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280話:暴動熱竜・アルバナ

本編、行ってみよぉーう!フォッフォッオー!

アキラ達一行が謎の怪獣との防衛戦を始めている時と同時刻。場所は精霊国シルフィール中央にある冒険者ギルド前へと変わる。


「この国を突如襲撃した魔物の名は暴熱動竜アルバナ。本来なら溶岩地帯におり、こんな寒い環境には現れないSランク指定の魔物だ」


精霊国シルフィールのギルドマスターであるスロウ・リンドゥースがそう告げると、冒険者達がざわめきだす。

当然だ。本来Sランクの魔物など人生の全てを費やしても出会えない伝説のような怪物だからだ。


「そ、そんな怪物にどうやって勝てっていんだよ!!」


「そうだぜ…!SランクなんてSランク冒険者でも束になんねぇと倒せないんだろ!?んなのここにいる奴らだけじゃ無理だ!」


ギルドマスターに反論するかのように声を上げる冒険者達。この場にいる冒険者は皆B以上の高ランク、実力も経験も十部なメンツでも不安と恐怖に駆られている。


「ねぇベリタス…貴方ならそのアルバナに勝てる…?」


「いや、どうだろう…俺もSランクと戦うのは初めてだし、何より今の俺は邪剣も聖剣も持ってない……」


俺の手を握り、不安そうに小さく呟くクリン。

正直勝てるとは断言出来ない。だけど俺は笑みを浮かべて、クリンの手を握り返す。


「だけどやれる事はやるつもりだ。俺は今この場にいる唯一のSランク冒険者なんだからな」


「…!うんっ!」


笑顔になったクリンの頭を撫でながら強く思う。あの日…“強欲“と名乗ったあの男に敗北してから俺は誓った。もう2度とクリンに涙を流させないと、、


『障害になるっていうなら俺が全部壊す』


そう心で呟くと同時に、ギルドマスターの話は終わる。結果俺を主体とした陣形で、アルバナを倒せればそれぞれ聖金貨10枚が贈られる。これは日本円で約千万円の価値がある。ならず者やバトルジャンキーが多い当然冒険者達はやる気に満ちている。俺もクリンを悲しませないように頑張ろう。





「姉さんの魔法さえも通じないあの鱗を突破するには…!」


アキラ達と一時離れたソルは、近くの魔道具屋へと駆け込み、事情を説明して工房を貸し与えてもらうとすぐに製作に取り掛かる。


『大きな砲弾が効かない硬度…だが姉さんの魔法に僅かながらも効き目があった事から、魔法耐性がある訳じゃない…!』


この店に辿り着くまでにいくつかの案は出来上がっていた。だがどれもこれも原材料が足らない。


『素材はこの店にある物だけで完成させないといけない…!そうなると奴を異常状態にする物や、岩盤を砕くようなドリルを造る事も出来ない……』


考えろ、僕…!今の皆じゃあの怪物に勝つのは不可能だ…!皆僕が奴の鱗を突破出来る魔道具を待っているんだ…!時間も無い…っ…!速く、そして確実な物を…!


「───…!そうだ…!レールガンの仕組みを更に改良すれば理論上如何なる物も突破できる…!だが今あるのは……ガルメタルとネット針蜘蛛の糸に各魔石……」


やはり足りない。クソ…!頭の中では構造が出来上がってきたというのに…!


「随分と頭を悩ませているのぉ、若いの」


少ない素材に頭を悩ませていると、ここの店の店主である小人(ノーム)族のおじさんが髭を撫でながら声を掛けてくる。


「ええ…頭の中ではもう粗方出来上がってるんです。だけど…!」


「材料が足らない、と……ふぉっふぉっ、成る程なぁ。ちと待っておれ」


「…?」


笑いながら奥へと行ってしまったおじさんは、少しすると木箱を持って戻ってきた。

そしてその木箱を開けると、中には真っ黒な石が入っていた。


「これは……まさかエナジメタル!?なんでそんな貴重な鉱石が…!」


「大昔に偶然手に入れてのぉ。いつか使おうと惜しんでいる内にこの歳になってしもぉた。もうワシではこれを大掛かりに加工する事も出来ん。だから若い君にこれを託そうと思ってのぉ」


「ダ、ダメだ…!こんな貴重な物貰えないよ…!それにこれは売れば聖金貨5枚は確実だ…!」


エナジメタルは龍の山岳でしか採掘されない鉱石で、魔石と同じく魔力を持っていてどの鉱石よりも硬い事で有名だ。だが龍が出没する山岳でしか取れない為、小石程度でも何十万もする…。魔道具師なら誰もが欲しがる鉱石がエナジメタルだ。


