表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
286/392

285話:水着回はOVAで!

異世界とかファンタジー系のアニメのOVAって水着回が多い気がする。まあOVAとかじゃなくても水着って美少女が出る作品では鉄板ですよね。

「きゃーっ!やったなー!えいっ!」


「ん…!甘いよルナ…!そんなんじゃボクには届かない…!」


「元気ね、ミルもルナも────ぶふっ!?ごほっごほ…!何するのよ!!」


パシャパシャと鳴る水しぶきの音。カモメみたいな鳥が鳴きながら空を自由に飛び回る。そしてさんさんと照す暑い太陽。


「最高だな、ソル」


「ああ、全くだな」


ここは精霊国シルフィール内の“水のエリア“にあるビーチ。何故俺達一行がこんな素敵なビーチでエンジョイしているのかと言うと、以前突如発生したSランクの魔物・アルバナの討伐に参加した報酬である。

シャルゼさん曰く、アルバナを倒せたのは貴方達があの場所で抑えてくれたからとの事。ならそのお礼はルナとソルに言うべきでは?と思ったけどありがたくいただいたのだ。


「いいな、美少女が水着姿ではしゃいでるのって。凄い目の保養になるわ」


「おいアキラ、いくらお前でも姉さんに変な事したらただじゃおかないからな。そもそもお前にはミルとローザがいるだろうが」


そんなやり取りをソルとしつつ、俺達はサングラスを付けてパラソルの下でサマーベッドに寝そべる。


「でも本当に最高だよ。シャルゼさんの計らいで完全にプライベートビーチだし、こんな美味しい飲み物まで貰えるなんてな」


「だな~」


ソルはトロピカルな青いジュースを飲みながらそう呟く。対して俺はサングラスの下から犯罪者みたいな視線を向けている。誰にって?はは、言わなくても分かるだろうが。


『薄水色をしたレースの水着を着たミル、黒いハイネック水着のローザ、そしてどうやって着けてるのか謎のオフショルダービキニのルナ…!なんて最高なんだ!』


合法的に布面積が少ない美少女の姿を拝めるとは……異世界最高!海回最高!!OVA最高!!!

…とはしゃぎたい。本当はね。でも俺は皆よりも遥かに出遅れているから、こういった楽しいイベントもほぼ参加出来ない。だから俺は今こうしてパラソルの下にいる訳だ。


「ソル、お前も行ってこいよ。お前が行けばちょうど4人になるし、ビーチバレーでもやってきたらどうだ?楽しいぞ?」


「えー……僕あんまり体力無いからなぁ…」


「いいから行ってこいって!んでもって体力付けてこい!」


やや強引にソルを皆の所へ向かわせた所で、俺は持って来ていたバッグから本を取り出す。

チートを持っていない俺では、全てを武力で解決するのは困難。だからこうして本を読み、知恵を付けて戦う必要がある。治療方法、魔法、剣術、体術、使える薬草等々、覚えたい事も沢山あるから大変だ。


「んと…?指先に火を留めた状態で形状を変える、か……」


いつか俺の魔法だけで炎を剣に変えて戦いたい。その為にはやっぱり知能がいる。勉学ってのはやっぱり大変だな、学生以来だよ。


「パパー、パパは海行かないの?」


「んー?ああ…俺はいいんだよ。でもシアンは行っておいで。きっと楽しいよ」


「…パパが行かないならぼくも行かない」


そう言ってパラソルの下で山を造り出したシアン。ありゃりゃ…困ったな、俺のせいでシアンが楽しめなくなっちゃうよ。


「ごめんねシアン、パパは少しやる事があるからさ。それが終わったらすぐ行くから、先に行っててくれないか?」


「んー……わかった」


俺がそう言うと、シアンは納得してはいないものの、しぶしぶミル達の元へと向かって行った。よしよし、後は俺抜きで楽しんでおいで。


──いいのー?折角海来たのに遊ばないなんてバカがする事だよっ?僕嘘って大好きだけど、今の自分の心に嘘をついてるアイボウ君の嘘、嫌いだなー


「なんとでも言え。俺はいいんだよ、皆の中で1番読者からの人気が無いのは俺だし。皆が束の間の休息を楽しんでる所に入ったら『邪魔すんな』って言われちまう。……それにお前の為でもあるんだぞ?」


──言っている意味が分からないが、何故そこで私達が出てくるんだ?


「俺がこうして知恵を付ければ、俺の生存率が上がるだろ?お前らは俺の中にいるんだから、俺が死んだらお前らも共倒れなんだ、だからこうしてるんだよ」


そう言って俺は本のページを捲りつつ、指先に出した火の形状を変えていく。リング状にしたり、アルファベットを作ったりと試行錯誤して練習中だ。…これって本当は子供向けのヤツなんだよな……さっき妄想してた炎の剣が出来るまでどれくらい掛かるのやら…


「ん…?なんだこの黒い本は……こんなの持って来てたか?」


読み終えた本を閉じ、次の本へと手を伸ばした時だった。俺が選び持ってきた本の中に、黒い本が一冊紛れていた。

その本には短く“悪魔学“とだけ書かれていた。


「悪魔学か…」


どんな事が書かれているのか気になった俺は、パラパラとページを捲っていく。そこには悪魔の行動理念や宿る場所、特性や弊害等々が細かく記されている。


「…!悪魔の召還…こんなのまで載ってるのか」


──わぁお!今時こんな本があるなんてねぇー!これってかなり珍しい物だよっ、よく見つけたねぇアイボウ君!いや懐かしいなぁ~僕も若い頃は人間に召還された事あったっけなぁ~。あの時は初めての召還で僕もはしゃいじゃってさぁ、あんまり戦いは得意じゃないのに頑張ったんだよねぇ。いやぁ~懐かしいなぁ!


