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271話:再会のベリタス

連勤と今日で終わり…やったぜ。

ゴールデンウィークは社会人にはいらない…!

「フッ…!フッ…!フッ…!」


ローザの指導を受けた次の日の朝。流石に5日間の疲れが出てくる。単純に睡眠時間も足りていない。このままでは戦いの際に俺の全部を出しきれるか少々心配である。


「うくッ…!ぐ、ぅッ…!」


だから俺はゆったりとして、体を癒す───

訳もなく、俺は部屋で壁倒立腕立てふせしていた。これで78回目だ。


『休みならアル・セリベリウスを倒した後にゆっくりととればいいだけ…!今は自分の体に追い込みを掛けないと…っ』


やはり筋肉だ。筋肉が全てを解決してくれる!……なんていう主義じゃないが、今回は少しだけすがりたい気分だ。


──ぼく達の能力に剣術、そして魔法っか♪いいねいいねっ!どんどんアイボウ君が強くなってるのを感じるよ!


「分か、る……ッ…!のか…?」


──私達はアキラの生命力で生きている。その生命力という炎が燃えれば燃える程、私達にも力が漲る。アル・セリベリウス…だったか?クククッ…ソイツとの戦いには期待するといい。私が必ずアキラの役に立って見せる。


──あー!バルバトスなにアイボウ君に媚びてるのさっ!言っておくけど、ぼくの方が先にこの体にいるんだからねっ!


──媚びる?ククッ、それは違うぞベリト。私は私を倒したアキラを認めているからだ。この人間ならきっと、私達の悲願を達成する…やもしれん。


「なん、だよ…ッ…それ…!」


バルバトスとベリトの喧嘩?みたいな話を聞きながら筋トレを続けていると、あっという間に目標の100回を達成した。


「ふぅー!久々にやったけど無事にできて良かった」


そんな事を1人呟きながら鏡の前に立つ。この異世界に来て、速いもので既に半年程経っている。当然散髪なんかしてないもんだから、俺の自慢のなろうヘアーは伸びてしまっている。なんつーか微妙な髪型だ。


「んー…このまま切らなかったらモッサリしそうだし切ろうかな…自分でも髪ってちゃんと切れるのかな?」


まあ今は伸びてきた襟足を縛るだけで我慢するとしよう。でも決戦の時はバシッと決めたい。折角の晴れ舞台…って言える程の戦いではないが、気合いは入れていきたい。


「んー…なんか一昔前のオタクっ感じの髪型だな」


ちょびっとだけ縛った襟足はなんとも言えないオタク感を醸し出している。リュック背負ったら完全にオタクだな(※偏見です)


『新しい剣術に、悪魔達の能力、そして魔法に筋トレ…俺にやれる事は全てやった。だが…俺なんかが届くのだろうか……』


自分自身に出来る準備は全て終わった。残す所は自身のメンタルとやる気のみ。

だがこうしてゆっくりとする時間があると、嫌な事、ネガティブな事ばかり考えてしまう。


「…なに弱気になってんだ、俺…!ローザの傷を必ず治す!そう誓っただろうが!…おっしゃ!!」


俺は弱った心に頬を叩く事で気合いを入れ直すと、その足でギルド所有の訓練施設へと向かう。今の俺ならバレないだろうし、何より今は対人戦がしたい。今の俺が知能の高い生き物、つまり人間相手にどこまでやれるのかを…





『別名義でギルドカードが作れたら便利なんだけどな…』


冒険者ギルドの前に到着した俺は、扉の前で立ち止まっていた。訓練施設を使うには、ギルドカードが必要だからだ。

ギルドカードには本名がフルネームで出る。つまり完全にバレてしまうって訳だ。この国の一部を統治するシャルゼさんでも流石に世界的な罪人を庇うのは無理だろうし…


「ん…?どうしたんだ?ギルドに入らないのか?」


「何ですか…?誰ぇ…?────ッ…!?ベリタス・ブレイブ…!」


おいちょっと待てや!“なろう系“主人公とのエンカウント率どうなってんだよ!!

すぅ~……はぁ、何でここにいるんですかねぇ…?なろう次郎さんよぉ…!