「どのみちあの怪物を倒さんことにはこの国は終わりじゃ……どうせなら生き残れる方に賭けた方がいいじゃろ?ふぉっふぉっ」


「分かった……見ててくれ、僕があの怪物を倒す最強の魔道具を造ってみせる!」


「ふぉっふぉっ、最強とは大きく出たのぉ。だが面白い。そういうのはワシも大好きじゃ、老いぼれの身じゃが、協力させて貰おう」


「ああ…!ぜひ頼むよっ!」


こうして僕達はエナジメタルを使った魔道具造りを始めた。長年魔道具を造ってきた先輩なだけあって、おじさんの手際がいい。このペースで行けばすぐにでも出来上がりそうだ。





「っ…!![一撃必射(いちげきひっしゃ)]・3連射!!」


3本の紅い矢が怪獣へと向かっていく。奴は防御力は高いが、機動力が無い為簡単に矢は当たる。だがそれが効いているかと言われれば微妙だ。


「ズギィィイイアアアアアア!!!!」


怒り狂ったかのように辺り一体に蒼い熱光線を放つその姿はまさに怪物。

既に国を護っていた障壁は砕け散り、俺達と駆け付けた兵士達で食い止めているという状況が続いてる。


「あんなのどうしろってんだよ…!攻撃が全部通らないとか反則だって…!」


ベリトの[部位変化(ぶいへんか)]による手首の刃は通らず、バルバトスの[一撃必射]もまともなダメージソースになり得ない。

唯一ルナの水魔法が効いているとしか思えないが、それも大量の水蒸気を出すだけで奴の猛攻は止まらない。


「[氷月刃(ひょうるいが)]ッ!!」「[氷月刃]っ…!」


ミルと同時に放った氷の刃は空中で重なり合い、クロス状の大きな刃となって怪物の喉元へと炸裂する。


「これもダメ…っ」


「クソッ…!どうすりゃいいんだよ!!」


強力な魔法を立て続けに放っていたルナは現在後方で魔力を回復中。ローザは負傷者を治癒しながら、負傷者の血を操作して紅い槍を飛ばして援護している。

それでけでなく、この国の兵士達も高台から無数に矢を放ち、城壁からは何発も砲弾が放たれる。まさにこの場にいる者で一致団結して奴をなんとか抑えている状況だ。


「だがそれも時間の問題だぞ…っ」


矢や砲弾は無限にある訳じゃないし、魔力を回復させるポーションも飲み過ぎては効果が出ない。つまり時間を掛ければ掛ける程此方が不利になっていく。

奴の気を引く為に、俺とミル2人で最前線で細剣を振るうがそれもいずれ体力面で限界がくる。



「ズギィィィィィイイイイッ!!!?」


だがそんな時、頭上を通過した黒い何かが怪獣に当たると、奴は悲鳴のような声と共に赤い血を流した。それは奴の硬い鱗を破ったという事だ。


「これ以上先には行かせない。お前は俺がここで倒す」


その声と共に振り返ると、そこにいたのは剣を振りかざしたであろうベリタスが立っていた。


「……やっぱりお前の“補正“のせいかよ」


やはり俺の予想通りベリタスの主人公補正による現象がこの怪獣のようだ。

つまり俺達は前座であり、この怪物の強さを読者に知らしめる為の存在となってしまった。俺がそれを拒もうが、強制的に話の流れは主人公に向いてしまうのだから異世界は恐ろしい。


「だがベリタスという“主人公“が現れた今、あの怪獣に勝てるという事が確約した」


必ず勝てるが、主人公はある程度苦戦するように世界に仕組まれている。だからある程度はこちらも協力しないといけない。

まぁ……本当はそんな事をしなくても勝ててしまうのが異世界主人公クオリティーなんですがね?


「それでも俺の成長の為にも、首を突っ込ませてもらうよ」


そう呟いた俺は、再度細剣を構え直して走り出す。アイツが倒すのは分かったが、俺自身だ強くなるために、ミルの母親であるシャルゼさんがいるこの国守る為に、俺は剣を振るった。

そろそろ本気的にアキラの強化に入りたいので早くアルバナ倒してね、ベリタス君。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アキラの強化……!楽しみすぎる((o(。>ω<。)o))
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