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288話:主人公気取りのチキン君

タイトル通りです。

「ラプ、お前は……皆に見られると色々面倒だから俺の中にいてくれないか?」


「我が王のお仲間に御挨拶申し上げたかったのですが…我が王がそれをお望みになるのならば…」


俺の言葉に心底残念そうにそう小さく言ったラプは、最後に俺に一礼した後に青黒い光となって俺の心臓部分へと消えていった。


「ン“ッ“…!んん………相変わらず変な感覚だな」


レヴィやアスモデウス、サタン等の“七つの大罪“の悪魔達もそうだったが、悪魔が体の中に入ってくる感覚は言葉では言えないような不思議な感覚に襲われる。それが嫌だという訳じゃないが……違和感は感じる。


前にルミナス聖国でラディウス枢機卿達と戦っていた時に、レヴィとアスモデウスが言っていた。悪魔は心臓に宿ると……


「いくら適性があるからって…本当に平気なのかな…」


現在は今までの最高である3人の悪魔を宿している。そして大天使であるラミエルの加護もある。相反する力どうしが喧嘩をしないか心配だ。今のところ心身共に正常だが。


『もし悪魔の力を制御出来なくなってしまったら……その時はラミエルに会わないと』


──大丈夫で御座いますよ、我が王。王が持つ悪魔に対する適性は絶対!天使どもの力を借りるまでもありません。


「そういうもんかね……」


ラプの絶対的な信頼はどこから来るのか……そもそも何故俺を待っていたのか、いや…何故分かっていたのかだ。

俺の心の声や感情は全て中の悪魔に筒抜け。だからこそ、こうして警戒を露にして牽制する。


「まあいい、暗くなってきたし急ごう」





そして走って急ぐ事数分後。俺は皆のいるバンガローの宿へと到着した。

だが、、


「あ…ああ…!あああああああ!!!!」


そこにはもう…お肉は無かった…

それどころかバーベキューはもう終わってしまっていた。


「そんな悲痛の声出すくらい食いたかったのかよ…」


「貴方がどこかに行ってしまったのが悪いのよ?まったく…」


バーベキューの後片づけをしていたソルとローザは苦笑いを浮かべながらそう俺に無慈悲に言った。


「本当に仕方のない人ね。ほら、食べなさい」


「お、おお…!」


だがローザは小さくため息を吐いた後、俺の前に1枚のお皿を置いた。そこにはバーベキューの盛り合わせがあったのだ。


「ありがとう、ローザ…!」


「別に。ただアキラが美味しそうに食べていたから取っておいただけよ」


なんて優しいんだローザは…!少し恥ずかしいの、頬を赤らめてながらチラチラとこっちの様子を見ている。その姿が凄い可愛らしく、美少女パワーを感じる。



「…口の回りが汚れてるわよ」


「え?どこどこ?」


「もう…ここよ」


あまりにがつき過ぎたせいか、どうやら口を汚してしまったらしい。そんな俺の口の汚れを、ローザはやれやれといった表情で拭いてくれる。母親感が凄い…

そんなローザの母性とはまた違ったオカンの感じつつ、俺は肉を頬張った。





そしてその夜。海やビーチで遊び疲れた俺は、シャワーを浴びて、その後ベッドに寝そべりながら天井を見上げていた。


「今日は色んな事があって楽しかったな…ミルと師弟とはまた違った意図で近付いた気がするし」


そしてラプとの契約。流石は海回なだけある、イベント沢山で凄いや。やっぱりこういう海回はこうじゃないとな!