「えと…何?俺の顔に何か付いてるか?」


「ああ…ごめん、何でもないよ…あはは…」


「…?そう…ならいいけど。それで、冒険者ギルドに何か用事か?もし依頼なら俺が引き受けてあげようか?今丁度手持ち無沙汰でさ」


不思議そうにした後そう言ったベリタス。

君に依頼だって?…それって俺と戦ってくれって言ったら戦ってくれるのかな?…………よし


「…ああ、依頼だよ。冒険者ギルドには強い奴が多いんだろ?だから手合わせ願いたくてな。君、見た感じそうとう強そうだね。どうかな、俺と一戦してくれないか?報酬なら出すよ」


「へぇ、変わった依頼だね。まあいいけどさ。俺も君を見た時からなんかピリピリした気配を感じ取ってたんだよね」


ピリピリってなんや。俺別に怒ってなんかないぞ。使える系統も雷属性じゃなくて火だし。


「んじゃ早速ここの訓練所行こうか。……あ、そうだ、君名前は?俺の名前は知ってるんだろうけど、俺は知らないから教えてくれよ」


おいおい、俺達ルミナス聖国で会ってるぜ?君が勲章貰ったのも見てたし、更に言えば少しだけど話してるし。

まぁ忘れてるか、ほんの一瞬だったし。てかこの髪色と服装じゃわかんねぇか。


「俺は天…───天滝明星(てんだきめいせい)、メイセイって呼んでくれ」


だから俺は偽名を名乗った。


───────────


最近何をやっても上手く行かない。それが始まったのはあの“強欲“を名乗る男に襲われてからだ。何をしても運が悪い方向に向いてしまう。今朝もクリンと口喧嘩してしまったし…


『はぁ……どうしちゃったんだろう…俺………』


特に目的も無くプラプラしていると、目の前に誰かが突っ立っているのが足元で分かった。何だろうと顔を上げてみると、そこには雪のようにそれはそれは真っ白な髪色をした青年が立っていた。その青年はなんとも言えない不思議な雰囲気を纏っている。


『ここはギルド前か。ならこの人も何か用事?剣を持ってるけど冒険者かな?』


特に深い意味は無く彼に話し掛けると、どうやら依頼目的のようだった。なら冒険者じゃないのか?そんな事を考えていると、彼は俺と戦いたいと言ってきた。


『最近調子悪いけど…この悪い気を変えられるかもな』


そんな調子で彼の依頼を受ける事にした俺は、早速ギルド内にある訓練所へと向かおうとした所で彼へと振り返る。彼は俺の名前を知っているみたいだが、俺は知らない。少しだけ不公平に感じたので、それとなく聞いてみた。


「俺は天…───天滝明星(てんだきめいせい)、メイセイって呼んでくれ」


なんか一瞬つっかえたが、彼はニコっと微笑んでそう名乗った。





そして俺はギルド職員に話を通し、訓練所を解放して貰う。ギルド内では俺が戦うと聞いた冒険者達が何やら騒がしくしている。聴覚を上げてみると、なんか賭け事してるし……働けよ!っと内心突っ込む。


「では此方にサインをお願いします」


「はい」


渡された1枚の紙に俺の名前とメイセイの名前を記入し、受付嬢に渡すと無事に使用許可が出る。


「なんか…ごめんな?ギャラリーが多くなってしまって」


「いや別に構わないよ。観客が大勢いた方が盛り上がるしな!」


酒を飲みながらゲラゲラ笑うオッサン冒険者達を横目に、メイセイへと謝ると彼は笑ってそう言う。なんか不思議な奴だ。


「んで、ルールはどうする?依頼主はメイセイだし、俺はそれに従うよ」


「ルールはどちらかが降参と言うまでにしようか。この訓練所は頑丈な造りだし、魔法やスキルも使用OKとしよう。ベリタス君の好きな戦法、武器を使ってくれて構わない。むしろ全力で来い…!」


マジかよ、コイツ…俺の名前知ってるって事は邪剣に選らばれた剣士だって分かってるんだよな…?…まあ今は無いけどさ。

しかも魔法もスキルもOK?よっぽど自分の力に自身があるようだ。


「なら遠慮無く行くけど…後悔しないでくれよ?」


「ハッ!上等…!」


木剣を手に取った俺がそう言うと、メイセイはギラついた目付きで笑う。


『凄まじい気迫…っ!やっぱりメイセイは普通の奴じゃない…!』


相手の正体を看破する[心眼(しんがん)]で見ても探りきれない歪な気配。光と闇…?らしきモノが見てる気がするが…


『ふっ…なんだか俺と似ているな』


光と闇が得意なのは俺も同じ。この戦いはその力を引き出せた者が勝利するかもしれない。

だが俺は負けない。それだけは言える。


「おら!さっさと始めろ!!」


酔っ払った野次馬の冒険者が投げた酒瓶が割れる。それと同時に動き出したベリタス。

それを迎え撃つは()()()()()()()()()アキラ。


「俺の力、存分に出させてもらうぞ…!」

確定イベント

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