「へぇ、ベリトにもそんな過去があるんだな。てかやっぱり悪魔って年取らないんだな」


ベリトの長い言葉にそう相づちを打ちつつ、俺はそのページを暫しの間眺める。

もしかしたら更に俺の体に悪魔を宿せるかもしれないと思ったからだ。だがやはり危険もある。今はラミエルの加護によって弊害は出ていないだけだし。


──もしや悪魔を召喚するつもりか?アキラ。


「まあ…な。俺の体に宿せれば、もっと強くなれるんじゃないかって思ったんだ。…だけどやっぱりやめよかなって」


──それは何故だ?アキラには自分で考えている以上に悪魔への耐性……いや適性がある。私の予想ではアキラはあらゆる悪魔をその身に宿せると思うぞ。


「そうなのか…?だけどやっぱり油断は出来ないし、出来る限り取るべき手段じゃないとは思ってる……だけど現実を見るとその手を取らなくちゃいけないのも分かるから厳しいよ…」


もし本当にバルバトスの言った通り、俺に悪魔への適性があるのなら、それは凄い事だ。宿せば宿す程強くなるって訳だからな。

その異世界もインフレが始まりつつある。以前のSランクの魔物が突然現れるのもいい例だ。こっちが強くならなくても、向こうはどんどん強くなっていくからこっちも強化しないといけない……


「どうしたもんかなぁ…はぁ……」


悪魔学の本をパタンと閉じた俺は小さくため息を吐いた。すると近くで足音が聞こえ、顔を上げるとそこには可愛らしい水着を着たミルが立っていた。


「アキラも一緒に遊ぼ?」


「ん…そうだな。よしっ!遊びますか!」


やらねばならない事はまだまだ山積み。だけどほんの少しだけ……ほんの少しの間だけ俺はこの瞬間を楽しむ事にした。





「ほらほらほらっ!弱いぞアキラ!」


「何をっ!こんなんで終わる俺じゃねぇーぜ!!」


ソルが作ったレールガン型の水鉄砲でソルとバトルする。体力の無いソルには海というのは枷にしかならない。当然こっちが有利になると思ったのだが、、


「最終兵器導入!発射っ!」


「おまっ…!そんなのズルいぞ!」


「開発者特権だ!」


「んなバカな───ブブブブブブ!!」


なんとソルは俺が使っている片手銃の水鉄砲とは違い、アサルトライフルみたいな水鉄砲で発射しやがった。俺は水鉄砲から放たれた海水を顔面で受け止めてぶっ倒れる。


「大丈夫…?」


「うん…平気。にゃろぉ~…!ソルの奴…!」


差し出されたミルの手を掴んで起きた上がった俺は、ソルに血走った視線を送る。だがソルは気にせずニヤニヤとしている。マジであの野郎…!



そして次の遊びはビーチバレーとなった。


「ウォラァァァ!!死ねッ!!」


「ブハッ…!!」


俺の全力アタックはソルの顔面へと当たり、ソルは熱々の砂浜にぶっ倒れた。


「おい今の反則だろ!!」


「…ポイント、アキラ&ミルチーム」


「ウッソだろっ!?アイツ死ねって言ったぞ!!」


審判であるローザの容赦のないジャッチに、ソルは顔面を赤くして抗議する。

だがポイントはポイントだ。けっして先程の仕返しという訳ではない。くくっ…!


「もうっ!なにやってるんのソル!」


「いやだってアキラの奴が…!」


「言い訳しないのっ!よぉ~し!私が本気を出す時が来たみたいねっ!」


弟のソルの言葉を聞かずに張り切るルナ。


「スーパールナアタック!!ファイアーっ!!」


「「っ!!?」」


炎に包まれたボールが俺達の陣地に落ちる。

ル、ルナの奴…!魔法を使いやがった!


「ポイント、ルナ&ソルチーム」


「ルナお姉ちゃんスッゴぉ~い!」


反則だろと言いたい所だが、俺がさっき放った顔面シュートが通った事を考えるに、今のも反則に入らない…!


「不味い……これはボク達も本気を出さないと」


「お、おう…!」


なんだが【賢者の孫】で見た展開になってきたなと、俺は緊張のあまり心臓をバクバクと鳴らす。


「えいっ…!」


「やるねっ!でも甘いよ![そよ風の木枯し(スモールウィンド)]っ!」


ミルの放った氷の塊と化したバレーボールを、ルナは腕に集めた小さな竜巻によって弾き返す。そしてその氷塊となったバレーボールは、、


「ヘブハァァァァァ!!??」


俺の顔面へと衝突するのであった。

なにこれ。魔法ありの変則ルールにしたシン=ウォルフォード許すまじ…!何がマジカルバレーだよ…!ただの殺し合いの競技じゃないか!!


「ロ“ぉ“ーザ“ぁ“~…!」


「はいはい…そんな泣きそうな顔しなくても治してあげるわよ。まったく…」


「よしよし、だいじょうぶだよ、パパ」


シアンに頭を撫でられながら、俺は腫れた右頬をローザによって治癒されるのであった。

右腕が無いのにビーチバレーしているミルはやっぱり化物ってハッキリわかんだね。

因みに、ミルがアタッカーでアキラがサポート&守りなので、得点が入ったら全部アキラのせいです。例えそれが魔法で強化された殺人バレーボールでも…ですっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