「…っと、そうだそうだ思い出したっと」


ベッドから体を起こした俺は、自分のバッグを漁ると白い魔石を取り出した。白の魔石は魔法を付与できる特殊な石であり、シャルゼさんの計らいですでに[鑑定]の魔法は付与して貰っている。


「冒険者ギルドには顔を随分と出せてないからな、久しぶりに自分のステイタスが見られる」


俺のステイタスは上がったり下がったり、はたまた完全に0に戻されたりと振れ幅が大きい為、自分でも悪魔達から贈られたスキル以外知らない。


「[鑑定]」


白い魔石を持ってそう呟くと、白い魔石は光輝き、そこからゲームのように俺のスキルを投影した。これを見るのも久しぶりだ。


「さてさて、俺のステイタスはどうなってるかな?」




名前:天道明星(てんどうあきら)

種族:人族(ヒューマン)

魔法:[(ファイアー)][小火(ライター)][火球(ファイアーボール)

スキル:[剣技Ⅶ][体術Ⅳ][反射神経Ⅸ][投手Ⅵ][脚技Ⅷ][弓術Ⅷ][部位変化(ぶいへんか)][精神干渉(せいしんかんしょう)][人操糸(じんせいそうさ)][変則射撃(へんそくしゃげき)][矢生成(クリエイトアロー)][気配遮断(けはいしゃだん)][一撃必射(いちげきひっしゃ)][完全記憶(パーフェクトメモリー)][世界関数(ラプラス)

加護[治癒の女神・リコスの祝福][大天使・ラミエルの愛]



「はえ~……悪魔達のスキルを差し引いても中々なんじゃないか?」


体術が低いのに脚技が高いのが、極真をやっていた身としては恥ずかしいが、何よりも剣術スキルが凄い成長しているのが嬉しくて仕方ない。


「そんでもって、新しく増えているこの[完全記憶]と[世界関数]がラプの力か」


──左様で御座います、我が王。1つ目の[完全記憶]は1度記憶した物事全て決して忘れないというスキル。そして2つ目の[世界関数]は……そうですね、今使用してみれば分かる事です。


「…?ああ、分かったよ。[世界関数]─────っ…!!」


一瞬眼が熱くなったと思った矢先、視界にはある映像が映し出される。それは10秒後に扉をノックし入ってくるミルと、それに戸惑いつつもデレデレと童貞臭い表情を浮かべる俺の姿があった。


「え…!?何これ…!」


──それがワタクシの最大の能力、[世界関数]で御座います。この能力最大の利点は数秒後世界を視れるという事…言うならば未来予知に等しい能力です。


「そ、それは確かに凄いが、それよりなんだよあのデレっデレの俺は…!情けなくなってくるは……俺っていつもあんなのなの!?」


──そ、そちらの方が気になりますか…


当然だろう。俺は超絶イケメンクール男…それは異世界の美少女達を軽く落とせる存在なのだから。あんな情けない顔をしてはいけないのだ…!


そんな時、部屋の扉がノックされる。


「あの…アキラ…?その……いっ…!一緒に寝ない…!かな…っ」


「おふっ…」


情けない顔をしてはいけない。


「ダメ……かな…?」


枕で顔を隠しつつ、しっかりと俺の事を見て、俺の言葉を静かにモジモジとしながら待つミル。


「も、勿論いいよ…!」


「ほ、ほんと…!?やった…!」


「………っ」


そう、してはいけないのだ…!

そしてヒロインには手を出してもいけない。これは異世界では絶対犯してはいけない禁忌(タブー)…!

理由は2通りある。1つは主人公が潔癖だから。そしてもう1つが作者に性的経験が無いから…である。


勿論俺にはそういった事の経験は無い。だがまだ時期尚早……ミルの母であるシャルゼさんからはほぼOKを出しているようなものだが、父親であるフリードさんからはまだ許してもらっていない。てかそもそもミルとは付き合っていない…!



…というのは建前であり、こんな美少女に手を出す事が出来ない。つまり第3の答えである、チキンなのだ……


「んじゃ……寝よっか」


「うんっ…!」


恥ずかしくも、嬉しそうな笑みを浮かべるミル。そして錆びた人形のようにギチギチと動くアキラ。

そしてその夜は1つのベッドに2人で入り、楽しく喋った後は本当になんの進展も無かったそうだ。

使用制限の無い[世界関数]は、普通に強い能力ですね。主に数秒後の世界を知れるというのは、戦いにおいて最強と言ってもいいのではないでしょうか。


そしてナチュラルに加護を与えているラミエルに、“愛“が付いてるっていうね。


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