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262話:精霊女王の娘

やっっと出せるミルの設定。


ベリトの要求を呑み込んだ俺は、太陽がまだ昇りきっていない時間帯から国の外で行動していた。向かうは勿論魔物がいる場所だ。


──ふぁ~あ……こんな時間から早速ぼくの力を使うなんて…よっぽど興味があるのかな?いやわかるよ、ぼくも新しいオモチャが手に入ったらついウキウキしてしまうからねっ。


「バカ、そんなんじゃねぇよ。いざ戦闘になった時、咄嗟に力を使えなかったら困るからこうして体に慣らしてるんだろうが」


【精神干渉】と【人操糸(じんせいそうさ)】、そして【部位変化】。これら全ての能力がどこまで通用するのか、またどれだけ俺に扱いきれるかのチェックをしていた。

魔物との戦闘にこれら3つの能力を組み込んで戦ってみた結果、魔物相手に使えるのは【部位変化】と【精神干渉】だけだった。


『体の至る場所を刃物へ変化出来る【部位変化】。そして相手の思考の邪魔と感情を揺さぶる事の出来る【精神干渉】は使えるが……』


【人操糸】これだけは魔物には通用しなかった。糸は指定した場所から降らせる事は出来る。だけどこれはどうやら人間専用なのかもしれない。


「せめてこの糸を武器に出来たら、また話は変わってくるんだがな…。ま、今後の戦力の要になるのはこの【部位変化】かな」


やろうと思えば腕を剣のような鋭利な物へと変える事も出来る。しかも任意で全身自由自在。中々便利だ。まあその反面、指とか手を変化させてしまうと拳は握れないし、剣も持てないんだがな。


「【精神干渉】も扱いが難しいし、【部位変化】も含めて今後訓練がいるな」


ただでさえ弱かった俺は、今もう1人の俺によって更に弱体化している。そんな無力がミル達のお荷物にならない為には、人の10倍近い訓練がいる……頑張らなくては。


「そろそろ皆も起きるな……もう戻るか」


岩山に太陽の光が差し込みだしてくる時間になったので、俺はそろそろ切り上げて戻る事にした。


──えぇー?もう終わりなのっ?ぼくの力って客観的に見ると凄くオモシロイ力だから見てて退屈しないのにーっ!あっ!そうだっ、なら街にいる人間で【人操糸】を使ってみたら?凄く便利な能力だよー?上手く使えばもう1人自分がいるみたいになるからね。もっと言えば、殺して操って、そこに【精神干渉】を使えば生前の記憶から喋らせる事も出き……


「……はぁ」


いらぬ情報を喋り続けるベリトに、安定の溜め息が出た所で俺はバルバレスへと歩きだした。コイツが喋ると思考がしにくくなるからホント厄介だよ…デメリットだけだったらすぐにでも教会に駆け込むぐらいに……


─────────────


「おっ、おはようアキラ。こんな朝早くからどこ行ってたんだ?」


「おはようソル。別にただの散歩だよ、今日はいつもより早くに起きちゃったからな」


「そうなのか。でもあまり急にいなくなったりするなよ?お前に前科があるんだからな。特にミルを心配させないでやってくれよな?」


「ああ…そうだな」


宿へと戻ってきた俺は、宿の1階にあるスペースに座っていたソルに少し笑いながらそう言われると、彼は暖かいお茶を啜る。そんな言葉に、俺は深く頷くとソルの前に座った。

そこから暫くソルと雑談をしつつ、魔道具について熱く語られた俺は、時折返して話を聞いていてると、女性陣達が降りて来た。


「あら、2人とも早いのね」


「まぁな。珍しく早起きしたもんだから散歩してたんだ」


腕を組むローザに、俺はそう笑いながら答える。昨日の今日でまた戦いに行ってたなんてバレたらやばいだろう。まあ今回は魔物相手なのだが、最近ミルは俺に過保護だから……黙っておこう。


「んーっ!いい天気っ!今日も張り切って行こぉーっ!」


今日も元気なルナの掛け声と共に、今日が始まる。そして準備を終えた俺達は、始発の列車で精霊国シルフィールへと向かった。


──────────────


以前のように列車を襲撃される事も無く、無事に俺達はそのまま順調に駅を次々と通過してゆき、そして遂に精霊国シルフィールへと到着した。


「久し振り……って程でもないか」


そうボソリと呟きながら駅のホームを歩く。ルナとソルは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回しており、そっくりな動きを見るとやっぱり姉弟なんだなと思う。

そしてローザもやはり気分が上がっているのか、表情を綻ばせている。彼女は旅好きだからな、楽しそうでなによりだ。この国に来れば体の苦痛は取れる。そうすれば彼女も思いっきり楽しめるだろう。


「あれ、ミル?道知ってるの?」


そんな中、ミルだけがまるで見慣れた風景と言わんばかりの足取りで歩いている。

だからなんとなくミルにそう質問してみると、彼女は表情をいつも通り変えずに振り返る。


「ん、ここは第二の故郷と言ってもいい場所だから」


「へぇー……え?どういう事?」


「ボクの母様はシルフィール(ここ)にいる。…氷の精霊女王をやってる」


「「「えぇ!!?」」」


ミルの発言に、思わず声が重なる俺とルナとソル。ローザは声は上げなかったものの、珍しく目を見開いて驚いているのが分かる。


「えっ、ちょっ…!ミルって精霊の娘なの!?あ、いや厳密に言うとハーフか?」


「ん、そう。ボクは人間と精霊の間に産まれた精霊半人(エレメントハーフ)


うっそやろ…マジかよ……ここ最近で1番の驚きなんですけど…!しかもえっ?さっき氷の精霊女王が母親とか言ってなかったか…?女王…え、王族…!?うっそ!?え、え??ならそんな王族の娘に俺は好きだと言われてキスされたのか…!?


『ヤベェ……俺、その女王様に殺されるかもしれない…!』


娘にちょっかいを掛ける人間めっ!生かしておけぬっ!!……みたいな…?ミルの父さんであるフリードさんの溺愛を見るに、母親もその可能性があるかも……いや、ここは母親は正常思考という【盾の勇者】理論で考えよう、うん…!


「どうしたの…?はやく行こ…?」


そんな大困惑の俺の前に立ったミルは、可愛らしく首をこてんと倒してそう言う。なんともあざとい仕草だ。これをやって許されるのはホント2次元キャラだけだと思ってた。


「あ、うん…そうだな」


「んっ…!」


そう思いつつも俺は頷くと、ミルは笑顔を浮かべて俺の手を取る。あっ…!(急死)

なんだか凄い青春をしている気がする…!天道明星(てんどうあきら)30歳。漸く春が来た気がします。

無駄な描写のせいで話が進まないのが自分の悪い所。

ま、まぁそこは【ゾット帝国】リスペクトって事でどうか1つ…!

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