口食べつつ話し出す。


「これからアスモデウスを倒しに行く。それはルナとソル、そして俺とミルの目的だ。だけどローザ、君が俺達と一緒にいるのは俺が原因…だよな?」


「………」


ローザは食べていた手を止めると、黙り込んで下を向く。


「だが今の俺は…吸血鬼の王の血が流れていない。ただの無力な人間だ。散々連れ回して、危険な目に合わせてきたけど、もう君が危ない事をする必要がない…」


「……もう…私はいらない…?」


「…!そういう訳じゃない!ただ俺は…皆を守れるような男じゃないんだ……俺は皆の中で1番弱いから…。ミルやローザが大きな怪我をした時、俺は自分の不甲斐なさを痛感したよ……もしあの時俺がいたとしても、きっと結果は変わらなかった…」


「そんな事…!」


ローザは顔を向けて、俺の言葉を否定しようとしたが、俺は言葉を続ける。


「絶対にこれからは危険度が更に上がる。これだけは確信できる……ローザも仲間で、恩人で大切な人だから…もう危ない目に合って欲しくないんだ」


「…………」


俺がそう言い、俯くと、ローザは無言でベンチから立ち上がる。このままどこかへと行ってしまうんだろうか…そう思った矢先、ローザは俺の前に立った。何事かと思い、顔を上げると、、


「イテっ!?」


何故かデコピンされた。何故…?


「見くびらないで欲しいわね。ランカスター家の者として生きてきたんだもの、アキラより強くて当然でしょ」


「そ、そりゃあまあ…そうだけども」


フンッ、と鼻を鳴らしながら腕を組んだローザはそう言うと、片目を閉じながら言葉を続けた。


「それに、危ない目に合って欲しくないですって?何をふざけた事を言ってるのかしら?それはこっちのセリフなんだけど!」


「痛い痛いっ…!?」


ローザは少し怒りながら、俺の鼻先を指で掴んでグリグリと動かす。地味に痛い攻撃…!


「いつもいつも危ない目に合ってるのは貴方じゃない!その度に私が何度も何度も治癒して…!本当にどの口が言ってるのよ!」


「ご、ごめんなさい…!」


「全く…これじゃ心配で帰るにも帰れないわよ、もう…。アキラが吸血鬼の王じゃなくなっても、私はここに残りたいの。だから私の意思で残る。でもいいこと?別にアキラの為だけ残るって決めた訳じゃないんだからねっ!皆と旅をするのが楽しいからだからねっ!勘違いしないでよ!」


「お、おう」


ビシッと俺にりんご飴を向けて、そう宣言したローザは恥ずかしそうに頬を赤らめる。

相変わらず少し恥ずかしい事を言う時のローザは若干ツンデレっぽくなるな、流石ヒロイン。オマケに頬を赤らめてるから、受け取る側は『あれ?俺に気があるんじゃないか?』と勘違いしてしまう。恐ろしい…!


「パパ、それ食べないなら僕にちょーだい?」


「え…?ああ…いいよ」


欲しがりちゃんのシアンにりんご飴を渡すと、嬉しそうにパクパク食べるシアン。ローザの久し振りのツンデレに負けないくらいシアンが可愛い。どうか俺のように薄汚れたクズにならないで育ってほしいものだ。



そしてローザは俺達のパーティーから抜ける事なく、アスモデウスが滞在していると言われる国全体が歓楽街となっている、ガルシェ帝国へと向かうのであった。

ゆったりしたのもいいが、この小説はバトル系メインですので、戦わせないと…!無駄描写多め&戦闘描写激弱作者ですが陰ながら応援してね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ローザ様可愛いっす(*´﹃`*)こういうわかりやすいツンデレ好き(*´ω`*)
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