289話:知識の蓄え
何故か投稿出来ていなかったので、初投稿です。
「アキラ、朝だよ。起きて」
「ん、んん……もう少しだけ…」
「ダメだよ。もう起きよ?」
「んん……っ─────ンアアアア!!!」
「っ…!?」
ミルに体を揺すられる事数回。俺は段々と意識を覚醒させ、今自分が置かれている状況を理解した。それは同じベッドで俺の体を揺すっているミルを見れば分かるだろう。
俺は…異世界の美少女と1つ屋根の下、そして同じベッドで寝たのだ。だが男女が行うそういった行為はしていない。当然だ。俺はチキったのだから。
「おはよう…ミル」
「ん、おはようアキラ」
朝イチから美しいミルの顔を拝めてとてつもなく嬉しいが、これ以上に恥ずかしさが勝る。
ヤバイ、きっと今の俺は赤面してデレデレしている事だろう。くっ、殺せ!(男騎士)
それは一先ず置いといて、俺の寝間着からいつもの白い軍服のような服に着替えていると、、
「………」
「な、なんだよ。あんまりジロジロ見られると男の俺でも恥ずかしいんだが…?」
何故かミルがジ~っと俺を凝視している。自意識過剰なんかじゃない。ミルが凄い見てくるのだ、俺の半裸を。
「前に一緒にお風呂に入った時から思ってたけど……アキラっていい体してるね」
「ンブッ!!?ななな、何を言い出すんだいきなり!!」
「ふふっ、その反応も可愛い」
小さくクスクスと微笑みを浮かべるミル。た、確かに体の美貌には自信がある。けど尊敬すると同時に恋心に近い物を抱いているとミルに見られると、凄く恥ずかしい…!
──おお…!この御嬢さんが我が王の妃となる方なのですねッ!?是非とも家臣として、側近として御挨拶を…!!
ラプ、お前も黙ってろ!!
□
──どうか御許しを…我が王。我が王の気分を害してしまった事、ラプは一生の大罪として背負います…
「そこまで気負いするなよ…俺も少し強く言い過ぎた、ごめん」
──…!我が王…!ありがとうございます…!!
ラプの重すぎる謝罪を受け入れた俺は、同時に謝罪して和解。そして現在はミル達とは別れて行動していた。皆は今、多分海で2日目のアクティビティを楽しんでいるんだろう。俺は疲れた事と、用事があるといって別れたのであった。
──ねぇねぇ、なんでまたお城に向かってるの?またあのミルって子の母親に会いに行くのっ?それともまた書庫へっ?はたまた別の用事があるのっ?あ、もしかして実は大穴で冒険者ギルドとかっ?
「2番目が正解、かな。城の書庫でまた読み漁って、ミルの腕を再生させる方法を探そうと思ってな」
軽く調べてみたが、この世界では腕などを失くした場合は再生が出来ない。それこそどんなに優れた治癒術者であろうと、不可能だと言われている。だからどっかの国では失くなった体の部分を再生させる魔法を研究しているとかなんとか…
「俺がもっと“なろう“の特性を持ってれば、非常識な治癒力でミルの腕を治してあげられるんだが…」
いっそうの事、最も可能性が高いであろうなろう太郎、本名天草光輝に頼み込もうか…。アイツなら絶対に腕や足の1本を再生出来るだろう。もしかしたら蘇生まで出来るかも…?
「いやそれは流石に“日本からの転生者“には無理か。まあ可能性があるなら“この世界で2周目の者“だろうな、賢者とか魔王とか」
そんな事を1人ブツブツと呟きつつ歩けば“氷のエリア“にある城前に到着した。軽い身体検査の後、俺はいつも以上の早さで城の中に入れた。これもシャルゼさんの計らいだ。
「さてさて、探すとしますかね」
膨大な量の本が所狭しと並ぶ巨大な書庫へと到着した俺は、腰に手を当てて小さく息を吐いた。この量となると、1日そこらじゃとても読みきれない。
……いや待てよ?
「ラプ、お前が俺に贈ってくれたもう1つのスキルって確か[完全記憶]だったよな?それって1回視認した物は自動で憶えていくのか?」
──ええ、ワタクシのもう1つの力であるスキルは[完全記憶]で間違いありません。ですが我が王が思っている通りにはならないかと。
「そっか…」
俺の考えを読んだラプはそう否定的な言葉を述べる。複数の本をパラパラ捲ってけば効率が上がると思ったんだが…流石にそこまで都合がいいスキルじゃないのか。
「これが“なろう“系主人公達ならそれで通るんだろうなー……。ま、ならちゃんと読んだり見たりすれば憶えられるって解釈でいいんだよな?」
──その解釈で間違いありません。
ラプからの肯定の言葉を聞いた俺は『よし…!やりますか!』と意気込んで、治癒や治療魔法などが記された本を手当たり次第に当たり続けた。
□
「…………………………ふむふむ」
あれからどれだけ時間が経ったのだろうか。綺麗に整頓されていた書庫は、アキラが読み終えた本が大量に散乱していた。
「また1つ為になった。が、これも違うな」
また1つ、本を床に置いたアキラは次の本を手に取るべく立ち上がる。いい加減腰や目が疲れてきたアキラだったが、大切な存在であるミルの為に、アキラは自分の体に鞭を打って本を読み続ける。
『高等治癒魔法、精霊による再生の息吹き、天使の力による奇跡、悪魔による過剰再生……どれもこれも近いが難しい…』
人間や魔法の最高峰であるエルフが編み出した高等治癒魔法は瀕死レベルの傷も治せるが、やはり1度失った腕までは不可能。それは精霊達の力でも不可能だった。せめて失った腕があれば可能性は僅かにあるが……
そして次に天使や悪魔による再生方法。だが天使に治癒してもらうには悪魔同様に契約する必要がある。天使は悪魔と違って召喚は出来ない。何か災いが地上で起こらぬ限り、現れぬ存在だからだ。よって天使による治癒はあまり現実的じゃない。
そして悪魔の方だが……言うまでもなくリスキー過ぎる。腕を治す為に命を奪われては本末転倒。それどころか悪魔は中々いい性格をしてるようで、願いを聞き入れる代わりに、その人の大切な人の命を捧げろと言ってくる例もあるらしい……
「今までで1番敵対したのはアスモデウスくらいだが……まあアイツを見てればなんとなく分かるな」
俺があまり悪魔達と激しい殺し合いをしてこなかったのは、やはり俺自身の適性によるものなのか……だとしたら何度か命拾いしてるな、俺。
「俺も元より知っている、ランカスター家に伝わる【再生術】があるが……あれも寿命を糧にしてるからな…腕の1本でどれだけ寿命を持ってかれるか」
そもそもランカスター家の秘術はランカスター家の血が流れる者にしか扱えない。結局これも無理な話だった。
「あー!クソッ…!どうすりゃいいんだよ………」
俺に唯一出来そうな事と言ったら、やはりこの体質を利用した悪魔との契約なのだが……ミルにそんな重い枷を付ける訳にはいかない。悪魔を1匹宿しているだけで意味嫌われ、ルミナス聖国のような聖道協会がある国では命取りになる。
「俺がどうにかして…。───…!なあ皆、ミルの体を治す際の代償ってさ……俺が背負う事って出来るかな」
椅子に深く凭れた俺は、高い天井の絵画を見ながらそう呟く。3人の悪魔はすぐには答えず、数秒時間を置いた後にバルバトスが口を開いた。
──アキラの考えは一応通る。私達悪魔の中には、そんな自己犠牲を感動者もいるだろう。だが…何故他人の為にそこまでする?私はアキラ、お前が少し恐ろしく感じる……私が──いや、私達が知る欲深い人間とはまたベクトルが違う。
「何を今更……俺はお前らがよく知る欲深い人間だぜ?だってミルの傷を絶対に治したいと──いや治すと決めてるんだからな」
───欲深い人間、か。クックックッ…!なんて傲慢な奴だ。やはりお前は面白いな、テンドウ・アキラという人間はこうでなくては。
なんかよく分からんが、バルバトスは笑っている。相変わらず笑い方が悪役なんだよな。
──んでぇ~?アイボウ君はどうするんだい?ホントウに言った通りアイボウ君がミルちゃんの重りを背負うのかなっ?
「ああ、勿論だ。それにきっと俺にとっては重りではなく、更なる力を与えてくれるチャンスだと思ってるよ」
──…!で、では我が王はそのまま悪魔の統治者に…!?
「まだハッキリとした答えは出せないけど……うん、そうだね。─────悪魔の王になってみるってもの、中々面白いじゃないか?」
俺はニカッ!と笑みを浮かべてそう言うと、体の中でラプが暴れまわる。それは歓喜の舞なのだが、体の感覚をほぼリンクさせているアキラとバルバトスとベリトは、ラプの号泣に皆眉間シワを寄せるのであった。
[完全記憶]は1度覚えれば、今後忘れる事がないスキルです。どれだけ脳が縮まろうと、記憶を消されようと、忘れる事はありません。いい意味でも、悪い意味でも。
描写してない設定。
精霊国シルフィールの中央にあるお城は、全てのエリアの城と繋がっています。なので空から城を見ると、複雑な形をした大きな城に見えます。




